県が19日、発表した08年度当初予算案の主な新規事業を紹介する。
◆少子化対策
◇第3子以降、保育料補助
工業団地の事業者が従業員の子どもの保育施設を共同設置した場合、設置費の半額を補助し、仕事と子育ての両立を支援する。テナント企業の社員の子ども向けに、ビル所有者が作った保育施設も補助する。2億4600万円を計上した。
病児保育サポート事業(820万円)では、働く保護者に代わり、保育所などで発病した子どもを保育士らが病院に連れていく体制を5市で整える。
乳幼児育児の支援では、第3子以降の保育料を最大で月額4500円補助する(2億2360万円)。また、若い保護者を保育所に集め、0~2歳児のしつけを体験学習してもらう(4450万円)。
まちの寺子屋プロジェクト(120万円)では、NPOなどを通じ、団塊の世代ら100人に地域の子育てに参加してもらう。
◆医療
◇「総合医」養成へ研修会
医師不足対策に、専門分野に偏らず幅広い診療能力を持つ「総合医」を養成する。神戸大医学部付属病院総合診療部などで研修会を開き、県内各地の勤務医や開業医計約15人に参加してもらう。120万円を計上した。
新人看護師の約1割が1年以内に退職していることから、就職前後の研修を充実させ、職場定着を図る。指導者層の看護師にも研修を開く(650万円)。
出産への不安を解消するため、周産期母子医療センター10施設の空床情報などを県内の医療機関で共有できるシステムを拡充する(560万円)。また、近畿2府4県などで妊産婦の広域搬送を協力して行う。診療と受け入れ機能を強化するため、県内の拠点となる県立こども病院に医師1人を配置する(580万円)。
◆防災
◇要援護者対策を充実
06年度以来となる県地域防災計画の修正に282万円を計上。県内を走る山崎断層帯で直下型地震が発生した場合の被害想定について、国の中央防災会議が昨年公表した想定が同計画の想定を大きく上回ったことから、内容と今後の態勢のあり方を検討する。また、昨年7月の新潟県中越沖地震などを踏まえて、災害時要援護者対策を充実させる。
東南海・南海地震で津波被害が想定される淡路島3市を対象とする災害時要援護者支援モデル事業に7500万円を計上。住基カードを所有する要援護者と支援者に電子メールアドレスなどを事前登録してもらい、情報提供などに活用する。
宅地耐震化の推進に522万円計上。地震時の造成宅地の安全性確認調査をするため、芦屋市と猪名川町で対象地を絞り込むほか、盛土マップを作成する。
◆地域
◇小集落活性化へ、交流モデル事業
都市部との交流によって但馬、西播磨地域の約10の小規模集落を活性化させる交流モデル事業を始める。08年度は900万円を計上した。50世帯以下で、65歳以上の高齢者の割合が40%を超える集落が対象。都市と集落の情報を共有できる交流拠点を県内11カ所に設け、集落での農作業や都市での物産展開催などで交流を深める。
全県的な観光振興策では、工場跡地などの「産業遺産」や映画ロケ地を巡る新たな観光ルートを設定する(260万円)。
ふるさと納税の寄付を呼びかけるため、県ゆかりの著名人で「ふるさとひょうご応援団」を結成する。県マスコット「はばタン」も活用し、各地の県人会やホームページなどで協力を呼びかける(270万円)。
◆環境
◇ひょうご方式創設へ
県内の事業所間で二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量の過不足分を売買する「排出量取引ひょうご方式(仮称)」の創設に向けて、検討委員会を設置するために158万円を計上。県は既に事業所に対して10年度までの排出抑制計画の提出を義務付けており、目標の達成が難しい事業所が余裕のある事業所から排出量を買い取る制度を整備する。10年度の制度開始を目指す。
住宅用太陽光発電普及促進に1920万円を計上。県の目標値である4万世帯を達成するため、金融機関からの融資で設置する際、利子の一部を7万5000円を上限にひょうご環境創造協会を通して補助する。また、5月24~26日に神戸市で開催されるG8環境相会合に合わせて、関連事業の開催費に2248万円を盛り込んだ。
◆県教委
◇学力向上へ3億9000万円
人件費の削減などで、県教委も前年度比4・2%の大幅減となる総額4346億5542万円の当初予算とした。
主な新規事業では、全国学力テストの結果などを踏まえた対策として「学力向上実践推進事業」を実施(3億9116万円)。各市町教委が提案する独自の取り組みを支援するため非常勤講師計315人程度を配置し、特定の教科での少人数授業などを進める。
高校生が対象の「ことばの力向上プラン」(74万円)は、各教科で学んだ知識や技能を活用する力を養うための教材を、08年度から3カ年計画で開発。全県立高へ普及させ、伝える力や討論する力などの育成を図る。
不登校やアレルギー疾病に苦しむ児童生徒が在籍する学校を支援するため、「スクールヘルスリーダー派遣事業」(788万円)を始める。退職した元養護教諭を「スクールヘルスリーダー」として、県内10の各教育事務所と県立学校に計22人派遣する計画だ。
いじめ対策では、携帯電話やインターネットによるいじめなどの相談を電話やインターネットで受け付ける「ひょうごっ子ネットいじめ相談」(438万円)を、NPO法人に委託して開設する。
◆県警
◇厳しい予算編成、給与や手当など減額
県の財政難を受け、県警も厳しい予算編成を実施。08年度当初予算の総額は前年度比2・9%減の1428億364万円となった。
県警は、人件費を約30億円減らすなどして減額予算に対応。警察官や職員の給料を2・5~7%、管理職手当を20%カットした。また、事務補助非常勤職員などを17人減らし、警察署の業務案内などを担う総合相談員(12人)や地域安全パトロール推進員(10人)を廃止するなどした。
このほか、手当も減額した。特殊勤務手当を2億5000万円削減し、光熱費などの庁舎等維持費も約6億2700万円減額した。署長交際費などの職員報償費(700万円)も廃止し、減額予算に対応した。
一方、新規事業は、北海道洞爺湖サミットに伴う神戸でのG8環境相会合の警備経費として1億1602万円、防弾チョッキなどの機材整備に6659万円などを計上した。
毎日新聞 2008年2月20日