ミステリー作家・藤岡真のみのほど知らずの、なんでも評論

ミステリー作家・藤岡真の視点から、書籍、映画、ゲームなど色々な「表 現」について評論したいと思います。

机上の彷徨

このページでは、ミステリ作家の視点から、書籍、映画、ゲームなど色々な「表現」について評論したいと思います。

           読売新聞に取り上げられた(2008/01/30)




 以下、読売新聞 2003年1月30日から転載

        


        読者が漫画評論サイト…本の販売にも影響

 読者が好きなマンガを自由に論じるインターネット上のサイトが注目されている。日記形式のブログなどを使ったネット批評の広がりは、単行本の売り上げを左右するなど影響力を強めている。(佐藤憲一)
「マイナーなマンガを扱っても反響があり、やみつきになった。『マンガを語る』快楽を与えてくれたネットには感謝している」。そう語るのは、人気サイト「紙屋研究所」を開く紙屋高雪さんだ。
「福岡市在住の37歳の勤め人」の紙屋さんは5年前、趣味でマンガや時事問題を論じる「紙屋研究所」を開設。子育てを扱った宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』(祥伝社)から共働き家庭の育児を考えるなど、社会的テーマと重ね合わせた評論を展開してきた。サイトへのアクセスは既に100万件に到達し、『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)を出版するなど、書籍や雑誌にも進出した。
 四国在住の50代の男性が開く「漫棚通信ブログ版」も、前身を含め5年目に入った人気サイト。「巨人の星」をリアルタイムで読んだ世代で、蔵書は「自称2万冊」。それだけにマンガの歴史に踏み込んだ記述が特色で、「うんちくを入れた『研究系』のブログ」という。このほか、「ひとりで勝手にマンガ夜話」「Something Orange」など人気サイトは多い。
 こうしたネット批評の隆盛は、販売にも影響を与えている。若杉公徳『デトロイト・メタル・シティ』(白泉社)は「ヤングアニマル」誌に掲載が始まった05年当初は人気がなかったが、06年の単行本第1巻の発売前後から、悪魔的ロックバンドをギャグとしてとらえるユニークさにネット上で話題が沸騰。4巻までで180万部の大ヒットとなり、今年夏の実写映画版の公開も決まった。担当編集者の永島隆行さんは「ネットの口コミで同時多発的に火がついた。売れ行きの速さもネットならでは」と話す。
 一方、昨年はプロの評論家が著書に人気サイトの記述を無断で使ったり、講談社の社員が大学生と偽ってマンガ関連のブログにアンケートを送り陳謝するなどのトラブルも発生した。
 マンガの構図の盗用を検証するサイトも多く、ある編集者は「検証サイトは怖い存在。盗用は悪いことだが、新人は上手なマンガを参考に上達する面もある。マンガ作りが委縮しないか心配」と話す。出版社も、さまざまな側面でネットの影響力を無視できなくなっているのが現状だ。
 ただ、「マンガの数が膨大になる中で、専門性を持つサイトがあるのは読者としてありがたい」(漫棚通信)さんとの声は強い。評論家の伊藤剛さんは、昨年刊行した『マンガは変わる』(青土社)の中で、ブログが普及した03年ごろからマンガ論の環境が大きく変化したと指摘した。
「かつては、マンガに関する本格的な批評を嫌う空気があったが、誰もが参入できるブログの登場で変わった。素朴なファン同士の『語り』から本格的な批評まで、自由に読まれるフェアな時代になった」と分析している。
(2008年1月30日 読売新聞)


 じわじわ。


           大村バーの千秋楽(2008/01/28)



