日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。


 

                       

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この情報の最も新しい更新日は2月19日(火)です。

漁船と衝突

最新イージス艦

 「あたご」

(2月19日)

 

すいません。時間がありません。これからテレビ局に向かいます。

 事故の原因は「双方の見張り」不十分です。これはだれが考えても同じことです。事故当時の海域の天候は、風速7メートル、曇り、うねり2 です。このうねりに漁船が隠れて、レーダーでは探知できにくくなります。しかし漁船は夜間に航海灯を点灯しています。かなり遠くから航海灯の揺れや動きをを確認することができます。

 にもかかわらず、衝突したのは「見張り」が不十分という以外に原因はありません。漁船の切断面を見るとほぼ直角に交わっています。あたごの船体・先端が直角に衝突したという意味です。

 時間がなくてこれ以上は書けません。

東京マラソン応援

本日、更新休止

撤収支援を担当

(2月17日 日曜日)

   いよいよ本日は東京マラソンです。残念ながら私は抽選にはずれ、マラソンに参加することはできませんでしたが、同じランニング・クラブの友人2名が挑戦します。その一人は67才の男性で、恐るべき速く走る人です。フルマラソンは初めてだそうで、私はゴールの東京ビッグサイトで待ち受け、二人を自宅まで送り届ける役目です。軍事作戦でいえば「撤退支援班」です。

 そのため午前9時から1時間の通常練習(ランニングクラブ)に参加し、その後、スポーツクラブのシャワーを浴びてから、フィニッシュの東京ビッグサイトに向かいます。東京マラソンは9時10分にスタートですから、12時過ぎには現地到着につもりで行動します。

 それが終われば、私も来年のフル・マラソンに向けて始動開始です。幸い、東京の本日は気温は低い(最高気温 8度C)ですが快晴です。昨年の雨天と比べるとベスト・コンディションだと思います。

 東京ビッグサイトでマラソンランナーの元気をいっぱいもらってきます。皆さんも本日は、東京マラソンを観戦したり、応援して、ランナーの元気をいっぱい感じてください。

南部地域でUNMIS参加

自衛隊PKO、

スーダン派遣検討

自衛隊側は難色

(読売 2月16日 朝刊)

[概要]政府は15日、スーダン南部に展開する国連平和維持活動(PKO)の「国連スーダン派遣団(UNMIS)」に自衛隊を派遣する検討に入った。これはスーダン西部のダルフール地域で展開中のPKO「国連・アフリカ連合合同部隊(UNMID)」とは別の活動で、自衛隊には和平合意の履行確認や地雷除去支援などの任務を想定している。

 スーダン南部は1983年以降に、北部のイスラム教徒主体の政府軍と、南部でキリスト教徒の多い反政府勢力が激しい内戦を繰り広げてきたが、2005年に和平合意が成立した。UNMISには昨年8月末現在、日本を除くG8(主要8カ国)のほか、中国や韓国も要員を派遣し、部隊要員8800人、文民警察官660人、軍事監視要員607人が活動中だ。日本政府はこれまでの検討で、UNMISは国連平和維持活動協力法(PKO協力法)で自衛隊参加5原則を満たすと判断した。

 スーダン西部のダルフール地方でPKO活動の「国連・アフリカ連合合同部隊(UNAMID)」を巡っては、紛争当事者の停戦合意がないため、PKO協力法の原則を満たさないので自衛隊は参加できない。

 政府は自衛隊をUNMISに派遣することで、7月の北海道洞爺湖サミットで福田首相の提唱する「平和協力国家」をアピールしたい狙いがある。日本のPKO要員派遣は昨年11月末でわずか53人で、世界81位にとどまっている現実がある。これはG8の中では日本が最も少なく、中国の約34分の1,韓国の約7分の1だ。「これではサミット議長国としてイニシアチブを発揮できない」(外務省幹部)という。

 ただ防衛省・自衛隊側には「何でも自衛隊を出せばいいというわけではない。一定の基準も必要だ。地域的にはアジア、せめて中東までではないか」(幹部)という意見が出ている。このため、スーダンの首都ハルツームにあるUNMIS本部に司令部要員を派遣するだけの可能性がある。

[コメント]これは日本の「平和協力国家」という国際貢献策というよりも、洞爺湖サミット対策でのその場しのぎ国際貢献策である。外務省はこんな思いつきしかできないからバカにされる。海外に自衛隊の部隊を出すなら、旧軍のように後方支援体制を無視してはいけない。またスーダンへの自衛隊(部隊)派遣なら、8月の洞爺湖サミットまでに装備・訓練・情報などの準備が整わない。また外務省の軍事オンチぶりをさらけ出してしまった。

 外務省は自衛隊は部隊を出せないというなら、司令部要員だけでも出せというかも知れない。しかしUNMISは町内会の集まりではない。顔だけ出せば済むような問題ではないのだ。それこそ各国から無責任な司令部要員派遣と非難される。外務省は防衛省にPKO派遣を要求するなら、もっとリアリティーのある軍事を勉強してから提案をするようにして頂きたい。

 私はアフリカの問題はアフリカ連合(AU)と欧米に任せるべきと思うし、欧米には過去の植民地政策でアフリカを混乱させた責任がある。また中国がスーダンにPKO派遣しているのは、スーダンの石油利権で影響力を強めたい政治的な目的がある。日本のように平和協力というわけではない。

 しかしUNMISに部隊派遣ではなく、停戦監視員なら自衛隊は参加(派遣)を検討してもいいと思う。伝染病や交通事故の危険はあるが、そのことを自衛隊の体験として学ぶためにもスーダン派遣は価値がある。また自衛隊がUNMISに停戦監視員を出すなら、ハルツームの司令部要員に自衛官の派遣が必要になる。

 しかしもう内閣府の防衛庁の時代ではなく、国の安全保障政策を立案する防衛省の時代である。防衛省からの「国際貢献策」の発案に期待する。

情報機能強化検討会議

内閣情報分析官

 5人配置

官邸機能強化へ方針

(読売 2月15日 朝刊)

[概要]政府の「内閣情報機能強化検討会議」(議長・町村官房長官)は14日、官邸の情報収集・分析力を向上させるため、内閣情報分析官の新設や合同情報会議の機能強化などを盛り込んだ「官邸における情報機能強化の方針」をまとめた。

 新設の情報分析官は内閣情報調査室(内調)に5人程度配置し、各省庁からの情報を総合的に分析し、首相に示す「情報評価書」の原案を作成する。任期は「原則3年以上」とした。

