弘前市内の5病院が交代で夜間、休日の2次救急医療を担う市の病院群輪番制の維持に向け、津軽地域保健医療圏内の7市町村が、2008年度から弘前市に負担金を支払う方向で合意に至ったことが18日までに分かった。市の2次救急輪番制は、医師不足などを背景に当番病院が減少し、厳しい運営が続いており、市は近隣市町村からの負担金を基に体制の充実強化を図る狙いだ。また黒石市も、国保黒石病院の救急医療を利用する他市町村に財政負担を求める方針で要請している。

 弘前市の2次救急輪番制に負担金を支払うのは、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、大鰐町、田舎館村、西目屋村の7市町村。負担金は患者の搬送実績などに応じて積算する考えで、多い自治体で年数百万円、少ない自治体で年数十万円となる見通し。
 輪番制に参加する5病院に対し、弘前市はこれまで単独で委託料を支払い、06年度は財政支援を拡大するなどしてきた。しかし、厳しい財政状況の一方、輪番病院の負担が増す中で、市は新年度から、7市町村の負担金を基に委託料増額など体制の充実強化を図る考えだ。
 市によると、2次救急輪番を利用する年間約1万7千人の患者のうち、約2割は市外からの搬送となっている。
 市の2次救急輪番制病院協議会(会長・五十嵐勝朗国立病院機構弘前病院長)は参加病院の離脱が相次ぎ体制維持が危機的状況にある中、06年11月の会議で、津軽圏域7市町村に広域的な連携、協力を働き掛けていく方針を確認していた。
 弘前市は「2次救急輪番を維持していくため、近隣市町村の応分の財政負担を基に、制度の充実や体制の強化を図りたい」と話している。
 一方、黒石市は08年度から国保黒石病院の時間外救急医療費の負担を利用率に応じて近隣自治体に求める方針で、鳴海広道市長が各自治体首長に文書で要請し、青森市を除く4市町村がこれに応じる構えだ。
 黒石病院の時間外救急医療費(医師、看護師の当・日直費用)は年額約1700万円。一方、同病院の救急医療利用者は、2006年度で市内が約65%に対して、市外が約35%を占める。
 市は利用率による応分負担を求めることを決め、昨年11月に鳴海市長が各自治体に要請した。これに対して応じる姿勢を示したのは弘前市、平川市、藤崎町、田舎館村の4市町村。青森市は応じない構えだが、黒石市は引き続き同市に応分の負担を求めていく方針だ。