40年以上前の出来事ですが、国の最高機関といわれる国会において、 参考人として召致され、真実を述べた一人の医学博士がいました。
ここで証言された内容、残った議録より公表いたします。
森下博士の国会証言は2度にわたって行われました。
月刊誌でシリーズとして掲載し、本サイト上においても公表することにいたしました。
この真の情報が何かのお役に立てば幸いと思います。

第58回国会衆議院 科学技術振興対策特別委員会議録 第6号
「対ガン科学、農薬の残留毒性の科学的究明及び低温流通機構等に関する 問題」での森下敬一博士の国会証言 その1

(月刊誌「自然医学」2007年12月号より転載)

昭和43年(1968)3月21日
 森下敬一博士が「社会問題化したガン対策には、腸管造血説に基づいた浄血理論で立ち向かうべきだ」との主張をもって、昭和41年に初めて国会証言に立ってからその2年後、再び招かれることになった。
 この日の委員会で最初に質問に立ったのは、秋田県選出の代議士・斎藤憲三委員であった。斎藤委員は、毎年ガン研究につぎ込まれる多額の予算が有効に使われて実績を挙げているかと問い、またこれまでの定説にとらわれた研究だけではなく、相容れない学説同士の正否を確かめるための実験にも積極的に予算を配分すべきであると主張した。前回の証言後に出版された『血液とガン』を取り上げ、ガン治療のために、これまでの定説と森下学説とに自由な論争の場を設ける必要があると呼びかけたのである。

○斎藤(憲)委員 この五十一回国会科学技術振興対策特別委員会の議事録第十四号というのを読みますと、きょう参考人としておいでを願いました森下敬一博士の陳述がここへ出ておるのでありますが、これを読みまして、こういう陳述がこの委員会で行なわれたのに対し、どうして問題にならないでこれがほっておかれるかということです。(中略)「血液とガン」という本を手にとってみたところが表紙には、社会党の原代議士が委員長の席についておる。これはまさしく部屋も国会の委員会ですね。ところが、うしろをひっくり返してみたところが、第五十一回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会議録と書いてある。それで非常に興味を持って私は読みました。ところが、ここにはたいへんなことが書かれている。一体なぜこれが物議の種をかもさないで平穏に過ごされておるのかということであります。それでお忙しい中を御本人の森下博士においでを願って、きょうはわずかな時間でありますけれども、ここでひとつ論争の種を植えておきたい。きょう一回で終わらないですよ、大問題ですから。
 第一に、森下博士の国会における陳述というのは、「このガン問題というのは、私たちが十年ほど前から提唱しております新しい血液理論というものを土台にしなければ、ほんとうの対策というものは立てられないのではないかというような考え方を持っております」。こう述べておられるのですね。そうして、血は骨髄でできるものではない。骨髄で血ができると考えておるのがいまの医学のガンだ、血は腸でつくられるのだ、こういうことが一つですね。それから、ガン細胞は分裂増殖しない。それから、赤血球は可逆的な作用を持っておる。まだほかにも書いてございますが、時間もございませんから私なるべく簡潔にきょうの焦点をしぼりたいと思うのでありますけれども、森下博士に伺いたいのですが、一体われわれしろうとは、食ったものが血になるのだと、こう考えておる。それは食ったものが血になるのでしょう。その食ったものが血になるということは、胃と腸とでもって血をつくるのだと、こう考えておる。なぜ一体事新しくここへ血は腸でできるのだということ、いわゆる腸の血造説を持ち出しておられるのか。ほんとうに現在の医学では、血は骨髄でできると考えておるのですか、それをひとつ伺いたいのです。

○森下参考人 現在の定説では、赤血球、それから白血球の一部は、いわゆる骨髄組織の中で生産されているというのが世界の定説であります。しかし、この考え方にはたいへんいろいろ矛盾あるいは不合理な点がございまして、私、かれこれ約二十年ばかり血液の生理学をずっと、現在でも学んでおるものでありますが、そういう立場から考えてみますと、非常に大きな問題をはらんでいる定説であるというふうに考えております。実際にいろいろと実験を行なってみますと、現在信じられている定説であるこの骨髄造血説は明らかに間違いである。実際に、私たちのからだの中を流れている赤血球は腸でつくられているということを確証いたしました。これを提唱したのは十年ほど前であります。以来これは正式に、もちろん生理学会をはじめとしていろいろな学会で提唱いたしておりますが、顧みられている学説ではありません。極端に申し上げれば、黙殺されているという状態であります。しかし、いま斎藤委員がおっしゃいましたように、これは、常識的に考えてもわかることでありますが、われわれ日常の食べ物が実際に消化液の作用を受けて、そうして、これが腸の粘膜の中に取り込まれて、赤血球という細胞につくりかえられておるというふうに理解すべき問題である。そういうことを私たちは科学的な立場で、科学的に実証したということであります。

