大学を取り巻く環境は、高度情報化の進展やグローバル化の進展などにより急激に変化している。また、社会や住民のニーズはより多様化し、大学に対する期待や要請も多種多様なものとなっている。 新システム導入により、教師が点呼をする必要がなくなる(写真はイメージ、ロイター) バブル崩壊以降、大学、あるいは学部の新設、また少子化などの影響もあって、入学希望者数が入学定員を下回る「大学全入時代」を迎えると言われている。この問題は「2007年問題」の1つに数えられている。 大学自体が市場原理によって淘汰(とうた)される時代に入った現在、大学崩壊や大学のレジャーランド化が叫ばれて久しい。 レジャーランド化と言えば、青森大学が2005年に開発した「携帯電話による出欠確認システム」も、1つの例であると言ってもいいかもしれない。 これを紹介している河北新報の記事によれば、このシステムは他大学でも使われ始めているという。学生の履修科目の授業の出席状況が一目で分かり、教員の労力も大幅に軽減できるのがメリットであるという。このシステムは、青森大が開発し、青森共同計算センター(青森市)が実用化した。それに伴い、今年5月に大阪電気通信大(大阪府寝屋川市)が導入し、先月には九州の大学が試行を始め、本格的な使用を検討しているとのこと。 また、同記事内で、開発した青森大学の福永准教授は、 「わずかな労力と時間で講義への出席をうながすことができる。大学生の学力低下が問題となるなかで、大学教育の改革につながる」 と話している。 私は失笑した。 そこまで大学の授業に出席することが大切なのか、と。 「出席=意欲」ではないのである。 少なくても今回の事例は、青森大学や大阪電気通信大に限ったことではないと言えよう。学生は「いかに楽をして単位を取得できるのか」を考えているからだ。出席以前の問題である。 大学を変えるのであれば、出席システムの構築ではなく、学生の視点に立った大学運営を行うことが先決なのではないか。 【編集部注】 記事中の引用部分に出典を追記しました。(2007/9/25 14:39)
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