          誠に結構な居酒屋なのだが…。

 大村バー

 静岡市内に「大村バー」なる居酒屋がある。知る人ぞ知る大阪の「キムラバー」みたいな店かというと大違い。燗酒と湯豆腐の店なんであります。
 入り口の引き戸(自動ドア)が開いて入店すると、右に厨房左に馬蹄形のカウンターがある。いかにも雑然とした雰囲気で、カウンターの端は壁で、そこにはコミック単行本がぎっしり入った本棚があり、その斜め脇上にTVが一台、その下が焼き台で、白衣のおばちゃんが、焼鳥、トマトベーコン、焼きオニギリなどを焼いている。
 つまり馬蹄で焼き台とTVをぐるりと囲んだ形なのだが。
 さらにこの店はそのカウンターを左に見たまま奥に行けば、長いテーブルをいくつか並べた小上がりがあり、さらに右と、ずっと左奥に馬蹄形カウンターがあり、一見しただけではどんな構造なのか分かりにくい。収容人員は90名という馬鹿でかい店だ。
 しかも奥の壁はごつごつした岩肌になっていて、その下は池で、鯉が泳いでいるから凄い。誤解なきよう、琴の音が聞こえて、紫婆ぁ(パートの仲居)が跋扈するような店ではない。喧騒が心地よい、心の底からくつろげる店なのだ。

 さて、昨日のこと。
 小生はTVがよく見えるカウンター席に座り、燗酒、もつ煮込み、蓮フライを注文した。TVは大相撲の中継中で、むろんお目当ては結びの一番白鵬vs朝青龍であります。
 速いテンポで取り組みは進み、五時を二十分過ぎたあたりで、はや結びの一番となった。長丁場の取り組みがなかったようで、時間が余ったのだろう、いや、その仕切りの長いこと長いこと、ついには仕切り中でお銚子が空いてしまって酒のお代わり。因みに燗酒は、大きな洗面器でこれまた大きな貧乏徳利を燗して、コップに注いでくれるのだ。
 横綱同士の激突で、千秋楽に優勝が決まる。互いに一敗は喫しているものの、まずは理想的な展開である。
 両者の力の篭った相撲も、皆さんご存知の通り。
 そしてー

 白鵬が朝青龍を投げ飛ばしたとたん、満員の店内、ごぉー! と響くような歓声が上がった。立ち上がって拍手している客もいる。それはそれで、むろんいいのだが、それに混じって、
「やったぁ!」
「ザマーミロ!」
「ああ、スッとした!」
 といった声があちこちからあがったのだ。
 やはりなと思う一方、なんか寂しくなってくる。

 わたしは白鵬の応援をしていた。だから、白鵬が勝ったのは嬉しい。そして、その喜びは、朝青龍が負けたからのものでは断じてないのだ。

 一強が勝ちっぱなしの相撲はつまらない。だから朝青龍にも強力なライヴァルが必要で、白鵬はその役目を充分すぎるほど果たしている。だが、せっかくの二場所連続優勝を「朝青龍のいぬまの僥倖」ととられてはやり切れまい。昨日負けたりしたら、「二場所も休場していた相手に負けるとは」と謗られたろうことは想像に難くない。事実、そう謗られた関取が、今場所は十三人もいたのだから。
 だから、勝って本当に良かったと思う。それを素直に喜び、その強さを称えることが何故出来ないのか。客の多くはVTRを見終えると、三々五々帰っていった。ザマミロ、すっとしたと口ずさみながら(因みに一人平均のお勘定は、千うん百円といったところ)。
 わたしは燗酒をお代わりして、白鵬の優勝を称えた。
 もしも、朝青龍が勝っていたら、群衆(国技館の客も、呑屋の客も)はどんな醜態を演じただろうか。考えたくもないが。


            人間の屑(2008/01/27)



  すっかり腐りきって、もはや腐乱死体と言うべき状況だ。

              糞

 アマチュアのblogから、自著1章分の文章を丸々コピペし、それを自分の文章のように見せかけるため改竄しておきながら、「引用ミス」と言い張って、ついに盗作を認めなかった唐沢俊一。その後上梓した本の中で、被害者を悪質なクレーマーに貶めるような駄文を綴り、自分はそうしたクレーマーに、この後引用ミスした同業者が苦しめられないように必死で戦ったのだと英雄を気取る。
 と学会山本弘は「僕個人としては、これまで唐沢氏は引用元をきちんと明記していた方ですので、今回の件はケアレスミスであるという釈明は信じています」とほざいていたが、ここにきて、唐沢の「引用ミス」の数々が、続々露見したことを質したが、シカトを決め込んでいる。
 オタクなんて人種は所詮そんなものなんだろうな。