 官邸ではこれまで、警察庁、防衛庁、外務省、公安調査庁の局長級らが隔週開催する「合同情報会議」があり、その協議を経た情報が内閣情報官に伝えられていた。新たな仕組みでは、財務省、経済産業省、金融庁、海上保安庁も加えて幅広い情報を集約し、官邸に伝える情報を評価書に形でまとめて、どのような情報を伝えるか明確にする。長年の課題とされていた省庁の縦割りを是正するのが目的だ。

 安倍政権は国家安全保障会議(日本版NSC)を創設し、情報部門が分析した情報を基にNSCが政策判断をする仕組みを想定していた。しかし福田政権では安倍政権のNSC創設は見送られた。一方、今回の福田政権案でも、日本版CIA(米中央情報局)ともいえる対外情報機関の設置は盛り込まれなず、「専門的かつ組織的な対外人情報収集の手段、方法などのあり方の研究を深める」にとどまった。

[コメント]双六(すごろく)でいえば、またしても振り出しに戻ったようなものである。今までに何度も首相官邸は、情報の縦割りを是正し、省庁間の垣根を取り払い、一元的に官邸が情報を管理し、政府の素早い情報対処機能を強化するためという声明を出した。またそのために何度も手前勝手な検討会や諮問会が開催された。しかし出てくる結論はいつも大差ない。縦割りを是正し、官邸が一元的に運用できる新体制ということになる。

 さすがに安倍政権の日本版NSCや日本版CIA創設の「大風呂敷き」に呆れたが、今回の情報分析官の新設も「小風呂敷き」程度で大差ない。

 まず省庁は情報を官邸に上げてこない。官邸に上げるどころか、警察の場合は刑事と公安でも情報を教え合うことは希である。防衛省でも内局(シビリアン)と自衛隊(ユニホーム)が何でも情報を共有するようなことはない。省庁間や省庁内で予算や権限を奪い合っているものが、相手の立場を強め、自分の立場を弱める情報提供をしないのだ。

 つぎに情報収集・分析強化の向上を阻止しているのは、官邸(内調)に派遣されてくる情報分析官の質の低さである。政府に効果的で責任ある「情報評価書」を書けないのである。もし緊急事態で官邸が判断や対処を誤れば政権は一気に不安定化する。そのような原因となる「情報評価書」を自信を持って書き示す能力がない。また情報分析官が多少「情報評価書」を間違っても、アメリカのように他の情報機関が誤りを是正する情報機関が日本にはない。

 情報分析官にしても言い分はある。官邸がいくら「檄」を飛ばしても各省庁が情報を上げてこないばかりか、各省庁も満足な情報を持っていないという現状がある。これはオウムの地下鉄サリン事件では警察にサリンという神経ガス(Gガス)の知識がなかったということだ。また外務省は自らの軍事オンチに気づかず、手前勝手な世界観で解釈した有害な情報を平気で上げてくる。

 低級な者でも集まれば高級になることはない。さらに混乱して低級さが増すだけである。今はただ、やがて情報の天才(鬼才)が現れて、政治家や官僚を脅しつつ、日本の情報機関を築くのを待つだけだ。有力政治家や官僚の電話をすべて盗聴し、行動を把握し、個人資産の流れを監視し、過去の人間関係まで調べ上げて、情報機関強化に反対する者を”脅す”ことのできる人物の登場である。強力な情報機関にはそのような両刃の剣の働きができるのだ。政治家や官僚にそれを受け入れる覚悟がなければ高度な情報機関の創成はできない。

自衛隊海外派遣恒久法

憲法解釈置き去り

自民部会 

 技術論先行きに危うさ

(毎日 2月14日 朝刊)

[概要]自衛隊の海外派遣の要件を定める恒久法の合同部会が13日、自民党内に発足し、恒久法制定議論が本格化した。党内では新テロ特措法が1年間の時限立法のため、「来年までに恒久法が必要」との認識が広がっている。

 合同部会の座長である山崎拓前総裁は、「内閣法制局の判断は重要。従来の憲法解釈を踏襲することを前提に議論する」と強調する異例の挨拶で会議を始めた。もし恒久法が憲法解釈の変更に進展すれば、法整備が暗礁に乗り上げることを警戒している。

 現行での憲法解釈では、海外で自衛隊の武器使用は「国や国に準じるような組織」(神浦・・・正規軍や準正規軍)が相手ではなく、「自分や自分の管理下にある人」(神浦・・・自衛隊員自身か自衛隊員が管理している者)を守るための正当防衛に限られている。他国軍隊が襲われた際、いわゆる駆けつけて護衛することや、巡回監視活動はできないため、武器使用基準の解釈変更を求める声が上がっている。

 ただ憲法解釈の議論が始まれば公明党が反発するのは必至。同党はすでに国際協力の「勉強会」を始めているが、「恒久法制定を前提としたものではない」と慎重姿勢を崩していない。

 先の臨時国会で野党の民主党議員も政府に恒久法制定を要求した。小沢代表は福田首相との「大連立構想」の際にも恒久法が議題になった。

 自民党部会では、この議論は「民主党に手を突っ込む材料」と政局含みの見方があるが、「命にかかわることを政争にすべきでない」という懸念も出ている。ただ「武器使用基準」など技術論が先行しているのが実態で、憲法との整合性などの調整は難航が予測される。

[コメント]いよいよ「自衛隊の海外派遣(国際貢献)」の恒久法論議が始まった。いくら民主党の一部が恒久法論議はわが党を分断させるテーマだと指摘しても、この議論を避けることはできない。これは日本にとって「日米安保条約」並みに重要な安全保障政策と思う。また公明党が自衛隊の原則を否定するような発言を始めると、将来、日本は重要な国益(効果ある国際貢献)を損なう議論になる。これは政治家が日本の本質を決定する重要な議論である。この恒久法の議論では、インチキ論、偽善論、一時的な問題回避論、無視、論点のすり替え、防衛利権の要求など、政治家のサボタージュは無用にして頂きたい。

 実はこの記事に書かれている自衛隊の武器使用を禁じた2つの制限はすでに破られたことがある。

 まず自衛隊員が武器を装備した巡回監視活動は、カンボジア国連PKO活動(UNTAC)の時に、ポル・ポト派が投票所を襲うという情報(あとで誤報と判明)で自衛隊の巡回監視活動が行われた。自衛隊のUNTAC派遣隊員の中からレンジャー訓練経験者を集め、銃と実弾を携帯し、自衛隊車両で駐屯地周辺の投票所で巡回監視を行った。(書籍 「兵士に聞け」 杉山隆男氏著 新潮社刊に詳しい)

