119番受信時「重症患者を優先」

 傷病者を重症度と緊急性によって分類する「トリアージ」の実用化に向けた検討を進めている消防庁の作業部会は2月18日、トリアージの運用方針などを議論した。消防本部から多くの救急車が出払っている時に119番を受信した場合には、より重い患者に備えるため、軽症の患者には「現場でしばらく待ってもらう」方向で意見が一致。同部会は今後、トリアージの具体的な内容を取りまとめ、3月末に開かれる救急業務高度化推進検討会に報告する。

 トリアージは一般的に、災害時などに多数の傷病者が発生した時に救命の順序を決め、効率的に医療機関に搬送する行為。総傷病者数や医療機関の許容量、搬送能力、重症度・予後などの要件で判定する。判定結果は、死亡または救命に現況以上の救命資機材・人員を必要とし救命不可能を表わす「黒」▽生命にかかわる重篤な状態で一刻も早い処置が必要な「赤」▽生命にかかわる重篤な状態ではないが、早期に処置が必要な「黄」▽救急搬送を必要としない「緑」−の4つに分類されている。
 119番受信時に患者の状況を聞き取る「コールトリアージ」と、現場で救急隊が状態を見て判別する「フィールドトリアージ」があり、国内では横浜市や東京都消防本部が実施している。

 同日の検討会では、トリアージの運用方針などを議論し、コールトリアージに伴う救急隊の運用方法を提案。消防本部内の多くの救急車が出払っている時に119番を受信し、トリアージで緊急度が低いと判断した場合には、災害や重症患者に備えるために「しばらくの間、待ってもらうことが妥当」と意見が一致した。この基準に関しては、消防本部内の救急隊の数に対する出動数などを基に算出するという意見が出たものの、都市部と地方では救急隊の数や移動時間も異なるため、あくまで指針として示すにとどめ、「実際の運用では、地域の実情に合わせた対応が必要」とした。

 同部会は今後、内容を取りまとめ、現場での効果的な救急業務を検討している救急業務高度化推進検討会に3月末をめどに報告する方針。


更新:2008/02/18 19:33     キャリアブレイン

このニュースをメールで送る

ご自身のお名前:


送信元メールアドレス(ご自身):


送信先メールアドレス(相手先):


すべての項目にご記入の上、送信ボタンをクリックしてください。

ようこそゲストさん

※無料会員登録をしていただくと、すべての記事がご覧いただけます。

医療ニュース動画

08/01/25配信

高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子

医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。