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「世論の袋だたきに…」 異例の捜索認めた海自 '08/2/20

 「『ノー』と言えば世論の袋だたきに遭う…」。イージス艦衝突事故で海上自衛隊は、横須賀海上保安部による業務上過失往来危険容疑での「あたご」の家宅捜索を受け入れた。ミサイル防衛(MD)の中核を担う「機密の塊」に対する部外の捜査機関の強制捜査は避けたいのが本音だが、民間人の人命を巻き込んだ事故だけに、全面協力に追い込まれた格好だ。

 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪で海自の三等海佐が起訴された「イージス艦中枢情報流出事件」では、海自は神奈川県警による家宅捜索には難色を示し続けたとされる。

 県警は、事件に関与した疑いがあった隊員らの自宅や勤務先、乗務していた艦艇などを波状的に家宅捜索したが、イージス艦の家宅捜索だけは行われなかった。

 「秘密が詰まったイージス艦に文民警察の強制捜査が入るのを極端に嫌がる米側の意向があった」(海自幹部)といい、イージス艦の家宅捜索に関しては、海自が「捜査に必要な資料の任意提出に応じるから、強制捜査だけは勘弁して」とかたくなだったとされる。

 今回の事故で海自が態度を一変させた背景を別の海自幹部は「民間人の命にかかわる事故で捜査に全面協力しなければ、世論の袋だたきに遭う。(世論の猛反発を買った一九八八年の)『潜水艦なだしお事故』の二の舞いは避けたかった」と本音を漏らした。

 また、今回は捜索対象が軍事機密が集中する戦闘指揮所(CIC)などの中枢ではなく、艦橋など操船や運航にかかわる部分に限られるため、海自サイドがすんなり応じたとの見方もある。




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