 また駆けつけ警備については、イラクのサマワに陸自・先遣隊の隊長として派遣された佐藤正久元1佐(ヒゲの隊長 現参院議員)が、テレビに出演し、サマワで治安・警備を担当しているオランダ軍基地が襲撃された際、自衛隊は「駆けつけ警護」をして、自衛隊がオランダ軍と共同して敵に反撃する体制にあったことを証言している。

 ならば、この2例は自衛隊の勇み足なのだろうか。自衛隊は憲法で禁止された武力行使を勝手に破り、許可なく不当な武器使用寸前まで行ったのだろうか。

 私はそうは思わない。あくまで自衛隊は常識の範囲の自然権として防衛したのであって、そのことを否定する現行の武器使用に問題(欠陥)があると思う。すなわちカンボジアやイラクの例は、自衛隊員の武器を使用できる正当防衛の範囲内として考える問題であると思う。

 当時、カンボジアでは投票所を守る地元の警察や軍隊はなかった。世界から派遣されてきた選挙監視人と地元民の選挙ボランテアを守ることができるのは自衛隊(UNTSAC)しかいなかった。しかし仮に本気でポル・ポト派が投票所を襲撃すれば、小銃と数発の実弾しか持たない自衛隊の巡回監視チームは全滅必至であった。それでも何もしないよりはマシという「非軍事的」な認識で行った行動だった。私はこれを指して、日本政府は自衛隊員の手を縛って戦場に送り出したと非難した。

 またサマワのオランダ軍が武装勢力から襲撃を受け、損害を行ければ、自衛隊は警護を担当する部隊を失うことになる。つまり、これもにも自然的な正当防衛権で自衛隊がオランダ軍襲撃に対処することは現行で可能と思う。

 要するに内閣法制局や政治家や防衛(外務)官僚は、自衛隊を海外に派遣する意味と、現地の状況が理解できていない”認識不足”がある。公明党にも同じ指摘ができる。

 しかし反米武装組織と戦闘中の米軍や、確実に戦闘が想定される地域に、あえて自衛隊を派遣することはできない。サマワでは無理やり(騙し騙し)乗り切ったが、実際にロケット弾が自衛隊宿営地に向け発射された事実を忘れることはできない。

 そこで提案するが、自衛隊の国際貢献での武器使用は現在の憲法解釈の変更や見直しを行う必要はないと思う。むしろ現行の憲法解釈を積極的に活用し、自衛隊に適合した国際貢献の任務のあり方を考えるべきと思う。これからの国際貢献の概念を従来の延長から切り離すのだ。

 例えば、海外派遣する自衛隊の車両は迷彩色ではなく、全体を白く塗り、車体に現地語で「日本」の文字と「日の丸」を描き、日本の自衛隊が軍事作戦ではなく国際貢献のために来ていることを大きく示すのである。自衛隊の武器の使用は武装強盗対策や住民保護のために使用する。正規軍であっても武装強盗する国があるのでお忘れなく。また戦闘が想定できる地域でも警備や治安作戦は行わない。それはちょうど国際赤十字の活動に近いものとして国際社会に位置づけるのだ。

 昔、カンボジアに派遣される自衛隊隊員に、「憲法が自衛隊を守る」と話したことがある。イラクのサマワでも自衛隊員を守った最大の功労者は憲法だったと思っている。

 今は防衛・外務官僚と一部政治家が組んで暴走し、自衛隊にはシビリアン・コントロールから絶対の服従を迫る時代なのである。そのシビリアンの暴走を防いでくれたのが憲法ではなかったか。私はこれからも憲法が自衛隊員を守ってくれると信じている。

 恒久法議論では、日本を国際的な平和大国に位置づけるか、それとも日本の政治家が米大統領に忠誠心を示すために自衛隊を米軍に差し出すのか。そのどちらかの選択である。

少女暴行 米兵逮捕

普天間移転に

  暗雲

(産経 2月13日 朝刊)

[概要]沖縄で中学3年生の少女(14)が米海兵隊員に暴行される事件が起き、政府が進める普天間飛行場移転問題に暗雲が漂い始めた。

 政府は沖縄県と移転先になる名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部の環境影響評価(アセスメント)調査を月内開始で合意している。しかし繰り返される同種の事件に対し、政府が抜本的な再発防止策を打てなければ、再び県民世論の反発を受けて、移転計画が暗礁に乗り上げる可能性もある。

 政府は山口県岩国市の市長選挙で空母艦載機の移転容認派が当選したことで「米軍再編が着実に進む環境ができた」(町村官房長官)と期待していただけに、事態の沈静化に追われている。政府・与党の幹部には、1995年に沖縄で起きた女子暴行事件で、米軍基地返還運動が高まり、普天間飛行場の返還に合意するきっかけとなったことが脳裏をよこぎっている。

 石破防衛相は12日の記者会見で、日米が共同で再発防止策を検討する考えまで踏み込んだ。背景には米軍による再発防止策が実を挙げていないことへの根強い不信感がある。福田首相は米軍再編を最重要課題の一つにするが、関係自治体で駐留米軍への信頼が揺らげば、政府の努力も水泡に帰す。外務省は藪中外務事務次官が在日米大使館のドノバン臨時代理大使を呼び、綱紀粛正を要請した。また13日には小野寺外務副大臣を沖縄県に派遣し、米軍との折衝に当たらせる考えだ。

[コメント]この女子中学生への暴行事件を米軍再編問題と切り離せという主張がある。沖縄の反米軍・反安保サイドがこの事件を活用し、米軍基地への反対運動を高めるからだそうだ。あくまで暴行事件は刑事事件であって、米軍再編や普天基地移転は政治・安保上の問題だから違うという。

 しかしそれは被害者側の立場を無視した手前勝手な論理でしかない。この異常な犯罪を生んだ土壌こそ、沖縄の米軍基地問題があるからだ。もともとの元凶を無視して、そこから派生する悪だけ対処しても解決策にはならない。

 ところで沖縄に転勤した自衛官が米軍嫌いになるのが多いということをご存じだろうか。転勤で沖縄に住んで初めて米軍基地の大きさに驚き、沖縄で米兵の勝手な振る舞いに嫌気がさすという。沖縄に勤務した自衛官は「ここは日本だ。アメリカではない」という気持ちが強まると聞いたことがある。

