西胆振6市町の首長と4総合病院長らは19日、室蘭市防災センターで、西胆振医療懇談会(座長・新宮正志室蘭市長)を開き、4月以降の西胆振の産科医療体制を話し合った。日鋼記念病院は医師確保の見通しが立ち休止状態の地域周産期母子医療センターを再開、市立室蘭総合病院は婦人科をメーンとした診療体制、新日鉄室蘭総合病院は医師2人を確保し常勤医3人体制となる−などが明らかになった。
 
 
  西胆振では唯一、新生児集中治療室(NICU)を併設し、ハイリスク分べんを扱っていた日鋼病院の地域周産期母子医療センターは昨年3月末以降、医師の退職で休止状態だった。地域の妊婦の不安は大きく、救急の母体は同センター認定を受けている苫小牧市の2病院など市外に搬送されるケースが出始めていた。
   同院は4月以降、札医大派遣の女医2人を常勤医として確保、さらに市立病院から週3回、医師1人の応援を受ける。小児科医は1人減の4人だが、助産師14人などとのスタッフで「ハイリスク分べんを扱うセンターを再開する」(勝木良雄母恋理事長)という。
   新日鉄病院は現在、産婦人科常勤医1人だが、4月からは新たに札医大派遣の女医2人を確保、常勤医3人体制で「正常分べんはかなりの数をこなせる」(山口秀一同院事務局長)体制となる見込み。
   同院には伊達赤十字病院の常勤医引き揚げの影響もあり、西胆振から妊婦の集中が見られる。伊達赤十字病院は「4月以降、出張医の派遣も難しい状況が予想される」と窮状を示した。
   産婦人科常勤医3人体制だった市立病院は、1月末に1人減となり、日鋼病院に医師を応援派遣するため、婦人科をメーンとする方針。「周産期センター認定申請を検討したが、条件が整わず時間がかかりすぎる。可能な限り分べんも扱い、何としてもこの地域でお産難民を出さないようにしたい」(近藤哲夫同院院長)としている。
   首長は、同地域で扱えなくなっていたハイリスク分べんの再開や、市立病院と日鋼病院が連携、"すみ分け"をした異例の措置などに歓迎の声を上げた。平成19年12月時点で開業医を含めた産婦人科医師数は6人だったが、4月以降は18年12月当時の8人体制に戻り、応援出張を含めると10・5人となる。
     
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