2008年2月18日

JAL機、聞き違えか?

JAL機、英語の指示聞き違え滑走か 新千歳空港(asahi.com 2008年02月17日23時00分)

 事故調査関係者やJALによると、管制官が502便に出した指示は、「expect immediately takeoff」(直ちに離陸するよう備えよ)という英語だった。国交省監修のマニュアルにはない表現だが、混雑時などに国際的に使われているという。この表現では、冒頭の「expect」(予期する)を聞き落とした場合、「immediately takeoff」(直ちに離陸せよ)と受け取れる。調査関係者は、操縦士がこの後段部分に影響され、離陸を許可されたと誤認した可能性があるとみている。

 とてもありそうな可能性だと思います。

 日本語としても「直ちに離陸するよう備えよ」というのはどういうことなんだろうと思ってました。

 問題のJAL機が離陸待ちの状態にあるのはわかりきったことだったはずですから、単に「待機せよ」と言うだけでは足りずに、「直ちに離陸するよう備えよ」という必要性が何故あったのか理解に苦しむ思いでした。

 慣用的な表現のようですが、かなり危なっかしい表現であるにもかかわらず、慣用されているのは何故なんでしょう?

 わからないことが多いニュースです。

 いずれにしても、一部を聞き落とすと正反対の指示に聞こえるような言い方はなんとかしたほうがいいと思います。

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コメント

色々と憶測が飛び交っていますが、実は、新千歳空港では、過去にも管制上の問題から、同様の事故が起きています。

推察される理由として、同空港は航空自衛隊が航空管制を一元的に行っており、いわゆる自衛隊特有の「慣用句」を管制官が、知らずに使っているという可能性も考えられます。

ただし、今回の一件でも、管制官の指示を、機長又は操縦士が復唱していれば、その時点で、聞き違いに気づいたということは間違いありません。

最近は、燃料高騰うんうんで、早く出発させたかったという一面もあるかもしれませんが、このブログでも話題になっている「お客さまの過激な反応」を気にしすぎて、焦っていたという可能性も考えられます。私も、出張でよく航空機を利用しますが、天候などやむを得ない事情で、欠航や出発遅れが生じると、「切れまくるお客さま」を空港で見ることが多くなりました。

まとまりのないコメントで失礼しました。

かなり前に、スペインのテネリフェ空港で同じようなことがあって、ジャンボ同士が滑走路上で衝突炎上し500人以上が亡くなったことがありました。
目的地の空港が爆弾テロ予告か何かのために閉鎖され、狭い代替空港に多くの飛行機が集中し、駐機場や飛行機用の通路で長時間待たされた後、やっと本来の目的地の空港が着陸OKになって、離陸が始まった矢先に(通路がふさがっていたので)滑走路上を移動中のパンナムのジャンボに、見切りで離陸を開始したKLMのジャンボがぶつかった、という事故でした。
直接の原因は、霧の中でお互いに見えなかったこと、パンナム側が発した「滑走路を開けたら連絡する(We'll report・・)」という交信の「'll(will)」という言葉を無線の不具合(混信?)で聞き落としたKLMの飛行機が、管制官の許可を待たずに離陸を開始したことだと言われていますが、長時間待たされたことへの「あせり」が背景にありました。
今回の場合は、管制官が止めたから大惨事にならずに済みましたが、意味不明の言葉が現場で使われているなんて、事故の教訓がいかされているとはいえませんね。

この英語の指示が本当だとすると、管制官の過失は大きいと思います。「Expect immediately takeoff」は文法的に間違っていますが、「immediately」は副詞なので「takeoff」を修飾し、「直ちに離陸せよ」と解釈されます。「expect」がその前あったとしても、「Expect immediately」は一般的な表現では無いので「immediately」と「takeoff」との親和性の方が強くなります。「直ちに離陸するよう備えよ」と言いたかったのであれば、「Expect (an) immediate takeoff」となります。何れにしても、このようないい加減な表現で、多数の命の運命が左右されているのだとすると恐ろしいことです。

No.2 通行人1さん
件の事故を契機として、管制とのやりとり、用語については随分と改善されたようですが、それによりインシデント(ヒヤリハット)が発生しなくなると、現場の意識は緩んでいきます。教訓が活かされていないというよりは、教訓が徐々に忘れられていると言うほうがしっくり来るのではないかと思います。
インシデント発生をゼロにしようという運動もありますが、インシデントが発生しなくなると現場に程よい緊張感が保てなくなり結果として思わぬ重大事故に繋がる可能性もあり、注意です。

>>No.4 bgさん
の仰るとおりだと思います。
「事故」として見ますと、すくなくとも今回は人命の被害はまったくなかった。パイロットの急制動の腕に天が味方してくれた、と思いました(笑)。

「Expect immediately takeoff」 なんてあいまいというか「指示にならない指示」をどういうつもりで言ったか?は厳重にチェックするべきですね。

一部のラーメン屋さんで、メニューが「チャーハン」ではなく「焼き飯」になっているのは「チャ−シューメン」との混同を防ぐために「焼き飯」と呼ぶように決めているようなところもあるそうです。関係ないですかね...。

>>No.7 普通の人さん
焼き豚(チャーシュー)と見まつがいました(爆)

声掛け、復唱程度の安全強度では危険というのなら、どうしてE-mailのような文字情報を流さないのだろう?