 ともあれ今回の暴行事件を受けて、これから沖縄で超党派の「県民抗議集会」が開かれるかに焦点が集まってきた。もし県民大会が開催されれば、今回の暴行事件は政治問題として今後の米軍再編への影響は避けられない。もし県民大会が開催されないなら、この事件は刑事事件として日米地位協定で処理されることになる。すべては沖縄の人々の怒りの程度が今後の推移を決定することになる。

 間違っていけないのは、今後の推移を決定するのは政府や在沖米軍ではない。あくまでも沖縄県民の感情である。その県民感情に政府もアメリカも鈍感である。

女子中学生を暴行

米海兵隊員を逮捕

抗議の声高まる

(各メディア 2月12日)

[概要]沖縄市の繁華街で、14才の女子中学生が米海兵隊のタイロン・ハドナット容疑者(38才 2等軍曹)から「家に送る」などと声をかけられ、自宅や車の中で暴行される事件が発生した。タイロン容疑者はキスをしたり下半身を触などをしたが暴行したことは否認している。

 沖縄では1995年に小学6年生の女子が3人の海兵隊員に暴行される事件が起き、沖縄県民8万5000人が参加する大抗議集会が開かれた。これが日米地位協定の見直しや、普天間基地移転などに結びついていった。

[コメント]容疑者が海兵隊員の38才という年齢に驚いた。2等軍曹という階級なら20年間しか軍に在職できない。仮に20才で入隊したなら40才で定年という意味である。それほど海兵隊を熟知した兵士が女子中学生を暴行する異常さである。米海兵隊には狂った価値観があるとしか思えない。

 アメリカで米海兵隊に入隊すると、まず本国で基礎訓練を受ける。それから世界各地を巡回しながら砂漠戦、ジャングル戦、水際上陸戦、市街戦などの訓練を受けることになる。大部分の海兵隊新兵にとって、沖縄はそれらの外地訓練では最初の海外訓練地になる。新兵で初めて海外任地が沖縄というのも多い。だから沖縄で多発する新兵の性犯罪が多い理由と指摘されたこともあった。

 しかし今回は新兵の性犯罪ではない。海兵隊で大ベテランの38才の性犯罪なのである。この事件で女子中学生が容疑者の「送っていく」と言葉を信じて、バイクに乗ったことを「軽はずみ」と指摘する声を聞いたが、この事件では100パーセントの責任の米兵にあって、女子中学生にはない。女子中学生にアメリカ人の男を見れば暴行魔と思えとは教育されていない。中学校で英語を習う英語圏から来た先生と同じ人間と考えても罪はない。女子高生の娘を持つ父親として、この米兵に強い怒りを感じる。

 車の中で中学生にキスをしようとしたり下半身を触っておいて「暴行していない」とは、日本人に対して差別心があるとしか思えない。嫌がる14才の女子中学生を体を触ったことを、悪と思わない米兵の価値観の違いとは思えない。

 2月10日の岩国市長選挙の前にこの事件が起きていれば、「艦載機移転容認派候補の当選」結果はまったく逆になっていたと思う。容認派47081票、反対派45299票、その差1782票であった。

 私の今までの経験からいうと、このような重大な事件の後で、同じような事件が再発したことが多くあるように思う。米軍は同様な事件の再発を絶対に防ぐとともに、日本の警察も警戒を厳重にして米兵が軽々しく女子中学生に声をかけるような雰囲気ではないことを示す必要がある。

本日は新聞休刊日

更新を休止します

(2月12日 火曜日)

 本日は一般紙の新聞休刊日です。そのため更新を休止します。なお、2月10日の「世界で新軍拡競争」の記述で、本日、ハイテク兵器の部分に関して加筆しました。

アフガン問題で米警告

「増派しないと

 NATO崩壊」

ゲーツ国防長官が演説

(朝日 2月11日 朝刊)

 

[概要]ドイツを訪問中のゲーツ米国防長官は10日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、独仏などNATOの一部が戦闘の激しいアフガン南部への展開に難色を示している問題で、「(戦闘に参加する意志のある国とない国に二分するなら)事実上NATOは崩壊するだろう」と強く警告し、改めてアフガンへの増派をNATO諸国に要請した。

 一方、ドイツのシュピゲール誌(電子版)は9日付の誌面で、ドイツ政府はアフガン派遣要員の上限を約3500人から約4500人に引き上げ、イタリア軍が派遣されている西部バドギスをドイツ連邦軍に組み込むことも検討していると報じた。

[コメント]戦闘の激化が報じられているアフガン南部に、独仏のNATO軍部隊を新たに増派させることを米英は強く求めている。今回のゲーツ長官の訪欧はそのための要請が目的だ。しかし独仏の反応は極めて鈍い。もしアフガン南部に展開すれば、カナダ軍同様に戦死者の数が増えることは必至だ。そこで独仏の狙いは、なんとかこの1年間はお茶を濁しておいて、次のホワイトハウスの新しい主人(米新大統領)で、この問題を片づけたいと願っている。

 独仏軍が同じアフガン派遣(南部)を行う場合でも、次の米大統領に恩を売りたいと考えている。すなわち残りわずかとなったブッシュ大統領の影響力(指導力)が際立って低下している証明である。

 それからイラク同様にアフガン治安作戦でも、出口戦略を示すことができないブッシュに対する不安がある。

 おそらく韓国や日本にも同様のことが言えると思う。アメリカはベトナム戦争で韓国軍(猛虎師団)を強引に派遣させたが、今の韓国軍にアフガン南部派遣を求めることはできない。米国防長官が「(それでは)米韓同盟が崩壊する」と脅しても、無理である。これが日本への要求となると、アメリカに対して強い反発が生じることになる。

 アメリカの大統領選挙ではオバマ候補が民主党の指名を受けることは確実になった。クリントン候補には”勢い”がなくなった。この”勢い”というのがアメリカ大統領選選挙では重要なファクターである。無名に近かった候補であっても、この”勢い”に乗れば大統領になることができた。オバマ候補はまさに”勢い”に乗った。もうほとんどの人がオバマ新大統領の誕生に期待していると思う。選挙はまさに”勢い”である。その予備選でオバマ候補に投票した人が、「最初からイラク戦争に反対したから」とオバマ支持の理由をテレビで語っていた。アメリカが進行形の戦争で、これほど国民の否定的な不支持はないと思った。

