歌舞伎女形の坂東玉三郎と中国の昆劇(こんげき)の合同公演が3月6~25日、京都・南座で開催される。歌舞伎と昆劇の日中合同公演は、演劇史上初めてという。玉三郎は昆劇の最高傑作「牡丹亭(ぼたんてい)」でヒロインを演じ、近年激減している昆劇女形の復活に一役買う。
昆劇は約600年前、昆山地域で生まれ、明から清の時代にかけて最盛期を迎えた。歌と舞踊が一体になって演じられ、叙情性に富むのが特徴。「牡丹亭」(湯顕祖作)は全55幕。今回は5場を上演し、そのうち「驚夢」と「離魂」の場の杜麗娘(とれいじょう)役を玉三郎が演じる。絶世の美女、杜麗娘が夢で若者、柳夢梅(兪玖林)と楽しい時を過ごし、夢から覚めても忘れられない。「会えぬなら、いっそ命絶えてしまいたい」と歌い、死んでしまう。
玉三郎は「二十数年前、国立劇場で『牡丹亭』を見て大変感動した。『離魂』は難しく、私が演じさせていただくとは夢にも思わなかった。昆劇は繊細で日本と通じ合うところがあり、人生が芸術として描かれている」と話す。もちろん、中国語で演じる。
共演する中国江蘇省蘇州昆劇院の兪は「玉三郎さんは想像以上に美しく、歌の節回しがお上手でびっくりしました。杜麗娘にぴったり」と話す。
また玉三郎の舞踊の代表作の一つである「楊貴妃」も上演。方士(周雪峰)が楊貴妃(玉三郎)の霊魂を探し出す。5月6~15日、北京湖廣会館でも上演する。問い合わせはチケットホン松竹(0570・000・489)へ。【宮辻政夫】
毎日新聞 2008年2月19日 東京夕刊