操縦士、管制官の批判は簡単だけれど、個人がエラーをしにくいシステムを作るのが必要なのであって、文系の人達にありがちな教訓とか訓練でなんとかするのは、程度が低いかと。。。。。

Fail Safe Systemの構築が一番大事。


餃子の王将で、どうやったらあの雑多なメニューを間違いなく聞き取って調理できるのだろうと、いつも思う。
とてもじゃないが、私にはムリッポ

>No.7 普通の人さん

ラーメン屋さんでもそれくらい注意しているのだから、
人の命を預かる航空会社も紛らわしい言い方はやめたほうがいいのでは、と思いますね。
といいつつ、私は一瞬、「チャーハンメン」と読みそうになりましたが。。。

続報で、コックピットボイスレコーダーには、管制官の指示が確実に記録されていたようです。

また、防氷剤を散布してから、かなり時間がたっていたため、運行乗務員が、そちらに気をとられていたのではないか…という見方も出ています。

なお、航空管制で使う英語は、通常の英語(英語での会話)とは異なる特殊な省略形を使うケースがありますので、一般的な事例は適用しにくいかと思います。ただ、航空自衛隊の管制官が担当しているため、航空自衛隊で使う慣用句を使用していた可能性は考えられます。

ちなみに、新千歳空港クラスの規模になると、出発機に管制機関からの飛行承認を与えるクリアランス・デリバリー(完成伝達承認)というセクションから最初の指示がでます。

続いて、グランド(地上管制)というセクションが、地上滑走の指示を出します(誘導路の指示、滑走路横断の指示などを行います)。

離陸する予定の滑走路近くまで移動すると、タワー(飛行場管制)にバトンタッチし、ここが最終的に離陸の許可を出します。グランドの役目は、地上滑走ですが、滑走路に入る手前で、タワーへの交信切り替えが指示されます。通常、滑走路に進入して待機する場合、「Taxi position and hold rauway ○○(ここは滑走路の番号)」という指示が出るのが一般的です。「takeoff」は事故防止の為にも、通常は「離陸を許可する場合」以外は使わないようです。
ちなみに、発着機が混んでいる場合、滑走路の手前で待たされるケースもありますが、この時は、「hold short of runway,you nuber○ for departure」(○の中には、離陸順の数字が入ります)となり、やはり「takeoff」という言葉は入れないのが一般的なようです。

もしかすろと、タワーの管制官も防氷剤の件が気になっていて、気を利かせてすぐに離陸できる旨を伝えたかったのかもしれませんが、それが裏目に出た可能性はあります。

連投失礼します。
冬期で降雪時は、離陸前エンジン出力をいったん最大近くまで上げて、しばらくアイドリングした上で、離陸するようです(これは、先日、新千歳空港から私が搭乗した際、機長から「いったんエンジン出力を最大まで上げるので、大きな音がするが、故障や事故ではなく、降雪時の一般的な手順なので安心して欲しい」というアナウンスがありました)。

そうなると、実際、滑走路に入ってから、離陸までに若干時間がかかりますので、タワーの管制官は、そのことを指示した可能性もあります。

晴天時でしたら、誘導路から滑走路に入って、止まることなく、すぐ離陸することも可能なので、滑走路手前で待機させるのが一般的なようです(誘導路から滑走路に入り、一旦停止することなく離陸することをローリングテイクオフと言うことがあり、混雑時にはよく行われます)。

事故調査関係者やJALによると、管制官が502便に出した指示は、「expect immediately takeoff」(直ちに離陸するよう備えよ)
スクランブルのアラートじゃあるまいしって言いたくなるような表現ですね。さすが自衛隊・・・って、今回の管制官は国土交通省の職員じゃなくて自衛官だったんでしょうかね?

ところで全くの余計な話なんですが、異常に気づいた管制官はなんと言って停止を命じたんだろうってことに興味がわきます。
「フリーズ!」かな。切羽詰った状況だったから日本語で制止したのかな。

Feriさまが大変にお詳しいようですので、細かい解説はお委せするとして、航空管制の基礎的なことをバックグラウンド知識として補足説明しておきます。

1、なぜ航空管制は日本でも英語なのか?
 今回のケースではJAL機は日本人パイロットなので、日本語で通信した方がエラーが起こりにくいことは確かです。ただし、普通は千歳の管制空域に当該JAL機以外にも航空機がおり、そうした管制空域にいる全ての航空機は、自己宛でない通信も傍受して他機の動向を把握しています。そのために、どの国のパイロットが傍受しても理解できるように、全ての航空管制は英語で行うことが条約で決められています。
 なお、緊急時には日本語での通信が許されますが、その場合は通信チャンネル(周波数)を緊急事態の航空機専用に指定し、他の航空機には予備チャンネル(周波数)に切り替えるように、管制官が指示します。

