柴咲コウ、北川景子、中谷美紀、沢尻エリカ、常盤貴子がそれぞれ異なるシチュエーションで登場。最後は5人が1ショットでズラリと勢ぞろいする。カネボウ化粧品の新ブランド「COFFRET D'OR(コフレドール)」「輝きのモーメント」編だ。

 女優を多数起用したといえば、資生堂「TSUBAKI」が記憶に新しいが、このCMでは出演者がまるで本人そのものとして登場しているように見える。例えば、「私はバージョンアップする。次の私に向かって」という台詞とともに階段を昇る北川景子。まさに人気上昇中の彼女の心中を切り取ったかのような場面。常盤貴子は最年長にふさわしい余裕の表情。女優そのものに共感できる演出がなされているわけだ。

トレンドは気品と上質

 ラストシーンで名女優5人が勢ぞろいするシーンは、なんと合成。「ひとりひとりを最高に美しく見せるため、照明などじっくり手をかけた」(カネボウ化粧品宣伝制作グループマネジャーの守屋俊秀氏)。所属事務所は全員同じスターダストプロモーションである。過去に起用歴があり、同社のイメージが定着している常盤、中谷、沢尻に、勢いや将来性を感じさせる女優をさらに加えたい、という制作側の狙いのもと、柴咲、北川が加入。華やかなキャスティングが実現した。

 上品な輝きを放つ衣装にもメッセージが込められている。今、ファッション界では、「モテ顔メイク」「愛され系」など、明るくてかわいらしいものから、「凛とした気品や上質さ」にシフトしつつあるという。次の美のトレンドをまとう女性像をあますところなく演出した同CM。美しい彼女たちは実に深く、新しいのだ。

(文/矢野りん)

■関連情報
・カネボウ化粧品のWebサイト http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/index.php

※この記事は日経エンタテインメント!(3月号)より転載しました。