 かつてアメリカ政界で日本通といわれた人から、アメリカ有事の際に、「このままでは日米安保体制が崩壊する」と囁かれると、日本の政治家はパニくって右往左往していた。しかし今はアメリカ政界の日本通から、「アフガン南部に自衛隊を派遣しないと日米安保が崩壊する」といわれても平気だろう。そんなことをすれば先に与党(自民党、公明党)が崩壊するからだ。かつてベトナム戦争でアメリカが日本(自衛隊)にも参戦を求めた時、「ベトナムに派兵すれば日本は政権が自民党から社会党(当時)に変わる」といえば、アメリカはそれ以上は何も言えなかったと聞いた。今の状況はそれと同じだと思う。

 たしか1年前の今頃は、安倍首相(当時)が日本の首相として始めて訪問したNATO本部で、「自衛隊をアフガンに派遣する」と述べていたのを思い出す。そのことと比較すれば、日本は平和大国に台頭する環境とチャンスが高まっている。

プーチン露大統領

「世界で

 新軍核競争」

ハイテク兵器で対抗示唆

(毎日 2月10日 朝刊)

[概要]ロシアのプーチン大統領は8日、クレムリンで演説し、NATOの東欧拡大や、米国が東欧諸国に配備を計画するミサイル防衛(MD)を改めて批判し、「世界で新たな軍拡競争が始まった」と警告した。

 プーチン大統領は「新軍拡競争」を「我々のせいではない」と述べ、西側勢力が一方的に軍事力増強を図っているとした。そのため「ロシアは新たな挑戦に対して、ハイテク兵器で対抗する考えを示した。

 この演説は「2020年までのロシア発展戦略」と題され、3月2日の大統領選挙前の最後の主要な大統領演説となった。プーチン大統領は5月の大統領退任後も、対欧米路線を次期政権に継承させる考えを示したことになる。

[コメント]プーチン大統領の新軍拡競争といっても、ロシアの核戦力から通常戦力、特殊作戦能力まで全般で軍拡を競うことではない。まずアメリカ本土を狙ったロシアの戦略核戦力は、アメリカが配備するMDに阻止されることなく、あらゆる突破手段を用いながら更新されていく。現在の確証破壊戦略はまったく変更されない。

 また新技術の開発としては、アメリカの最新鋭・航空機(巡航ミサイル・無人偵察機を含む)ばかりか、駆逐艦などの水上艦艇まで応用範囲が拡大しているステルス技術を、無力化(探知できる)するハイテク技術を開発する可能性がある。レーダー波の乱反射や熱源出さぬことで探知を避けるステルス機も、逆にそのことを活用した新しい探知技術が生まれる可能性がある。例えば、正常なら届くはずのレーダー波がステルス機の乱反射で届かなかったり、飛行によって生まれる大気の変化を捉えるといった方法である。

 戦国時代や江戸時代、お城に忍び込んだ忍者をいかに探知したか。城内では夜間に黒装束でしか行動しない忍者だが、床下や天井裏に細い糸を張り巡らせて移動を知ったり、廊下や畳に”落とし穴”を仕掛けて捕らえた。

 米空母には長射程の深深度高速魚雷や浅海用の非磁性・感応機雷が考えられる。浅海用・感応機雷はペルシャ湾、台湾海峡、ホルムズ海峡など戦略的な重要海域の海底に、貨物船を偽装して密かに設置することができる。また実際に設置しなくとも、その性能を誇示するだけで、米軍などの艦船は強い脅威にさらされる。

 そのようなハイテク技術を開発し、中国などにも提供するとアメリカ軍が受ける打撃は大きい。ロシアには戦車、自走砲、航空機、ミサイル、水上艦船、潜水艦など、すべての分野で軍拡を競う予算もないし意図もない。

 しかしどのような屈強な大男であっても、頭上付近を飛び回り、目や喉を毒針で刺すハチには勝つことができない。そのような意味である。

 しかし今回の演説の不気味なことは、プーチン大統領が2020年までロシアで実権を握ると宣言したことである。ソ連とは違ったロシア帝国を築くと宣言した。

 ※ ハイテク兵器に関する記述の一部を2月12日に加筆しました。

政府検討

海保 初のPKO

東ティモール、沿岸警備

(産経 2月9日 朝刊)

[概要]町村官房長官は8日午後の記者会見で、海上保安庁職員を東ティモールでの国連平和維持活動(PKO)に派遣を検討していることを明らかにした。もし実現すれば、海保のPKO派遣は初めてとなる。

 同国では現在、PKOの一環として、治安維持などにあたる国連東ティモール統合派遣団(UNMIT)の活動に、日本の文民警察官が同国の警察再建支援に従事していたが、5日に帰国している。

 町村長官は、「PKOへのわが国の資金協力は巨額だが、プレゼンスが少なすぎる。東ティモールだけでなく、他にどういう可能性があるか、前向きに平和協力国家としてのプレゼンスが見えるように努力した」と述べた。

[コメント]海保のPKO派遣に大賛成だ。海保の職員だけではなく、海保の巡視艇(30メートル型、15メートル型)を数隻寄贈し、日本が陸上基地(海上警察本部)や訓練施設を建設して、東ティモールに海上警察を誕生させるぐらいの覚悟で取り組んで欲しい。さらには海保OBをジャイカの職員として東ティモールに継続して派遣し、長い目で海上警察を育て上げるぐらいことはできるはずだ。

 そうすれば海賊に対して抑止力になるし、テロや犯罪を助長する麻薬を取り締まることも可能だ。監視レーダー、夜間暗視装置、灯台、海路調査など、東ティモールの治安を安定化さすために、自国の海上警察の育成は絶対に必要である。

 領土や軍事的な野心のない日本にとって最適の任務である。それにしても警察庁はもうUNMITに職員を派遣しないのだろうか。国連PKOは自衛隊だけが担うものではないし、自衛隊のような自己完結型を望まなければ、少人数の警察組織で行える分野も多いはずだ。国連PKOでなくとも日本の国際貢献を一括(統合)して考え、学校、消防、救急医療、農業(漁業)指導などと組み合わせる発想もこれからは考えておく必要がある。

 これから日本が平和大国であることを世界に示す絶好の機会である。今まで海保は本当に少ない人数(職員数)と少ない予算でよくやっていると思う。これからは国連PKO活動を積極的に取り入れて、より大きな組織に成長すべきと考える。とにかく海保のPKO派遣に大賛成で期待している。

将軍様の資金を着服

北朝鮮、

 高級幹部を更迭

1億5000万円

 BDA管理分?

