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【主張】日航機無許可滑走 運航の基本を忘れたのか

2008.2.19 03:10
このニュースのトピックス主張

 わずかな気の緩みが大惨事につながるのが航空機事故の恐ろしさだ。新千歳空港で16日発生した日本航空機の無許可滑走トラブルは、間一髪で最悪事態は回避したものの、後に経緯を知った乗客は、怒りに体が震えたに違いない。

 国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は、今回のケースを衝突事故につながりかねない「重大事態」ととらえ、直ちに現地に調査官を派遣して関係者らの事情聴取を始めた。再発を防止する上でも徹底した発生原因の究明を求めたい。

 前方に着陸したばかりの飛行機がいるのに、問題の飛行機が管制官の許可なく離陸滑走を始めた理由については、離陸機の機長が管制の指示内容を聞き誤ったとの見方が有力だ。

 日航は平成17年1月にも、同じ新千歳で同様のトラブルを起こしている。その際、管制官からの指示は、必ず復唱・確認するよう徹底をはかったというが、教訓は生かされなかったことになる。今回も、管制官との間で復唱作業が行われていたなら、発生は防げたのではないか。

 現時点での聞き取り調査では、「速やかな離陸に備えよ」という管制の指示をパイロットが、「速やかに離陸せよ」と誤解した可能性が高い。

 しかし、管制の指示は副操縦士も機長とともに聞いていたはずだ。復唱・確認を怠ったパイロット側の責任は重い。同時に管制側の指示の仕方に落ち度はなかったのかどうか。今後の再発防止にあたっては、この点についても解明を進める必要があろう。

 今回のトラブルについては、安全運航への意識がなかなか徹底しない「日航の企業体質」を問題にする見方もある。事実、日航機の運航トラブルは他社に比べても目立つ。

 経営再建中の日航は、懸案だった増資による1500億円の資本増強にもめどがついた。決算も3年ぶりに営業黒字に転じるなど、経営の先行きには明るさも見えてきた。そのさなかの重大トラブル発生である。

 航空輸送企業がなにより最優先すべきは、安全運航の徹底だ。それに対する信頼が失われれば、深刻な乗客離れは避けられず、経営再建は一瞬にして水泡に帰す。日航は今回の事態をもっと深刻に受け止めるべきだ。

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