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ここから本文エリア 魚から殺虫剤「想定していなかった」2008年02月18日 魚の加工品にも殺虫剤成分が付着していた。香川県内の食品販売会社が取り扱う中国製冷凍サバの切り身から、有機リン系化合物「ジクロルボス」が検出されたことが18日、明らかになった。農薬に登録されているジクロルボスが、なぜ真空パック状態の水産食品に混入したのか。緊急会見した業者は「想定していなかった」と戸惑い、取引先の回転ずし店は問題の食品を回収するなどの対応に追われた。
◇ 「ありえないことで、想定をしていませんでした」。香川県庁で会見した香西物産の吉川晴夫社長(60)は、冷凍サバから殺虫剤成分が検出された事態に戸惑った。 同社は06年10月に問題の「炙(あぶ)りトロ〆鯖(しめさば)スライス」の製造を中国・山東省の2工場に委託し、07年3月から仕入れを始めた。仕入れた数は計11万パックで、これまでの検査は菌類が主だったという。 吉川社長は「大腸菌やブドウ球菌の菌数、一般生菌数のサンプリング検査はしてきたが、農薬検査は一回もしていない。基本的に魚ですので」と説明。ジクロルボスについては、「我々がふだん管理しているものと種類が違う。人体にどういう影響が出るのかも知らない世界」と述べ、健康被害の恐れなどについて保健所と連絡を取り合ったことを明かした。 同社によると、問題の商品は委託製造品で同社にしか納入されないが、現地工場の生産ラインは専属のものではなく、同じラインで他社の製品も加工されていたという。また、商品が神戸港に届いて以降に殺虫剤が混じる可能性はないとしたものの、吉川社長は「魚がデンマークで水揚げ、冷凍されたときの可能性もあるので、憶測では申せない」と言葉を選んだ。 輸入元の食品卸売会社の品質管理担当者も「魚の加工品から農薬が検出されることは普通は考えられない」と困惑した。今後、サバを捕獲した漁船で付着した可能性はないか▽工場で殺虫剤は使われていなかったか――など、あらゆる点を考慮に入れて原因究明に協力するという。 一方、取引業者に波紋が広がった。香川県内の回転ずし経営会社には17日午後5時半ごろ、自主回収を知らせるファクスが香西物産から届き、急きょ四国内の各系列店で回収を始めた。同社長(65)は「水産物から農薬が出るとは思ってもみなかった。こちらは問屋さんを信用して買っているので対策のとりようもない」と怒りをあらわにした。 厚労省食品安全部監視安全課によると、検疫所では輸入食品の安全確保のため、抗菌性物質や残留農薬、添加物などのモニタリング検査をしている。だが、農薬に登録されているジクロルボスは、水産食品の検査項目の対象外だった。担当者は「水産食品から検出された報告は聞いたことがない。新年度から水産食品でジクロルボスを検査項目にするか検討する」としている。 ◇ 《ジクロルボス》 急性毒性が強い有機リン系化合物で、国内では57年に農薬に登録。日本や中国でともに一般的に使われている。家庭用殺虫剤に含まれることもある。中毒症状は嘔吐(おうと)や下痢、けいれんなど。厚労省によると、過去に国内の検疫所で中国産生鮮マツタケやブラジル産生鮮コーヒー豆などから基準値を超えて検出され、同省が食品衛生法に基づき検査命令を出した。 PR情報この記事の関連情報関西ニュース
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