先日の風の「“呼んでない”のに救急車」に対して、大阪府内の50代の主婦からこんな意見が寄せられた。
主婦は右手指を骨折したときにショックからぜんそくが出て、119番に連絡。タクシーで行けるからと言ったにもかかわらず、救急車を出してくれたという。
《看護師さんには「なんや、歩けるんやないの」と言われましたが、年齢と、1人で心細かった状況を考えると大変ありがたかったです。風で紹介されていた例も、万が一を考えた救急隊員の気持ちは尊重されるべきです。もしも容体が急変して手遅れになれば、責められるのは電話を受けた消防署ですよね?》
大阪市消防局の40代の救急隊員からはこんな現状が寄せられた。
《大阪市の場合は、何度も119番通報してくる者にも、救急出動させます。以前は不正に119番通報する常習者に対しては、注意喚起して救急車を出動させないこともありましたが、現在は119番通報があると出動させているのが現状です》
この救急隊員は、現状をこう分析する。
《あまりにも119番通報の数が多く、個々に時間をかけていられないというのが本当のところです。順次、傷病の重症度にかかわらず、出動させています》
大阪市の平成19年中の救急搬送件数は20万4373件と、以前の風で紹介した18年の数字より663件減っているが、救急病院への搬送要請回数は著しく増加傾向にある。19年中に受け入れを20回以上要請した件数は前年(104件)の3・1倍の320件。ほぼ1日に1回のペースで、“たらい回し”と言われるほどの受け入れ拒否が起きている。因果関係はわからないが、中には搬送後すぐに亡くなっている人もいる。
理由には、受け入れる2次救急病院の減少などが挙げられているが、冒頭の救急隊員はメールをこう結ぶ。
《市民の権利として、救急車を利用されるのは結構ですが、1分1秒を争う傷病が発生したときに近くに救急車がなかったら…あなたの家族が悲劇にあうのです》(信)
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