○斎藤(憲)委員 そうすると、骨髄は血をつくるのだ、従来はこの学説によって医学の根本的な考え方がきまっておる、こういうことですか。――そうすると、生物が生命を保持していく上において、特に動物世界において、血液によって細胞が全部培養されていく、その血液が腸でできるのだという説と、骨髄でできるのだという説とが分離しておっては、そこから一切の医学的な考え方というものは違っていくんじゃないかと思うのですが、それはどうですか。それじゃ、そこからいろいろな医学的な考え方というものは違っていくのですか。

○森下参考人 私たちの新しい血液理論によりますと、食べ物が腸の粘膜で赤血球という細胞に変わりまして、この赤血球がからだの中を循環いたしまして、すべての体細胞に変わっていっております。肝臓の細胞も、脾臓の細胞も、あるいは皮下脂肪であるとか、骨髄脂肪であるとか、そして筋肉の組織もまた赤血球からつくられているのでありまして、言いかえますならば、食べ物は血になり、そして血は肉になるという東洋古来の考え方に逢着するわけであります。こういう理念というものが現代医学あるいは生命科学の中に存在しておらないということこそ、数々の問題を引き起こしている根本的な原因である。現在ガンをはじめとして文明病が広がりつつありますけれども、こういう病気がなぜ起こるのか、あるいは、それに対する対策というものがなぜできないのかということをいろいろ尽き詰めてまいりますと、食べ物が血になり、血が肉に変わっていく。そして、この血液と体細胞との間に可逆的な関係がある。血が肉になったり肉が血になったりというような、そういうダイナミックなものの考え方が存在しておらないというところにこそほんとうの原因がある、というふうに私は考えております。
 であるがゆえに、われわれの血液理論が、文明病対策の根本理念として取り上げられなければならないであろうし、あるいはわれわれが健康長寿を保つというような場合でも、こういう考え方をぜひとも理解する必要がある――ということを十年来、私たちは提唱してまいったわけであります。

○斎藤(憲)委員 そうすると、いまのお話によりますれば、食べた食べ物は腸の粘膜を通して赤血球になる、そして、あらゆる組織をつくっていく。が、しかし、場合によっては、その赤血球によってつくられたあらゆる体内の組織というものは、可逆作用によってまた血に戻り得る、その血に戻り得るときに骨髄もまた同様に反応するんだということですね、ここに書いてあることは。まあそれに対してはさらに、現代の医学からいきますと大いに反論があると思います。これは根本的な問題でありますから。その反論を承っておりますと時間がありませんから、いずれこの次にその反論を承りたいと思います。これは重大問題です。
 それからもう一つ。ここに、ガン細胞は分裂増殖しない、これは赤血球がガン細胞に変わるんだ、赤血球が常に何らかの作用によってガン細胞に変わっていくんだから、それは分裂しないし、増殖しない。これはたいへんなんです。私がいままで読んだ――私のところにも、興味を持って何十冊というガンの本がある。が、しかし、その中の大半は、ガン細胞の分裂増殖、きわめて急速なガン細胞の分裂増殖と書いてあるんですがね。ここなんです。それを、どうしてこういう大きな新しい――正しい説であるかどうかはわからぬとしても、いやしくも医学博士の学位を持ち、そうして、赤十字の血液センターの所長をしておる地位にあって、どういうことで参考人としてこの委員会に呼ばれたのか、その当時のことはよくわかりませんけれども、とにかく、その当時の委員及び委員長のいろいろな相談の結果、適当であるとして呼ばれたんだろうと思うのです。ここでこういう陳述をしておるのです。ガン細胞は分裂増殖しない。これはたいへんなことですよ。もしガン細胞が分裂増殖しないということが正しいとしたら、いままでのガンに対するいろいろな説というものは全部間違いだということなんです。私の知っている限りでは全部間違いだということになる。どうですか。これは、病院長。

○塚本説明員 (厚生省国立がんセンター病院長)私は血液生理の専門家ではありませんが、先ほどの血液のことも含めてお答え申し上げますと、われわれは、体細胞が異常な増殖をし、どんどん分裂してできた腫物をガンと言っているのでありますが、ガン細胞が分裂しないということは、根本から反対になっているわけです。

