◇保険証、持てなくなり…医療費いったん全額負担
開業医でつくる「全国保険医団体連合会」(約10万人)は18日、国民健康保険料を滞納している人向けの「国保資格証明書」(資格証)を交付された人が、06年度にどの程度医療機関にかかったかを調べた「受診率調査」の結果を公表した。回答があった39道府県のデータから推計したところ、資格証を受けた人の受診率は一般の人の51分の1で、資格証交付が貧しい人の医療の機会を奪っていると指摘している。
資格証は1年以上保険料を滞納している住民に、市町村が保険証を返還させたうえで交付する。滞納対策の一環で、交付を受けた人は、医療費がいったん全額自己負担となる。このため、受診を避ける傾向があったが、発行は00年の9万7000件から、07年は34万件に達した。
受診率は100人当たりの年間受診件数で示す。保団連によると、39道府県の一般の人の平均受診率774・7に対し、資格証交付者では14・9で、2%以下にとどまった。
山梨県の場合、交付者は100人で年間2回しか受診しておらず、県内の一般の人に比べ344分の1だった。
05年度の国保加入世帯の平均所得は168万7000円。国保保険料は14万2803円で8・47%に当たる。厚生労働省は現在、75歳以上を資格証の対象から外しているが、4月に始まる後期高齢者医療制度では75歳以上にも発行する方針に転じた。【吉田啓志】
毎日新聞 2008年2月19日 東京朝刊