 さて、漫棚通信blogからのコピペは認め、その謝罪と2版以降の当該部分差し替えた唐沢だが、とんでもない事実が分かったのだ。

 詳細は
 
 唐沢俊一まとめwiki
 
 をお読みいただきたいのだが、唐沢の『新・UFO入門』の中のアダムスキーに関する記述が、「UFO事件簿」というブログからの無断引用だということが明確に分かる。

 UFO事件簿(魚拓)

 さらに静岡で発生した宇宙人との遭遇事件では、「塩サバ通信」というブログから無断引用していたことも判明した。

 塩サバ通信(魚拓)

 漫棚通信ブログ版からの無断引用に関しては、謝罪し、改訂版の発行までしたのに、上記二件は露見しなかったからほっかむりしたのだな。

 いやはや、人間てどこまで駄目になるのかね。

 因みに学会員の志水一夫は自己のブログ2007/08/18のエントリで、唐沢本に関してこんなこと書いてらあ。

 アマゾンで品切れになっていて、定価の二倍近くのプレミアが付いている唐沢俊一さんの 『新・UFO入門―日本人は、なぜUFOを見なくなったのか』 ですが、実はまだ楽天ブックスやビーケーワンでは、新刊が定価で入手可能です (^^)/。
 でも既に品切れになっていたならごめんなさいです m(_ _;)m。
 実はこの本、ある事情で増刷時には改訂されることになっているので、初刷を手に入れるのは今の内なんです――しかし、悪意ある盗用なら、あんなマンマのコピペするわけがないよねえ (少しはごまかそうとする意図が働くもんです (^^;)。


>少しはごまかそうとする意図が働くもんです (^^;)。

 思い切り働いてるじゃねえか。

 わたしをはじめ、唐沢の悪行を叩いている人間は、唐沢が死のうが生きようがどうでもいいという立場にある(当事者の方もそう思っているだろう)、しかし、唐沢は「引用ミス」というバレバレの迷彩が破綻したときには、確実に死ぬのだ。そこのこと分かって生きてるのかなあ。


              四色問題(2008/01/25)



        わたしが多重どんでん返しを嫌う理由。

              4色

 『ウォッチメイカー』『首無の如き祟るもの』のエントリでもかなり拘ってしまったが、わたしはどうしても多重どんでん返しというものに馴染むことが出来ない。
 それは「作者が自分で構築した世界」の中でなら、いくらでもどんでん返しが可能だからである。つまり、フェアプレーとは思えないのだ。性別、年齢、時制、そうしたものをミスディレクションすることは、実は至極簡単なことで、最後の最後に、ある人物の属性をすっかり変えてしまっても、翻った辻褄合わせは恐ろしく簡単に出来てしまう。
 拙作『ゲッベルスの贈り物』の最終頁のどんでん返しを楽しんで下さる読者は多いようで、ネットであるいは直接に「あれにはやられましたよ」という言葉を頂戴したことはしばしばある。しかし、あのどんでん返しは、実は全く想定外のもので、ああしなければ恐ろしい修羅場が展開されるは必定(既読の方は納得されると思うが)なため、苦し紛れにああしただけなのだ。しかも、その辻褄合わせは、たった一箇所、表現を少しばかり曖昧にするだけで出来てしまったのだ。

 いささか本論から外れてしまった。
 申し上げたいのは「四色問題」についてであった。
 ご存知の方も多かろう。「四色問題」とは「あらゆる(二次元の)地図は、四色で塗り分けることが可能である」という命題だ。三色では足りず、五色では多すぎる。そして、この命題を証明するか、或いは五色用いなければ塗り分けられない地図を作画するかが、長年数学の難問として君臨してきたわけである。おっちょこちょいなわたしなんか、数ヶ月間、五色地図の作成に没頭し、おかげで学業成績は落ちる一方だった(中学時代である)。
 1976年、イリノイ大学のケネス・アッペルとウルフガング・ハーケンが、この命題を証明した。
 わたしは数学の専門家ではないから、この先の説明が間違っていないか自信はない。猜疑心の強い方は自分で調べてみてね。
 アッベルとハーケンは、乱暴に要約すれば、あらゆる地図(グラフ)をパターン化し、その総てをコンピュータで解析し、全部四色で塗り分けられることを示したのだ。
 「エレガントな解答」を期待していた世界中の数学マニアが溜息をついたことは間違いあるまい。事実、彼らのやり方は「エレファントな解答」と揶揄されたりもした。