○斎藤(憲)委員 ここで、きょう委員会を開いていただいて、参考人に来ていただいて貴重な時間をいただいた価値が出てきたわけです。一方は、ガン細胞というものは、赤血球が血液の状態によって異種細胞に変化していくのだから、次から次にガン細胞ができていって、そのガン細胞というものは何も分裂増殖しないのだ。どんどんふえていくんだ、めちゃくちゃふえていくことはふえていくんだけれども、そのふえ方というものは、決して細胞の分裂増殖によらないのだ、赤血球がガン細胞に変わっていくのだという、これは森下博士の説ですね。ところが塚本国立がんセンター病院長は、単細胞が分裂増殖していくのだから、そういう説に対してはまっこうから反対だ。さあこの実験をひとつやってもらいたい。これだけはっきりした対立というものが浮かび上がった以上は、これはどうしても科学技術振興のたてまえから解決していかなければならぬわけです。これは政務次官どうですか。こういう問題を解決していくのに調整費というものがあるので、いままで科学技術庁ではガンに対して三回調整費を出してある。その金額は大体一億円に近い。何の目標に向かって調整費を出したか、調整費を出した目標と結論というものを私は聞いておりませんけれども、進歩に対する効果というものは全然なかったように私は思う。ですから、こういうように、一方は、血液が変形をしてガン細胞をつくっていくのだ、一方では単細胞が、いわゆるガン細胞が一つできると、いまの病院長のお話だと血液の中にガン細胞が一つできると、これがどんどん分裂繁殖していってたくさんになってくる。全然根本的に違うんですね。こういうところを詰めていかないと、私はやはりガン問題というものは解決しないと思う。科学技術庁はガンに対しても大いに取り組んでおられるのですからこういう問題を取り上げて、お金がなかったら調整費から出してやる、それでどっちが正しいかという実験をやるということを私はお願いしたいのですが、どうですか。

○梅澤政府委員 ガン問題につきましては、先生が先ほどおっしゃいましたように、第四十回国会のときにこの委員会で取り上げられました。それが三十七年でございます。それから三十八、九年まで私のほうの特調費で、できるだけガンの厚生省の研究に補強の金を出しまして、四十年ごろから厚生省のほうでガンを重要対策に取り上げまして、ガンの研究費はそこから相当ふえてまいりました。そして現在までまいりましたので、私たちのほうは特調費でガンのほうの補助をしておったということであります。この間に確かに問題はSICなどにて起こりました。この件につきまして、厚生省とわれわれのほうと御連絡をとりましたが、いわばこの研究を事実上――ちょっと私も昔のことで忘れておりますが、引き受けてやってくださる研究者を見つけるところに非常な苦労があったのが厚生省だと思います。したがいまして、私どもは、調整費がございますから、これからも厚生省のほうと十分に御連絡してやらせていただきたいと思います。 ○三宅委員 関連して、ただいまの斎藤委員の御報告、私、実に重大だと思うのです。私自体、ガンに対して学会から治療界から非常な努力をしておられることは承知しておりますが、実にガンの診断についても治療についてもこれからだと思うのです。現に私の非常に印象に残っておりますことは、私の知人が背中が痛くて痛くてどうしょうもないというので、方々の医者に見てもらったがどうしてもわからない。癌研で田崎先生にお願いをいたしまして、レントゲンをうんととってもらった。そうしたところが、田崎先生が私にレントゲンを見せられましてガンのけは全然ないと言っておられましたけれども、痛みは去らない。その後、結局背骨のうしろのところにガンがありまして、順天堂病院でその人は死んだのであります。そして、御本人の田崎先生自身もガンでなくなられたのであります。(中略)日本の最高の権威である癌研においても、たった一週間か二週間前の、背骨のうしろにガンがあるのがいまのレントゲンではわからぬで、最後にわかって、順天堂で死んだというような事態を見ても、その意味において行政府は、学界におけるそういう論争などに対して金を出したり、いろいろいたしまして、それぞれ全体として発展させるということが、私は、その任務じゃないか、研究調整費の任務じゃないかと思うのであります。

 斎藤委員の鋭い質問に始まり、それぞれの立場から活発な意見が展開された。後半では、健康と食物公害との関係について森下博士が見解を述べたのである(続く)。

第58回国会衆議院 科学技術振興対策特別委員会議録 第6号
「対ガン科学、農薬の残留毒性の科学的究明及び低温流通機構等に関する 問題」での森下敬一博士の国会証言 その2

(月刊誌「自然医学」2008年1月号より転載)

