産科の救急搬送時に病院の空きベッド情報などを把握する、県の「周産期救急情報システム」について、県内14消防本部のうち12消防本部が利用していないことが18日、県の調査で分かった。「情報が不正確で参考にならない」などが理由に挙がっている。同日、県立こども病院(安曇野市)で開いた県周産期医療対策会議で県側が報告した。
昨年8月、奈良県で救急搬送中の妊婦の受け入れ先が見つからず死産した問題を受け、国が各都道府県に受け入れ態勢などに関する調査を指示していた。
救急情報システムは、県が2000年に導入した「周産期医療システム」の一環。リスクが高い母子を受け入れるこども病院や、「地域周産期母子医療センター」に指定された病院(県内5カ所)の空きベッド情報などが検索できる仕組みとなっている。
利用しない理由として、各本部からは「救急隊が病院に直接電話した方が早い」との声のほか、「システムを承知していない」との回答もあった。「時々利用している」は2本部だけだった。産科、小児科医らでつくる会議では、システムの必要性自体を疑問視する意見も出た。
会議は、妊婦の救急搬送自体については現状で、大きな問題は生じていない−と分析。ただ、医師不足で産科の休廃止が相次いでいることもあり「今後は今まで通りにいかない可能性もある」との指摘もあった。