 多重どんでん返しを語るとき、わたしはどうしても、この「エレファントな解答」を連想してしまう。事件の真相、可能性のあるものを総て並べ、一つ一つがあたかもこれこそが真相であるかのように検証していく。そうして、瑕疵なく検証に耐えたものが真相とされたなら、それは見かけはこの上もなくフェアなやり方に見えるけれど、実は作者の都合を押し付けられているにすぎない。
 他のなにものでもなくて、これこそが唯一の真実だと、事件の真相が提示できるのが名探偵であり、名作だと思うのだが。

 因みに、「四色問題」、証明されたとはいえ、実際に自身でそれを体験した者は非常に少ない。コンピュータを用いなければ不可能な計算だし、スーパーコンピュータでも千時間以上の計算時間を要する作業だからだ。


            ツチノコ発見!(2008/01/24)


 以前、「日々是好日乎」のエントリで「猫に似たもの」と題して蛇と猫の共通点を挙げたことがあったが、イギリスの動物学者デズモンド・モリスも同様のことを唱えていることが分かった。これなどは偶然だが、パクリと謗られる前に気付いて本当によかったなあ。
 さて、猫と蛇の共通点。モリスの本が手元にないので、詳細は分からぬが、今一度思いつくままに書いてみようか。

*瞳孔が縦に裂けている。
*頬袋がない。
*小さな鋭い歯がある。
*丸くなって休む。
*複雑な文様を持つ種がいる。
*ネズミを好んで食べる。
*寒さに弱い。
*威嚇するとき、シャーっと声を出す。
*特に独身の女性がペットとして猫かわいがりする。
*見るのもいやというくらい嫌いな人たちが居る。

 似ているでせう?

 さて、本日の大発見ツチノコである。まずは写真を見ていただきたい。

 ツチノコ

 なんと、居酒屋から出てきたら、足下に横たわっておった。

 おお!

 しかし、次の瞬間。

 新顔

 にゃお。

 因みにこの子は抱っこしても嫌がらない、人懐こい野良猫でした。

 ことほど左様に猫は蛇に似ているのである。


           立川談之助の醜態(2008/01/21)



 何年か前の「と学会」の総会で、トンデモ本投票の集計の間に、毎度お馴染みの馬鹿馬鹿しい危ない落語ということで、“学会員”立川談之助が小噺を一席やった。当時としてはタイムリーな、北朝鮮による拉致の被害者を扱ったネタだった。
 その中でジェンキンス氏が、妻に続いて来日するに当たり、条件を一つ出したというのだ。それは、
「横田めぐみを北朝鮮に帰せ」
 というものだった。
 客席はポカーンとしていた(注:このときの客は、そうした危ない話には慣れているから引いたわけではない)。
 談之助の表情にも明らかに焦った色が浮かんでいた。
 ああ、そうか。おれは気がついた。
 つまり、
「曽我ひとみを北朝鮮に帰せ」
 と言いたかったのだ。せっかく自由になれるなら、ジェンキンスはもう曽我ひとみなんかと夫婦でいたくない。というつまらないギャグだったのが、名前を間違えたから、もうギャグでもなんでもなくなっちまった。
 談之助は必死だったが、どうしても「曽我ひとみ」という固有名詞を思い出せなかった。なんとか、ばたばたと噺をまとめ、そそくさと高座を降りていったが、客のほとんどは談之助のしくじりに気がついていた。
 そこは身贔屓のと学会。何事もなかったかのようにイベントは進行していった。

 「勉強しなおしてまいります」
 とか
 「あたくしもおいおいに桂文楽になる」
 くらいのことを言ったら、評価してやったんだがなあ。
 結局、ほっかむりして終わり。突っ込む人もいなかった。


           撃墜(2008/01/21)