昭和43年(1968)3月21日
 昭和四十年代初頭。ガン研究には、科学技術振興の研究の中でも多額の予算が投じ続けられているにもかかわらず、一向に成果が見られないのは、ガンの実態を見誤っているからではないのか――。
 国会証言の場で、ガンの原因は不明である、とする西洋医学の専門家とは対照的に、「ガンの原因は、食物や環境の悪化にあるのではないか」と、医学については素人ではあるが、常識的な考え方から質問を投げかける代議士の各委員達。
 森下博士の「血液とガン」を手にして質問に立った斎藤代議士に、腸管造血、血球の体細胞への分化説を持って答えた森下博士は、続いて公害や不自然な食物が及ぼす影響、赤血球がガン細胞へと変わることを証言したのである。

○三木(喜)委員 関連ですから簡単に伺わしていただきたいのですが、いま三宅先生の質問の中にこういうことがあったのです。公害等によってその発ガンということを促進させておる、こういうことはないかというお話ですね。これはお答えがなかったのですが、私は、幸いにその方面の研究をしておられる森下先生が見えておりますから、ひとつ聞かせていただきたいと思います。と申しますのは、この間、動物園の動物が次々にガンで死んでおる。ああいう非常に野性味を持ったものがガンで死ぬということは、やはり現在のこの空気中に何かそういう発ガンを促進するようなものがあるのではないか、こういうぐあいのことを、これも三宅先生でありませんけれども、素人的に考えるのです。なお、このごろのいろいろな調味料の中にガンを促進させるものがあるということ、森下先生の研究の中にもはっきり出ておるわけです。名前を一々あげるといけませんから、ある有名な飲料のごときは、そういう役割りをしておるといわれておるわけですね。これは私は、やはり厚生省からおいでいただかなかったら、うそつき商品が出たからといって、それであわてて取り締まる、こういうことではもうおそいと思うのです。そういう食料からくる問題、それから公害からくる問題、こういうことについてひとつ森下先生のお話を聞かせていただきたいと思います。

