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【三重】

医師と助産師、すごいチーム! 米国女性研修医が「温かさ」に感心

2008年2月19日

 東京都出身で、米国・ボストン在住の研修医岡村恭子さん(34)が、県立志摩病院(志摩市阿児町鵜方)の産婦人科で研修に取り組んでいる。日米の産婦人科事情の違いや、同病院が取り組む地域医療の印象などを聞いた。 (小柳津心介)

 岡村さんは父親の仕事の都合で、幼いころから香港で育ち、十八歳でハーバード大に進学。出産を担う女性の健康や社会的な役割に関心があり、ボストン大学院医学部を卒業後、二〇〇六年から、ボストンのベスイズラエル病院産婦人科で研修している。

 日本での研修は、母国の医療システムなどを学ぼうと個人的に希望。地域医療に意欲的に取り組む志摩病院を研修先に選び、十一日から二週間滞在、その後二週間は東大病院で医療技術について学ぶ予定にしている。

 研修内容は、昨年四月に赴任した田村栄男医師による診察や、出産の見学が中心。初日から、畳の上での「フリースタイル出産」を目の当たりにし、「アメリカでは見たことがなく、びっくりした。里帰り出産も、いい文化だと思う」と話す。

 医師不足の影響で、志摩病院の産婦人科は〇六年十一月から翌年三月まで常勤医がおらず、分娩(ぶんべん)を休止した。厳しい労働条件などによる産婦人科医不足は米国でも同様というが、「アメリカでは、産婦人科全般を学んだ後、女性のガンや不妊、泌尿器、避妊や中絶などの専門医に分かれる。日本の医師はすべてを一人でやっており、さらに負担が大きそう」と心配する。

 感心しているのは、田村医師と助産師らのチームワーク。「患者一人一人に、温かさを持って接している。本当にいいチームで、これを見られただけでもよかった」。助産師については、「妊婦をマッサージしてあげたり、入院中に必要な買い物を代わりにしたり、産後に家庭訪問をしたり。ここまで面倒を見る仕事は、アメリカではないと思う。文化の違いかも」と語る。

 母子手帳も新鮮に映った。「アメリカでは、病院にカルテがあるだけ。外出時の事故など緊急時にも、母子手帳さえあれば、妊婦の状態がすぐ分かる。子どもの世話の仕方などのマニュアルが書いてあるのもいい」と話し、実物を持ち帰る予定だ。

 「志摩病院でいろんなものを見て、患者に接する上で、何が重要かを学びたい」と話す岡村さん。田村医師は「技術が進歩しても、産婦人科の現場は結局、人と人とのかかわり合い。患者さんとの話し合いや、心のつながり合いの大切さを学んでほしい」とエールを送っている。

 

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