・  

             続々自滅

 いやはや、楽しいなあ。
 昨年「こいつらをなんとかしろ!」と曝し挙げた内のホリエモン、ムラカミファンド、アベシンゾーの3人が勝手に自滅したと思ったら、残っていた細木数子は後ろ盾の大物が死んだために、TV番組出演を総て辞退を余儀なくされた。
 そして、本日、インチキ詐欺デブスピリチュア江原啓介にも天誅が下された。以下、スポニチの記事から引用。


 フジテレビが昨年7月に放送したバラエティー番組「FNS27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」内の企画について、NHKと民放でつくる「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会は21日、「初めに霊能師タレントありきの企画で、出演者への配慮を決定的に欠き制作上の倫理に反する」との審議結果を「意見書」として発表した。
 検証委は、昨年発覚した「発掘!あるある大事典2」捏造問題を踏まえ、「教訓が生かされず依然として『面白さ』を第一とする演出を繰り返している」と厳しく指摘した。フジテレビは3カ月以内に改善策を検証委に提出する。
 問題となったのは、ボランティア活動に取り組む秋田県の美容院経営の女性を紹介した企画。
 意見書によると、番組は架空の講演会を設定して女性を呼び出す「ドッキリカメラ的な」手法で、「スピリチュアル・カウンセラー」の江原啓之さんを登場させ、女性の活動を批判的に取り上げた。放送後、女性は「自分や周囲の人が傷付けられた」と抗議していた。
 検証委は(1)霊能師ありきの企画・構成(2)裏付けがないのに断定的な表現などがあったと認定。「出演者の心情に気を配った手続きも取らず出演させ、『スピリチュアル』という非科学的なカウンセリングを押し付けていいのか」と指摘した。
 フジテレビ広報部は「女性にご心労、ご迷惑をお掛けしたことをおわび申し上げます。今回の意見を真摯に受け止め、今後の番組制作に役立てたい」とコメントした。

 さて、片棒を担いだスマップの香取メンバーwにはどんなペナルティが課せられるのかしら。

 さらに、今年は、某司会者、某都知事、某教団教祖(偽)にも天誅を下して欲しいなあ。


          作家の矜持(2008/01/20)



             小檜山博            
 
 札幌市在住の泉鏡花文学賞受賞作家、小檜山博さんがJR北海道の車内誌に寄せた短編小説の内容と、毎日新聞に掲載された読者の投稿文が酷似していることが19日、分かった。小檜山さんは毎日新聞の投稿文をメモにとって小説の参考にしたといい、「盗用と言われれば、認めざるを得ない。もの書きとして恥ずべきことでおわびしたい」としている。JR北海道は車内誌の回収を始めた。

 短編小説は「電車で」という題で「THE JR Hokkaido」(10万部発行)1月号に掲載。けがで通院中の男性が電車内で少女に席を詰めてもらい、感激するという内容だが、毎日新聞の07年10月30日付朝刊に掲載された茨城県土浦市の女性の体験談とほぼ同じ筋立てで、状況描写も酷似している。

 小檜山さんは、自分が見聞きしたものや読んだものをメモに残し、執筆の際の参考にする習慣があるといい、「(投稿文の)言葉が強烈で素晴らしかったので紙切れにメモを取っていた。咀嚼(そしゃく)できないまま書いてしまった」としている。

 小檜山さんは83年に「光る女」で泉鏡花文学賞を受賞。今回の件を受け、北海道教育大学特任教授などの役職の辞任を申し出るとしている。
(朝日新聞)


「私の隣の娘がひどく無気力に感じられた」(投稿)
「女の子は、何かひどく疲れた感じで無気力に見える」(小説)
「席を詰めてくれてありがとう。お陰で助かりましたヨ。本当にありがとう」(投稿)
「席をあけてくれてありがとう。おかげで助かりました。本当にありがとう」(小説)
(スポーツ報知)

 盗作は許しがたい暴挙。しかし、それに対し、反省し自らけじめをつける態度は潔い。
 作家でもないくせに作家を名乗る、唐沢俊一の見苦しいけじめのつけかたとは大違いというもの。


