年の瀬に起きた横須賀基地所属の海上自衛隊護衛艦「しらね」の火災で、隊員が無許可で持ち込んだ電気機器が出火原因となった疑いが強まった。缶コーヒーの保温機持ち込みが、修理費50億円につながった。海自は昨年12月14日の火災翌日、監察官をトップとする事故調査委員会を設置した。メーカーのほか警察や消防に鑑定を依頼するなど調査を進めた結果、戦闘指揮所(CIC)内に残された持ち込み禁止の保冷温庫の存在がクローズアップされた。
火災の火元は、艦橋の中心に位置する約120平方メートルのCIC。レーダーなど電子機器が並び、他艦の指揮や武器もコントロールする艦隊の中枢部だ。しかし、現段階では、保冷温庫の操作ミスなのか、故障による出火なのかなど詳しい原因は分かっていない。機器を室内に持ち込んだ隊員の特定も難航しており、事故調はさらに調査を進めるとみられる。
誕生した07年、防衛省は火災発生前も、守屋武昌・前防衛事務次官が逮捕され、イージス艦情報流出事件でも逮捕者を出し、さらに給油量取り違い問題で国会論戦の矢面に立たされるなど、大揺れ状態だった。
しかも、横須賀基地では、04年に別の護衛艦で起きた暴行事件で有罪判決を受けた2曹らが、CICで度々無許可で持ち込んだエアガンを使いサバイバルゲームをし、後輩隊員をいじめていたことが発覚している。【本多健】
毎日新聞 2008年2月19日 2時30分