○森下参考人 いまおっしゃられましたように、大気汚染であるとか、あるいは排気ガス、ばい煙というようなものが肺ガンの原因になっているであろうということは、十分に想像されるところであると思います。私が調査した範囲では、去年上野動物園の動物が四十匹か、これはいろいろの種類の動物でありますが、肺ガンだけではありませんが、ガン性の病気で死んでいるということであります。もちろん、こういう動物は別にたばこを吸っているわけではございませんが、実際に肺ガンで死んでいる。その原因は那辺にあるのかということでありますけれども、やはり一番大きな問題は、彼らが自然な環境から離れて人間がこしらえた不自然な食べものをあてがわれながら、しかも、こういう不自然な大気汚染の中で生活を強制されているというところにあると思います。したがいまして、動物の文明病といいますのは、これはガンだけではありません。たとえば、豚がコレラにかかるとか、あるいは牛が結核にかかるとか、あるいは動物園などではキリンが胃かいようで死んだりカバが糖尿病で死んだり、犬がノイローゼぎみであったりというように、人間社会の中でいろいろな病気を起こして死んでいっている、その動物たちの文明病の起源でもあるというふうに考えるべきだと思います。そういう広い立場に立って私たちは、特にガンだけをということではなくて、文明病対策というものはもっと大きな立場で考える必要があるのではないか、ということをいままで唱えてまいったわけであります。たとえば、現在唱えられておる栄養問題もそうであります。現在唱えられておる栄養学に対しましては、私は非常に大きな間違いがあるということを長年唱えてまいりました。そのほかにも、いろいろ問題があるわけでありますが、とにかく、もっと巨視的に、大きな観点というものを踏まえて、こういう病気の対策というものを考えていかなければ、コップの中の小さな思案では問題は解決しないというような気がいたします。
 それから、ついでにここではっきり申し上げておきたいと思います。ただいま塚本先生が血液の問題についていろいろ意見をお述べになっていらっしゃいました(前号参照)。これは全くそのとおりであります。現代医学のピークに立っておられる先生であり、既成概念の頂点に立っていらっしゃる方でありますから、既成概念を否定するということは、とりもなおさず、御自分の存在を否定するということにもつながるわけでありまして、それはとうていできないことだと思います。しかし、たとえば、いま塚本先生がおっしゃられた考え方の中に、赤血球が成熟その極限に到達した細胞である、これは現在の血液学の定説でありますが、この考え方がそもそも間違いであります。私の考え方では、食べものが材料になって腸でつくられた細胞でありますから、きわめて原始的な細胞であります。しかるがゆえに赤血球の中には何十種類もの酵素があり、しかも、エネルギーがプールされている。最近これはわかった事柄であります。いままでは極端に成熟をした、老いぼれの、死の一歩手前の細胞であるという考え方で赤血球を見ていたわけでありますが、その考え方にそもそも大きな間違いがあると思います。最近の生化学の進歩は、赤血球の中に無数の酵素が含まれ、またエネルギーがちゃんとプールされていることを証明しました。死ぬまぎわの細胞がなぜそういうものを持っているのか、いまの医学的な常識では説明がつかないという段階であります。そういうことから考えましても、やはり考え方の土台が狂っているというような気がいたします。
 それからガン細胞の分裂についてであります。いま塚本先生がおっしゃいましたように、ガン細胞というものは、体細胞が突然変異を起こして異常な細胞になって、その細胞が無限に分裂増殖をする細胞であるというふうに説明をされました。これは現在のガンに関する定義であります。世界の学者が、ガンとはそういう病気であるというふうに信じております。そういう意味ではもちろん間違いのない考え方でありますが、しかし私の立場から申し上げますと、そういうことももちろん承知の上で、からだの中にあるガン組織というものは、私は分裂増殖をしておらないというふうに見ております。しかし、実際にガン細胞の分裂がきれいに映画の中にとらえられたりしております。東京シネマでつくられましたガン細胞に関する映画などを見ますと、ガン細胞の分裂というものは実はみごとにとらえられております。が、それはそういう特殊なガン細胞が示す行動であって、すべてのガンがそういうふうに体内で分裂増殖をしているのではないと思います。もしガン細胞がほんとうに分裂増殖をしているのであれば、たとえば、現在がんセンターで入院あるいは手術をされたガンの患者さんのその組織の一片を持ってきて、そして顕微鏡の下でガン細胞の分裂というものは観察されてしかるべきであります。しかし、そういう観察がなされたという報告は、私は一例も聞いておりません。実際に手術をして、ガンの組織というものは幾らでも、いつでも、随意にわれわれは取り出すことができるわけでありますから、ガン細胞が分裂増殖をしているかどうかということは、確かめようと思えばいつでも確かめられるはずであります。そういう実際のガン細胞というものを取り出して、そして、顕微鏡の下でそれを観察した学者は、私はいないと思います。実際には、われわれのからだの中では、定説はガン細胞の分裂ということでありますけれども、赤血球がガン細胞に変わっていることは、ほぼ間違いのない事実だと私は確信いたします。実際に、最近フランスでも、ガン研究の権威であるアルペン教授が、ガン細胞というものが分裂しているかどうかということについては、これは詳しく触れておりませんけれども、小さなガンの種になる細胞が寄り集まって、そうして一個の典型的なガン細胞に発展をしていくのだという説を唱えまして、そういう報道がヨーロッパではなされております。そういうことをみましても、分裂増殖だけではなさそうである。分裂増殖一辺倒ではいけないのではないか。たとえば、現在のガンの治療薬にいたしましても、ガン細胞は分裂増殖をするから、その分裂を抑制するような化学物質であればガンはなおるであろうというふうに、きわめて単純に、機械的に考えてその開発が進められているわけでありますが、こういう考え方のもとでは、私は幾ら研究費をつぎ込んでもしかるべき抗ガン剤というものはできない、と見ております。また、いままで長年私はそういう考え方を講演会で述べたり、あるいは私の著書の中ではっきりと明記いたしております。
 ガン細胞が赤血球からできるということにつきましては、私が八年前に書きました「血球の起原」という著書で、それをはっきり述べております。たとえば、吉田肉腫の場合でありますが、あの吉田肉腫の細胞というものは、実際にはほとんど分裂増殖をしておりません。種を動物の腹腔の中に植えつけますと、まず必ず腹膜に出血性の炎症が起こってまいります。そして、腹腔の中にまず血液が浸出する、赤血球が腹水の中にたくさんまざり始めるということを前提にして、初めてガン細胞はふえるのであります。吉田肉腫の細胞というものは増殖していっております。その過程を、私は八年前に書いた私の本の中ではっきり指摘いたしております。吉田肉腫の増殖というものも、私は、腹膜の炎症が起こらなければ、腹膜の炎症を起こさないように処置してこの吉田肉腫の種を植えつけたのでは、絶対にこの肉腫細胞は増殖をしないであろうというふうに想像いたしております。炎症というものが背景にあって、血液が腹水の中に出てくるということが前提条件である、そうしなければガン細胞はできない、その赤血球やリンパ球などがお互いに融合し合いまして、そうして一つのガン細胞に発展をしていくということであります。
 また、実際にこの吉田肉腫の細胞を観察してみますと、形がまちまちであります。もし一定の分裂方式で細胞が増殖していくのであれば、ほとんどきまった形の細胞ができなければならないのに、増殖している細胞は全く千差万別であるということも、でき方が単に分裂増殖ではない―ということを物語っているように思われます。
 それから、話はだいぶ前にさかのぼりますが、さっき斎藤議員が申しておられました無菌的な血液を培養して、そうして点状の小さなバクテリアが発生をし、これが球菌になり、桿菌に発展をしていくことが実際にあるのかどうか、これは国の機関でひとつはっきりさせろということを申しておられましたが、この問題につきましては、私自身すでに、SICの牛山氏とは全然別個に実験を行なっております。私はSICの問題とは一切無関係に、血液というものは無菌的な条件のもとで、試験管の中で放置しておけば、一体最後にはどういうふうに変わってしまうものであろうかというようなことを追求する目的で、大学時代に大ぜいの研究員を使いまして、こまかく探索をいたしました。その結果は、この八年前に書きました「血球の起原」という本の一〇〇ページ、それから今度出ました「血液とガン」という本一五ページに、その写真も掲載をいたしまして、その結論を披露いたしておりますが、これは無菌的な血液であっても、血漿の中にこれは実は赤血球の中にそういう点状のバクテリア様のものが発生をいたしまして、これがだんだん発育をいたしまして、そうして球菌になり、かつ、桿菌にまで発展をするという事実を私は認めております。
 この問題は、国家の機関で追求せよということでありますけれども、私はその必要はほとんどないのではないかというような、むしろ逆の考え方をしております。といいますのは、はっきりとそういうふうになるのでありまして、牛山氏が無菌的に血液を培養して、ああいう桿菌様のものが得られたというその事実に対しましては、間違いがなかったと判定できると思います。
 ただ、そういう桿菌様のものを材料にしてつくられたSICという化学物質がガンにきくかどうかということは、私は臨床医でありませんので、これは全くわかりません。そういうことをこの際つけ加えておきたいと思います。

