建築基準法改正後の大臣認定プログラムはどうなるのか
【第3回】大臣認定プログラムはいつ誕生するのか
昨年6月の改正建築基準法の施行後、 建築確認申請の構造計算書を作成する大臣認定プログラムが不在の状態が続いています。このほど、1本のプログラムが「仮認定」され、正式認定に向けて産官 連携のコンソーシアムによりチェック作業が行われています。改正建基法で大臣認定プログラムに求められる要件とは何なのか、そして今後、大臣認定プログラ ムはどうなるのかを国土交通省住宅局建築指導課の小野田吉純課長補佐に聞きました。 |
国土交通省 住宅局 建築指導課 課長補佐 小野田 吉純 氏 国土交通省のホームページ http://www.mlit.go.jp/ |
───昨年6月の改正建基法施行以来、大臣認定構造計算プログラムが“不在”の状態が続いていますが。
小野田 当初は2007年末までにプログラムの開発や大臣認定を完了できる見込みでした。しかし、構造関係基準の改正を踏まえ、適正な計算を行うことはもちろん、偽装を防止する機能や審査を迅速に行えるようにする機能などを盛り込むための開発に時間を要しており、予定より遅れています。
そこで、最も開発が先行しているNTTデータの構造計算プログラムを1月21日に「仮認定」し、プログラム開発者のNTTデータ、構造設計者として大手建設会社や建築設計事務所など、そして審査機関や行政庁代表の日本建築行政会議からなる「コンソーシアム」を設立し、できるだけ早く、正式な認定を行えるように活動しています。
大臣認定構造計算プログラムに関するコンソーシアム メンバー企業・団体一覧(資料:国土交通省)
開発者 |
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NTTデータ |
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メンバーA(構造設計者チーム) 計23 |
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建設会社(計11) |
設計事務所(計12) |
大林組 |
織本構造設計 |
奥村組 |
鼎建築事務所 |
鹿島建設 |
現代構造 |
京成建設 |
佐藤総合計画 |
清水建設 |
スタンスドットエスティー |
大成建設 |
立石構造設計 |
大和ハウス工業 |
東京建築研究所 |
竹中工務店 |
東電設計 |
戸田建設 |
能勢建築構造研究所 |
長谷工コーポレーション |
三菱地所設計 |
三井住友建設 |
山下設計 |
和田建築技術研究所 |
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メンバーB(審査機関チーム) 計10 |
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指定確認検査機関(計5) |
指定構造計算適合性判定機関(計5) |
西日本住宅評価センター |
大阪建築防災センター |
日本ERI |
東京都防災・建築まちづくりセンター |
ハウスプラス住宅保証 |
日本建築センター |
東日本住宅評価センター |
日本建築総合試験所 |
ビューロベリタスジャパン |
ベターリビング |
行政庁代表 |
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日本建築行政会議 |
───コンソーシアムではどのような活動を行っているのでしょうか。
小野田 メンバーAの構造設計者チームで、仮認定されたNTTデータの構造計算プログラムを試行的に使用し、バグがないかどうかを短期間で効率的にチェックすることが主な活動です。
そして、メンバーAで作成された構造計算書をメンバーBの審査機関チームが審査してみて、審査上の問題点を洗い出します。
こうしたチェック作業は、普通なら開発者独自で実施するものですが、今回は少しでも早く開発を前に進め、大臣認定を実現するために、多くの企業、団体の協力の下でチェック作業を分担しています。
コンソーシアムの体制 (資料:国土交通省) |
───プログラムのチェック作業にはどのくらいの期間を見ていますか。
小野田 約1カ月でチェックを完了させ、2月下旬には建基法改正後の第1号となる大臣認定を出せるようにすることを目標にしています。
───NTTデータ以外の構造計算プログラムの進捗状況はどうなっていますか。
小野田 ほかに2社が開発中と聞いています。
───コンソーシアム以外には、どんな取り組みを行っていますか。
小野田 今は仮認定ですが、正式に大臣認定になったとき、全国の設計者が大臣認定構造計算プログラムをスムーズに使えるようにするために、内容を理解していただくための研修会を行っています。2月4日と15日に東京、8日に大阪で開催するほか、札幌、名古屋、福岡などでビデオを使った研修会を行う予定です。
日夜、開発者担当者などには、まさに神経をすり減らす思いで開発に取り組んでもらっています。国交省としても、なるべく早い時期に大臣認定プログラムを建築業界に送り出したいと思い、最大限の協力をしています。
2月4日、東京で開催されたコンソーシアムの研修会 (写真:日経アーキテクチュア) |
(次回は2月25日に掲載します)
2008年02月18日 00:00 | パーマリンク