経済関係局長数人も処分

(読売 2月8日 朝刊)

[概要]北朝鮮政権に近い関係者が明かした話しによれば、金正日総書記の資金管理部「朝鮮労働党39号室」傘下で対外取引を担当する「朝鮮大聖(テソン)総局」の総局長が、約140万ドル(約1億5000万円)を着服したとして、昨秋に更迭されていたことが7日にわかった。(北京支局)

 総局長は党内有力者で、金総書記と面会できる立場の高級幹部。同総局には傘下に貿易会社など11の企業があり、外貨獲得を担当している。総局長はマカオの銀行であるBDA(バンコ・デルタ・アジア)にあった39号室関連の資金管理を担当し、同銀行に自己の預金口座も開設させていたという。資金管理のために頻繁に妻をマカオに渡航させていたことで北朝鮮当局の目に留まり、調査の結果、着服が発覚した模様だ。関係者は「将軍様に直結する資金を横領するのは想像を絶する行為だ」と指摘した。

 韓国との経済協力事業を総括する「民族経済協力連合会」(民経連)の交流局長も、韓国との折衝で容易に妥協したり、情報を漏らした疑いで1月に処分を受けたという。また、国内の災害保険を取り扱う「対外保険総局」の幹部や、経済関係の局長級幹部4〜5人が更迭などの処分を受けたとみられる。

 北朝鮮では最近、腐敗幹部の処分が相次いでおり、対外関係改善に伴う外貨流入に備えて国内の引き締めを図っている模様だ。

[コメント]もはや北朝鮮では脱北者の異常な増加は体制崩壊の直前兆候とは言えなくなった。しかし金正日の側近や党や軍の高級幹部への粛清や脱北情報はまだまだ注目に値すると思う。そうか金正日の懐(ふところ)が狙われたか。これを意外というよりも、いよいよ奪い合いが始まったという見方ができないか。北朝鮮の国民にとって金正日は神様以上の尊い存在であっても、側近にとっては単なる欲深い人間でしかないからだ。

 また、この総局長は金正日の身近な親戚筋という可能性がある。金正日の個人的な資金は党幹部でも血の繋がったものに関与させていると聞いたことがある。マカオのBDAが着服の舞台なら長男の金正男につながる人物で、金正日の後継者問題に絡んでいる可能性もある。

 このような金正日に近い情報は北の支配体制の変動を推測する上で貴重である。またBDAの内部を調べ上げたアメリカや中国が知らなかったことも考えにくい。北朝鮮で何か重大なことが起きている兆候なのか。今年も北朝鮮から目が離せない。 

アフガン支援調整会議

アフガン支援

 麻薬対策重視

世界の9割を供給

(朝日 2月7日 朝刊)

[概要]アフガン復興支援にかかわる関係国・機関と、アフガンの主要閣僚らが集まった復興支援調整会議は2日目の6日、あらゆる復興支援の中で麻薬対策を中心的な課題に置くことに合意し、閉幕した。

 外務省などによると、国連薬物犯罪事務所(UNODC)が発表した調査結果では、麻薬の原料となるケシ栽培について、アフガンが世界の9割を供給。世界最大の大麻供給国。パキスタンやイラン経由で湾岸諸国に輸出していると分析している。

 アフガンのケシの3/4は中央政府の支配が及ばない地域で栽培され、反政府勢力のタリバンがケシ栽培の農民に税金を課し、今年は1億ドル(約106億円)近い資金源になっていると推定した。コスタ事務局長は「アフガンのケシの状況は絶望的に悪化した」と訴えた。

 アフガンのスパンタ外相は6日の記者会見で、「今年中にケシの耕作地を5万ヘクタール撲滅させる」と語った。5日の記者会見でも、「今回の会議で包括的な行動計画を示し、国際社会の協力で7〜8年以内での根絶を目指す」と語っている。  (神浦・・・・・この記事の一部は昨日の同紙の記事を追加して記入しています)

[コメント]アヘンの主要生産地はかつてのタイ北部やミャンマー東部にあった「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」ではなくなった。今、それらの地ではケシに代わって代替え作物が植えられ、かつてのような緊張した雰囲気はなくなったと聞いた。すでに麻薬王と呼ばれたクンサも政府軍に投降し、出獄後に死亡(病死)している。国連の進めた麻薬撲滅プロジェクトが有効に機能したからだ。

 そのことを思えば、アフガン南部で栽培されるケシを撲滅させることは不可能ではない。しかし空から枯れ葉剤(遺伝子組み換え)を撒いたり、栽培人や運搬人を殺害したり捕らえても問題は解決しない。農民には代わりの収入と仕事を与えることが必要である。最も理想的なのはケシに代わる代替え作物を農民に栽培させることだが、荒れ地でも安定して代替え作物を栽培できる農業技術の指導や資金援助が必要となる。それが国連方式の麻薬撲滅プロジェクトが有効ということである。

 日本にはそのようなノウハウはないが、確かに、国連機関はそのような経験とノウハウを持っている。またこの機会に、日本がその様なノウハウを学び、経験を蓄積することは無駄ではない。例えばアフガンの農民からケシ畑を買い取り(便宜上)、彼らに代替え農業を援助し指導するのだ。そして代替え農業によって収穫された作物を販売(購入)するまで日本が責任を負う。

 タリバンがどのような手段であっても資金を得れば、タリバンに武器や弾薬を売る闇の武器商人は必ず存在する。だからタリバンにはケシ栽培で武器を購入する資金を与えないとともに、彼らが武器を購入する必然性も無くすような政策も必要なのである。

 逆にアメリカやイギリスの様に、タリバンに向けて銃弾や爆弾で猛攻撃し、「ケシ栽培をやめろ」と言っても効果はない。むしろタリバンへの攻撃を激化すればアフガン南部でケシの栽培面積が拡大するだけである。考え方がアジアの日本と米英では逆なのである。幸いなことに、アフガンでケシ栽培を止めさす国連方式こそは、日本が国際貢献できるアフガン復興支援の重要な分野である。

アフガン支援調整会議

スパンタ外相会見

文民主体ーム

要請(日本へ)

日本、128億円新規実施

(朝日 2月6日 朝刊)

[概要]アフガン支援にかかわる24の国・国際機関の政務局長レベルが集まり、復興について議論する復興支援調整会議(ICMB)が5日から2日間の日程で東京都内で始まった。アフガンからスパンタ外相のほか財務相、麻薬対策相、農村復興開発相ら13人の閣僚が出席。

 冒頭演説した高村外相は、日本政府がアフガン政府を通じて国境管理能力向上に約900万ドル、ユネスコを通じた識字教育に約1300万ドルなど、総計1,1億ドル(約128億円)の支援を新規に実施する考えを表明した。