○斎藤(憲)委員 大体、医者で医学博士という肩書きを持っておって、赤血球の実体もよくわからぬというのはおかしいじゃないですか。そうでしょう。一体なぜ赤血球の実体というものを把握しないのかと私は思うのですよ。もし森下学説が正しくて、赤血球というものが幾多の機能を持っておって、これが一切の人間の組織を構成していくのだということが立証されたとしたら、いままでのお医者はどうするのですか。いままでの医学者というのはどうするのですか。腹を切らなくちゃならない。お話を承れば承るほど、きょうの森下学説というものと既存の学説というものは対立して、これは別なものです。そういう中に、何を対象として一体ガン対策の金を二十七億円も出しておるかということなんです。効果があがっていればいいですよ。一つも効果があがらないじゃないか。ますますガン患者はふえている。ガンというものはわからないのだからといって許されているけれども、ほかの科学技術振興に対する金の使い方でこんなことがあったら一体どうなる。毎年二十億、三十億の金を使っておって、だんだんガン患者がふえていく、そういことに対してやはり行政庁としては、新しい根拠ある説というものは勇敢に取り上げて、これの実験を追求していくというところに、新しいガン対策というものが見出されるのでしょう。これはまあ行政庁にひとつお願いをしておきたいのです。
 いままで一生懸命やったけれども効果はあがらないのだから、世界的にあがらないことは確かなんだから、そのあがらない原因を追求していると、白血球の問題、造血の問題、そういう問題が出てきた。だから、ある意味においては、一方、一つの研究体制として出発まで下がってきて、腸の造血説と、それから赤血球、白血球の問題、そういう問題を真剣に、森下学説というものは正しいのか正しくないのかということを追求するということは、ガン対策として非常に大切なんじゃないか。私、「血球の起原」という本をゆうべさがして読んでみました。これだけの血液の研究をしている本が日本にほかにあったらひとつ塚本病院長、紹介してください。これはずいぶんりっぱな研究をしたと私は見ている。だから、こと血液に関してこれだけの研究をしておられる方が、赤血球というものは、ある場合においてガン細胞に変化していくのだ、だからガン細胞は分裂増殖しないのだ、そういうことが正しいか正しくないかということは私は追求できると思う。そこに新しい根拠が見出されればまたガンの新しい研究体制も樹立されると、こう思うのでありますが、どうかひとつ委員長におかれまして、この問題は、三宅先輩の言われるように、大切な問題だということをお取り上げ下さいまして、また機会あるごとにこの問題に対して議論を重ね得られるようにお取り計らいを願いたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○沖本委員長 森下参考人には長時間にわたって貴重な御意見をお述べいただきまして、たいへんありがとうございました。本問題調査のためにたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

第51回国会衆議院 科学技術振興対策特別委員会議録 第14号
「対ガン科学に関する問題」での森下敬一博士の国会証言

(月刊誌「自然医学」2007年10月号より転載)

