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2008年2月20日

 名は伏せるが、ある評論家に妙な癖があった。取材に出向くと、「ぼやぼやしないで、さっさと始めろ」などと、いきなり大声を出す

ビックリするが、やがてコワモテぶりを印象付ける芝居だと気が付く。田中角栄元首相をまねたという応対を心掛ける人もいれば、そんなことを意にとめぬ人もいる。イージス艦の衝突事故で記者団に開口一番、「大変だ」と語った福田首相は、どっちだろう。大変なことが起きたことは、言われなくても分かる。木で鼻をくくったような言葉である

官邸に事故の連絡が入ったのは二時間も後だった。その危機管理のお粗末を指しての「大変だ」としたなら、言葉が足らない。フッフッフッの含み笑いが得意な首相だが、含みのある言葉も時と場合によりけりだろう

官僚の対応の遅れは、毒ギョーザ事件でさんざん聞かされた言葉である。そのケリがつかないうちにまた重大事故と不手際が起きた。とかく「親官僚」と評判の立つ現政権だけに、度が過ぎると、なめられてしまいはしないか

飼い犬に手をかまれたような今回の事態である。犬の良しあしは、主人の最初のしつけ次第と聞いた。


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