 スパンタ外相は朝日新聞記者と会見し、日本は将来の可能性として、北部など治安の比較的安定した地域に、文民主体の地域復興チーム(PRT)の派遣を検討して欲しいとの考えを示した。PRTは紛争が完全に終結していない地域で、軍と文民が一体で拠点を作り、安全や治安を確保しながら復興支援にあたるもの。アフガンではNATOなどの欧州各国が展開している。

 スパンタ外相は、トルコが非戦闘員の部隊からなる文民主体のPRTを中部ワンダック州に展開していることを挙げ、「PRTには様々な形がある。アフガンの大部分は安全で安定しており、復興に文民がかかわることは深刻な問題ではない」と指摘した。また、「大事なことは日本が我々とともに復興と平和構築プロセスにかかわることだ。どのような支援にかかわるか日本が決めることだ」と語った。

[コメント]またしても現地取材の重要性を痛感する記事である。日本のメディアではアフガン情勢は悪化する一方で、比較的治安が安定していたアフガンの中部や北部でもタリバン勢力が復活し、ドイツのPRTなどにもタリバンが攻勢を仕掛けていると報じている。しかしスパンタ外相は文民主体のPRTであってもアフガン復興と平和構築に貢献できると説明する。果たして日本のメディアとスパンタ外相のどちらが正しく、どちらが誤っているのか。

 今までに各国の紛争地を取材した私の感覚では、スパンタ外相の方が現地の状況を正確に捉えているように思える。私は今までに日本のメディアが報じる危機的だという状況と、現地に入ってわかった危機的ではないという状況を何度も体験したからだ。

 それではなぜ日本のメディアでは危機的な状況と強調されるのか。それは第一に現地に派遣できる記者(特派員)の人数が少なく、現地取材の時間(機会)が足りないからである。例えばアフガン報道は首都カブール駐在ではなく、パキスタン駐在の特派員が担当している。それでもパキスタンに特派員がいればよい方で、メディアの中にはバンコク支局の特派員がアフガンをカバーしていることも珍しくない。無論、アフガンの現地に行くことは年に数回程度で、日本で札幌在住の記者が那覇のことを知っていることよりも情報量は少ない。

 そうなるとアフガンやパキスタンで発刊された新聞や雑誌の情報(翻訳)比率が高くなる。またアフガンから伝聞として漏れてくる情報も使わざるを得なくなる。現地からの伝聞情報では人の主観や利害関係で脚色される可能性が高くなる。だから極端な誤報がまん延することもある。90年代前半のカンボジアで何度もそのことを痛感させられた。それらをメディアの怠慢として罰するのは酷な気がする。大手メディアにもそれなりの制限があって、会社の労使協定などから特派員を現地に派遣できない事情もある。

 しかし、このスパンタ外相の発言は興味深い。まず日本の記者はアフガンで活動中のトルコの文民主体のPRTを取材すべきと思う。あるいはアフガンでPRT活動に関心のある民主党が現地調査チームを派遣することも可能である。注意すべきは日本の現地大使館は全く役には立たないこと。また一部の現地NGO関係者も現地の状況を正しく理解しているか疑問な場合も多い。

 ああ、アフガンに行きたい。トルコのPRTはアフガンでどの様な復興支援活動を行っているのか。どのような治安環境で活動しているのか。ああ、アフガンに行きたい。日本がアフガンで復興支援できることを確認したい。

やっぱり導入

防衛省幹部、

 GPS電話を携帯

約20人が対象

(読売 2月5日 朝刊)

[概要]防衛省の増田事務次官は4日の記者会見で、防衛省幹部に全地球測位システム(GPS)付き携帯電話を所持させ、休日や夜間の行動を把握できるようにする方針を明らかにした。

 GPS携帯電話を所持するのは、防衛相、副大臣、次官、自衛隊の各幕僚長ら20人が対象で月内にも導入する。

 幹部のGPS携帯については、防衛省は前事務次官の守屋被告(収賄罪で起訴)のゴルフ接待問題で検討してきた。当初、位置情報が第3者に漏れる可能性があることから見送りの公算が大きかったが、「電波信号の暗号化」などで、技術的にクリアできるとして導入することにした。

[コメント]GPS付き携帯電話で位置把握がどれほど凄いものかわかっているのだろうか。現在販売中の最新式のものとか、数年後に販売される新型のGPS機能の携帯電話は、データをパソコンに取り入れると、位置情報ばかりか、移動したコース(距離)、滞在時間、さらに高度差(3次元)など、その人の行動すべてがリアルタイムで詳細な地図上に表示される機能がある。確か、アメリカでは子どもを狙った性犯罪者などにGPS位置表示装置を取り付け警察が監視する州があったはずだ。

 昨年の夏、GPS位置表示装置を持って登山した友人に2日間の登山データを見せてもらうと、詳細な山岳地図(カラー)にコースと通過時間が記録されていた。また、私が欲しいものにランナー用の腕時計タイプのGPSがある。これを腕に付けて走ると、位置、コース、距離、スピード、心拍数が表示され、帰宅してパソコンに接続すれば、地図上に走ったデータが表示される。もちろん、自転車などにも応用でき、走っているスピードを知ることもできる。携帯電話の機能をプラスさせると、常時、パソコンに接続して情報をやり取りできるという性能が生まれる。近い将来、戦場を劇的に変化させるRMA(軍事革命)を担う重要な情報端末機器なのだ。

 すなわち、土日は防衛省で当直の職員(情報保全隊員・旧調査隊員)が、20人(局長クラスを含む)全員の行動をモニターすることも可能なのである。それを月曜日の朝には、登庁してきた防衛相に地図データとともに行動記録を報告する光景が日常化する可能性がある。そんなことに危機管理省でもある防衛省幹部は屈辱を感じないのかと気になる。どうせ石破防衛相がいるまでの我慢であって、石破氏がいなくなれば霧散霧消では朝令暮改と変わらず、秘密情報保全などの指導で隊員の士気に悪影響を与える気がする。

 それに有能な指揮官は部下の幹部(あるいは曹)の不始末を、その幹部の部下がいる前では叱らないという不文律がある。猫の鈴ではあるまいし、首に鈴をぶら下げた上司を部下は信頼できるのか。石破氏のリーダーシップに幼稚な低レベルさを感じる。

