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「産業突然死」の時代の人生論

友好的なアジアの国でも慰安婦問題は特別

 他のアジア各国では、安倍首相をはじめとする「右大臣」たちの発言をどのようにとらえているのだろうか。

 先日、わたしはフィリピンのシアゾン駐日大使と、この問題について話し合う機会があった。彼の奥さんは日本人である。また大の親日家としても知られている。その彼が「これは大きな問題だ。安倍首相は本気でそのようなことを考えているのか」と強い態度で、安倍首相や彼をサポートする人たちの危険性に言及していたのである。

 彼の言い分はこうだ。「フィリピンは、第二次世界大戦でアジア各国を戦禍に巻き込んだ日本を許した。その結果、日本とフィリピンの関係は極めて友好的になった。ところが、そのフィリピンでさえ、慰安婦問題は我慢することができないのである。あくまで日本が、従軍慰安婦問題は軍の強制ではなかったと言い切る態度を通すのであれば、フィリピンは強く抗議し、対峙しなくてはいけない」。アジアで最も友好的な国でさえもそうした国民感情を持っている。韓国や中国だけではないこと、米国でさえも最も神経質になるテーマであることを首相は知るべきである。

 今回、従軍慰安婦の証拠となる資料が明らかになったのだから、もっと積極的に使って、安倍首相や下村官房副長官の行動に封をしてもらわないといけない。そうでないと対米関係、フィリピンや東南アジア、中国や韓国との関係まで悪くなっていくことは避けられない。

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