昭和41年(1966)4月7日
 昭和41年4月7日、第51回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会において、「対ガン科学に関する問題」の参考人として森下敬一博士が証言に立ってから実に41年の歳月が流れた。当時、ガン撲滅に向けて多大な予算が組まれたにも拘らず、ガン患者は減るどころか年々その数を増し、現在に至っても確固たる手立てのないまま、相変わらず西洋医学における三大療法に頼る現実がある。

 当時としては衝撃的な森下博士の証言であったが、現在、様々な代替医療への関心が高まり始めている根本には、この証言が西洋医学一辺倒の流れに風穴をあけ、そこから少しずつ大きくなっていったと言っても過言ではない。そして、その理論に基づき、現在もお茶の水クリニックにおいては臨床と研究が続けられているのである。

本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
科学技術振興対策に関する件(対ガン科学に関する問題)

○原委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 対ガン科学に関する問題調査のため、本日、茅野市立茅野町病院院長牛山篤夫君、京都大学ウイルス研究所教授東昇君、東京都赤十字血液センター技術部長森下敬一君及び財団法人癌研究会研究所所長吉田富三君、以上四名の方々から参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異義ありませんか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
○原委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。
 医学の急速な進歩により、かつては日本においては国民病といわれた結核も急速に減少しました。また、伝染諸疾患も年々減少している今日、ガンのみは日本だけでなく、世界的にも年々増加の傾向を示していることはまことに憂慮すべき状態であります。そこで、本日は専門家であられる参考人各位から本問題について、権威主義を克服し、広く人類のためのガン征服を前提として大胆な創造力の芽ばえを育て、学界諸先生方のあげての協力のもとにこれが目的達成を推進していただきたいとの委員会の意思を御理解いただき、それぞれの立場から忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。
 それでは最初に森下参考人にお願いいたします。