 今度、そのような防衛省のエライお方と会う機会があれば、首から下がった鈴を拝ませてもらうことにする。私と同じように考えている者は多いと思う。

 まさか石破氏がMD導入決定の過程をメディアなどに漏らすことを警戒して、幹部に鈴を付けたと誤解する者はいないだろうか。そんな邪推は無理である。GPS携帯電話で位置を把握できても、誰がGPSを腕にしているかは認知できない。それなら次は手錠タイプのGPS付きの携帯電話を導入か。この馬鹿馬鹿しさを誰も諫(いさ)めないのか。

岩国市長選スタート

岩国移転巡り

  一騎打ち

(毎日 2月4日 朝刊)

[概要]米空母艦載機部隊の岩国基地移転の是非を問う山口県岩国市の市長選挙が告示された。移転容認派で前自民党衆議院員の新人、福田良彦氏(37)と、反対する前市長の井原勝介氏(57)が立候補を届け出た。投票日は今月10日。

 福田氏の衆議院員辞職による衆院山口2区補欠選は4月27日に投開票される。山口市は山口2区の大票田で、今回の市長選の結果は4月の補選にも影響するとみられている。

 岩国市では06年3月に米軍再編を問う旧岩国市民のよる住民投票が行われ、「反対」が約87パーセントを占めた。同4月の岩国市長選挙でも井原氏が大差で当選した。今回の市長選挙は米軍再編で住民の民意を問う3回目となる。

 出直し市長選は、国は市が移転反対をしているとして、06年12月に岩国新庁舎の建設補助金約35億円を凍結したことが発端。井原市長はその穴埋めを合併特例債で補う予算案を議会に提出したが、市議会は4度にわたって否決した。井原氏は昨年12月に「民意を問う」と市長を辞任した。

[コメント]昔の岩国市の賑やかな繁栄を知っている私としては、今やシャーターの降りた市中心部の商店を見ると淋しい。しかし国から地域(商業)振興の補助金が欲しければ艦載機の移転に文句をいうなといわれれば腹が立つのもわかる。

 役人や政治家にとって空母艦載機の岩国移転は防衛利権である。そのために基地の沖合を埋め立てて滑走路を海側に移した。さらに海上テロに耐えられる軍港も飛行場に隣接して建設される。基地埋め立てに使った土砂を切り出した山は、新しい造成宅地は米軍住宅になるという噂も飛び交っている。それらの建設・土木費用の一部は地元政治家に環流し、大きな政治資金として地元政治を支えている。

 軍事的な視点で見ると、岩国基地が沖合埋め立てと滑走路の移転(海側)を決めた時、厚木基地の空母艦載機を岩国に引き取る密約があったと思う。いくら岩国基地が朝鮮半島に近くて、付近に米軍の川上弾薬庫や秋月弾薬庫があり、海自の拠点である呉基地があっても、あえて岩国基地を拡大・住宅化するほどの理由にはならない。あくまで厚木基地から空母艦載機を移転させる計画として埋め立て拡張が行われたと推測する。しかしさすがに国側も岩国に、厚木の夜間離発着艦訓練(NLP)を岩国で行うとは言えなかったのだろう。仮に空母艦載機が厚木から岩国に移駐してくれば、空母艦載機のNLPは九州の離島で行うことが検討されている。

 それに米軍住宅建設も建築規模は少なく、対テロの警備上の関係から基地内に建設される可能性が高い。

  岩国は米軍基地と共存するしか繁栄できないのか。それとも岩国は米軍基地の街から脱皮を目指すのか。住民の難しい選択に注目する。二者択一でないような選択肢を期待する。

バグダッド・テロ

知的障害女性

 爆弾に

遠隔操作で爆発?

  72人死亡

(産経 2月2日 朝刊)

[概要]イラクの首都バグダッドで1日、休日でにぎわう2ヶ所のペット市場で爆弾テロがあり、少なくとも計72人が死亡、約150人が負傷した。2件とも女性の自爆犯とみられ、イラク軍高官はいづれも知的障害をもつ女性の体に巻き付けた爆弾を遠隔操作で爆破したとの見方を示した。

 最初のテロは昼前に、バグダッドの中心部にあるペット市場で発生。アバーヤと呼ばれる目だけ出して全身を黒い布で覆う衣装をまとい、「鳥を売りたい」と声を掛けていた女性が爆発した。その直後にバグダッド南東部のイスラム教シーア派地区にある鳥市場でも、アバーヤに身を包んだ女性が自爆した。

 イラクのタラバニ大統領は国際テロ組織アルカイダ系組織の犯行との示した。バグダッド中心部のペット市場はイスラムの休日である毎週金曜日に開かれている。

[コメント]これは自爆テロでは絶対にない。知的障害者を使った大量無差別殺人である。イスラムの大義とは無関係だ。ユダヤ人虐殺のヒットラーよりも残忍である。アルカイダはそこまで卑劣なのかとショックを受けた。知的障害者を使って混雑した市場で爆弾を爆発させるとは。

 以前、ロンドンの地下鉄で同時自爆テロが起きた際、英国の治安当局は「自爆テロ犯の兆候」として次ぎ3点を上げて市民に警鐘した。@顔が青ざめ、呪文のような言葉をつぶやいている。A厚めの服装やバッグなどの荷物に違和感がある。B体の一部が異常に膨らんでいる。当時はこれを聞いても、自爆犯人たちは単に荷物の運搬を請け負い、頼まれた荷物(バッグ)を地下鉄で運んでいる時に時限爆発したら意味がないと思っていた。ロンドンの駅の防犯カメラが撮影した犯人たちの映像(表情)からで、そのような可能性を推測した。地下鉄テロの犯人たちはニコニコと笑いながら駅の中に入っていったからだ。彼らはアルカイダに騙され自爆テロに使われたと思った。

 昨日の2人の女性は、さらに悪質で残忍な行為である。自爆犯の男が爆弾を体に巻いて、女性が着るアバーヤで変装しても「声」で男であることを見抜かれる。しかし声が女性ならイスラムの習慣で警官は顔を見たり体に触れることは出来ない。アルカイダは単にこの点を使って、知的障害女性を爆弾にして市場に送り込んだ。人間の尊厳など欠片(かけら)もみられない。

 同じような行為に、アフリカなどの「子ども兵士」の問題がある。対立する部族を襲い、親や兄弟を殺して子どもを奪い、暴力や麻薬などの力で男児は兵士に、女児は性奴隷に使うというやり方だ。子どもは10歳前後でまだ自我が確立されていない子どもが狙われる。殺人や戦闘の恐怖は暴力や薬物でマヒさせることができる。

 アルカイダが今後も知的障害者を自爆テロに使うことを増やせば、アルカイダは人類存続という人間として最高の尊厳を敵にまわすことになる。 


※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。