2、管制通信で使う英語の文法は?
 航空管制での英語は特殊で、FAA(アメリカ連邦航空局)がルールを定めています。基本的には定められた航空用語の単語を、ルールに従って並べただけで、文章としての英語ではありません。辞書に出て来る文法上の単語の使い方とは全く異なる、単なる符丁というか、英語をベースにしたプログラミング言語のようなものと思った方が近いです。
 なおtake-offという用語は間違いを防ぐために、Cleared to take-off以外では避けるようにとFAAルールではなっています。ただしこの用例は絶対的なものではなく、使ったから即過失責任があると言うことではありません。

3、なぜ文字表示などのデータ通信ではなく、音声通信なのか?
 パイロットは、計器板と窓外の監視で目が離せませんので、耳で通信を聞いています。通信内容をディスプレイ表示すれば目の負担が増えて、計器表示の見落としなど、かえってミスが増えるので現実的ではありません。出来るだけ判別し易く、簡単で明瞭で、かつ複数の意味に取られないような言語や用語遣いでの音声通信が、現状ではベストです。

4、降雪時の離陸手順について
 雪や雨で滑走路が滑りやすい時に、誘導路から滑走路に入って一時停止せずに離陸滑走を始めるローリングテイクオフを行なうと、滑走路でスリップして蛇行する事故を起こしやすくなります。そのためにスリッピーな路面状況では、スタンディングテイクオフを行なう方が安全です。これは管制官からの指示ではなく、航空会社の運行マニュアルでどのような状況の時にスタンディングを選択すべきか決められています。
 手順としては、誘導路から滑走路に進入して機体を滑走路中心線に正対させて停止した後に、スロットルを入れてエンジン推力を上げつつブレーキリリースして滑走を開始します。
 なお、積雪時など滑りやすい時は、左右のエンジン推力にバラツキがあると、スリップして蛇行しますので、左右のエンジンがマックスパワーで安定するのを待ってからブレーキリリースする方が安全です。また、降雪がひどいときに急激にスロットル入れると、吸気口前面に付着した雪を一度に吸い込んだりして危険ですので、少々時間を掛けてゆっくりとスロットルを入れる方が良い、とマニュアルには定めてあるはずです。
 こうしたことから降雪時でのスタンディングテイクオフでは、滑走路で停止中でのランナップ時間が長くなり、客席に響くエンジン音が大きくなって機体がビリビリと振動したりします。これをエンジン故障と勘違いしてクレームする客がいますので、機長があらかじめ予告のアナウンスをすることがあります。

いずれにせよ、航空事故調査委員会がボイスレコーダーなども解析するでしょうから、マスコミもそうした専門家の調査結果が出るまでは、軽々しく管制ミスとか日本航空のお粗末運行とか、決めつける報道は控えて欲しいものです。

>No.4 bgさま
なるほど、事故の記憶が風化するわけですね。インシデントがない状態というのも考えものですね。

>No.11 Feriさま
>No.14 法務業の末席さま
詳しい解説ありがとうございます。

>軽々しく管制ミスとか日本航空のお粗末運行とか、決めつける報道は控えて欲しいものです。

本当にそう思います。事故調査の第一の目的は再発を防ぐことであって、「犯人探しをすること」では無いと思います。世間のバッシングに現場が萎縮して事故が起こることもある、と聞いたことがあります。「マッハの恐怖」出版から三十数年、いまだに「何でもいいから責任者を探し出して叩け!」という古い考え方から抜け出せないのは悲しいことですね。

わたしも、今回の件を記事で見た瞬間にカナリア諸島のパンナムとKLMの衝突事故のことを思い浮かべました。あらゆる偶然が全て、事故のほうへ事故のほうへと導いていったという意味で希有の事例です。

で、新千歳空港は去年の6月にも全日空とスカイマークエアで似た事件が起こっているんです。このときは管制官のミス。スカイマークエア機に離陸許可を出しながら、同時に全日空機にその滑走路を横断する許可を出した。

何でいつも新千歳空港なんだろう、という気がします。

日本の空港で日本人同士の交信なのに英語というのも、航空業界の常識ではあるものの、とっさのときにはかなり大変ですよね。パイロットと言えどもバイリンガル並の英語力の持ち主ばかりのはずがないですし。
御巣鷹山の事故の時も、管制官が途中から「日本語でどうぞ」って日本語に切り替えていましたね。

カナリア諸島でのパンナムとKLMの衝突事故では、KLMの航空機関士は離陸許可が出ていないことに気が付いていたらしいんです。で、機長に「離陸許可が出ていないのでは?」と言ったようなのですが、「そんなことあるかっ」と一蹴されて、結局黙ってしまったらしいんです。機長というのが、確かKLMの筆頭機長で重役だったのかな、ものすごくえらい人で、航空機関士はそれ以上抗弁できなかったようです。
これを読んで、おかしいことをおかしいとはっきり口に出来なくなった職場というのは、おそろしいものだなと痛感しました。

今回の件では、機長も副操縦士も、2人とも勘違いしていたんでしょうかね、副操縦士は気が付いたけど口に出来なかった、なんてことはまさかないと思いたいですけれど。

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