○森下参考人 私、ここに今日、参考人としておいでになっているたとえば吉田先生であるとか、あるいは久留先生、東先生といわれるようないわゆるガンの専門家ではございません。私は新しい血液生理学の立場から、ガン問題はいかに考えなければならないかというようなことをちょっと遠い距離からながめまして、最近いろいろガン問題につきまして論議される諸問題がございますけれども、そういうことを“私たちの新しい血液生理学の立場からどう理解すべきであるか”というようなことについて、たいへん僭越でありますけれども、私なりの考え方というものを述べさせていただきたいと思うわけです。
 我田引水になるかもわかりませんが、このガン問題というのは、私たちが十年ほど前から提唱しております新しい血液理論というものを土台にしなければ、ほんとうの対策というものは立てられないのではないかと考えております。
 私たちの新しい血液理論というのは、われわれのからだの中を流れている赤血球という細胞が腸でつくられ、腸でつくられましたこの赤血球がからだの中を循環いたしまして、そしてからだの中のすべての組織細胞に変わっていくということであります。皮下脂肪組織も、それから肝臓の細胞も、あるいは骨髄の細胞も全部赤血球からつくられております。この腸でつくられる赤血球の素材は食べものでありまして、簡単に俗っぽい表現のしかたをしますと、“食は血になり、血は肉になる”という考え方であります。この食は血になり、血は肉になっていくという考え方がいまの医学理念の中に存在をしておらないということが、現代医学をして一つの壁にぶつからしめている非常に大きな原因であると考えております。
 この赤血球とからだの細胞との間には可逆的な関係がございます。生理的な条件では赤血球がからだの細胞に変わってまいりますが、病的な状態では体細胞から赤血球に逆戻りをするというような可逆的な変化というものが実は存在しております。かように、食べものがわれわれのからだの中を流れている血液に変わり、この血液がからだの細胞に変わっていっております。しかもコンディションのいかんによっては赤血球と体細胞との間に可逆的な関係が存在しているというたいへん大事な事実がいまの医学の基礎知識の中に存在をしておらないということが、実はガン問題にも関係いたしております。
 と言いますのは、結論的なことを先に申し上げますと、ガン細胞というものは、からだの中では細胞分裂増殖をいたしておらないと考えております。ガン細胞というものは分裂増殖をするというのが、いまのガン学者たちが信じておられる定説でございますけれども、われわれの体内のガン組織というものは、決して分裂増殖をしておらない。では、なぜガン組織が増殖をし、大きくなっていくのかと言いますと、これはからだの中のすべての組織細胞が赤血球からつくられているのと全く同じように、赤血球がガン細胞に変わっていっているからです。赤血球もしくは白血球がガン細胞に変化をしまして、そうしてガンが増殖していく、こういうたいへん大事な基礎知識がいまのガン研究の中に存在をしておらないということが、ガン研究を本筋に乗っけておらない真の理由であるという考え方を持っているわけです。私たちは新しい血液理論をすでに十年ほど前から提唱しておりますが、ガン細胞は赤血球からできるという理論は、私自身が五年前に書きました『血球の起原』という本の中にはっきり明記しております。昨年の七月にフランスの一流のガン研究者であるアルペルン教授が、これはオリジナルを私が読んだのではございませんのではっきり申し上げられませんが、マッチというフランス第一流の自然科学雑誌の中にガン細胞の増殖のしかたはどうも従来の考え方ではいけないらしい、どうももっと小さな血球様の細胞がお互いに融合し合って、そうしてガン細胞に変化をしているのではないか―というような、私の考え方にたいへん近い理論を去年提唱しております。このオリジナルをぜひ私も検討したいと思っているわけですが、そういう考え方が出てきているように、ガン細胞というものは体内では決して分裂増殖をしておらないということを、私は確信を持って言えると思います。ガン研究者たちはこの点を既成概念にとらわれないで、事実に忠実にひとつ御検討・再検討を試みられるようお願い申し上げたいと思います。
 このガン細胞というものが分裂増殖しないということになりますと、当然治療対策は変わってまいります。現在は分裂増殖しているのだということで治療対策が立てられているわけですが、私はそうでないという考え方でございまして、もしそうでないということになりますと当然治療対策は全面的に変えられなければならぬということになってまいります。ガンの治療対策としまして最も基本的なことは、先ほど申し上げましたように、ガン細胞は赤血球からつくられているわけでありますから、分裂増殖する細胞を撲滅するのではなく――ガン細胞を撲滅しようという思想でつくられた治療法は全部だめであります。ガン細胞をつぶそうという考え方では――ガン細胞というものは、ほかのからだの部分と完全に交通をしているわけでございますから、その発想でつくられた化学薬品もしくは放射線というようなものは、必ず他の部分にも同じような打撃を与えるということを考えなければいけないわけです。したがいまして、こういう考え方のもとでつくられた療法というものは本筋ではないということになります。残念ながら現在行なわれている療法の大部分がそれでございまして、そういうことではなくて、ガンをなおすためにはガン細胞を赤血球に逆戻りさせればよろしいということになります。赤血球とそれから体細胞、ガン細胞もそうでありますが、すべて可逆的な関係がございます。からだのコンディションいかんによって赤血球がガン細胞、体細胞に変わっていったり、あるいは体細胞が赤血球に逆戻りをしたりという可逆的な関係があるわけですから、ガン細胞を赤血球に逆戻りさせる方法を試みればよろしいということになります。
 そのための一つの方法としまして絶食あるいは食事療法があります。現在の栄養概念というものはたいへん混乱をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、食べものが血になり、血がわれわれの体細胞に変わっていくわけですから、われわれは何を食べてもいいということは決してございません。われわれの体質を決定するものは食物の質であるわけですから、食べものの質は厳に吟味しなければいけません。人間本来の食べものに切り換えるべきであります。人間は元来草食動物でございまして、草を食べる動物でありますから、植物性のものに食べものを切り換える必要があります。それから絶食療法を試みるというようなことで、ガン細胞を赤血球に逆戻りさせることは理論的にも、そして実際的にも可能であります。そのほか、理学的な療法といたしまして、たとえば静電氣による療法であるとか、あるいはオゾン療法であるとか――この静電氣並びにオゾン療法というのは血をきれいにする、浄血する作用を持っておりまして、こういう方法が試みられなければならないのではないかと思います。
 先ほどから申し上げておりますように、ガンという病氣は決して局所病ではございません。体質もしくは血液の質が悪くなったために起こる病氣でございます。全身病でありまして、局所を切りとったからそれでなおるというような考え方に私は賛成できません。あくまでも全身病として血をきれいにしていくという立場でガン対策というものを考えていかなければいけません。ガンだけではなくて、現在文明病としましてたくさんの病氣が多発いたしておりますけれども、こういうもろもろの病氣をなくすために、先ほどから再三申し上げておりますように、「食べものが血になり、血が体細胞に変わっていく」という考え方を土台にして、血液を浄化していくということが非常に大事なことであります。これはガン対策にも通ずる基本的なものの考え方であらねばならないということでございます。
 まだ、ほかに申し上げたいこともございますが、あとで何か質疑応答がございますようで、その節また質問にお答えして、私なりの考え方を述べさせていただきたいと思います。私が申し上げたいということをかいつまんでごく概略ながら申し上げますと、いま述べたような事柄でございます。
 どうも失礼しました。