           復讐はお好き?(2008/01/19)



        「このミステリーがすごい!」海外部門、2位。


              復讐

 去年は全然翻訳ミステリを読まなかった。なんとたったの4作で、『ウォッチ・メィカー』『TOKYO YEAR ZERO』『悪魔はすぐそこに』『石の猿』。『石の猿』以外は新作で、なんと2008年の「このミステリーがすごい!」の1位、3位、5位なんだそうだ。慧眼恐るべしって、自分で言ってどうする。

 で、その2位を獲得したのが本書である。
 凄まじい内容でね。だって冒頭1行目で、もう主人公は、豪華客船から冷たい大西洋に投げ落とされてしまうのだ。なんと、犯人は主人公の夫君。おいおい。
 どうなってるのと心配しながら読んでいると、主人公の両親が事故死したエピソードが語られる。熊のダンスを呼び物にしていた二人は、ある日ボリスというヒマラヤ熊の歯周病の治療の為、ガルフストリーム・ジェットをチャーターして、レイクタホにある歯科医の元に向かう。ところが、ジェット機はコーテズ山脈に墜落してしまう。
 遺品の中にあった35ミリフィルムに映っていたのは、熊が副操縦士の席に座っている姿だった。
 一体、機内でなにが起こったのだろうか?

 なんてのは、全然謎ではなくてね。ふざけて熊と遊んでいたら、麻酔が切れた熊が暴れだしたのが墜落の原因とすぐに明かされる。
 おいおい。これってバカミス?
 
 夫に殺されかけた主人公が、じわじわと復讐を進めていくのが、本書の主題。そして、熊のエピソードもかくやという、もの凄いエピソードが、これでもかこれでもかと重なっていく。
 素敵な主人公と、主人公を手助けするかっこいいヒーロー。それに比べて、卑劣で馬鹿で情けない夫。この悪玉は徹底的に酷い目にあわされる。
 近来稀に見る、面白くってわくわくして、ジーンとくるわ、泣いてしまうわ、圧倒的なエンターテインメント。脇役も充実して、刑事はペットに夢中でやる気ないし、最低の馬鹿で、暴力的な用心棒が、実は凄くいい奴だったり、犯人の夫の雇用主は、その上を行く悪人だったり。そして、悪が滅びていく痛快さ。こんなまっとうな勧善懲悪、すかっとさわやかな小説も久しぶりだ。
 これが映画化されたらさぞかし、と思ったが、アメリカでは50万部以上売れたベストセラーだとか。うむ。

 でね。
 本当に面白くて、お薦めなんだけどね。
 全然、ミステリーじゃないんだよな。

 なんで、『ウォッチ・メィカー』と『TOKYO YEAR ZERO』の間に挟まって、「このミステリーがすごい!」第2位なんだろうか。

復讐はお好き?』 カール・ハイアセン 文春文庫 2007
          田村義雄・訳


         朝青龍なかりせば(2008/01/17)


   ぶよぶよ褌デブの押しっくら

 二昔前のことと思し召せ。小錦という大関がおったげな。大変な人気力士で、ではこの方にCM出演してもらうべえと、本場所中の国技館を訪れた。横綱審議委員の方の紹介で、かつては「土俵の鬼」と呼ばれ一世を風靡した元名横綱のF理事長にお眼にかかったのである。「心技体」を標榜するF親方ではあるが「金」も大好きということで、現金ウン万円、封筒に入れ持参した。
「些少ですが」
 と手渡せば、親方
「う」
 とうなって、掌で重さを確かめると懐に入れた。
 話はこちらの都合通り進み、ではよろしくと駐車券を出して
「サインをお願いします」
 と頼んだら、親方の表情が突如険しくなり
「そりゃ駄目だ。そりゃ出来ない。話が違うぞ」
「だって、サイン貰わないと車が出せないから帰れません」
「え……。ああ、なんだ駐車券か」
 領収書だと思ったらしい。
 まあ、このときの逸話はこんなもんじゃない。書けないことのほうが多いくらい。
 「土俵の鬼」だぜ。「心技体」だぜ。
 なーにが横綱の品格だよ。日本の文化だよ。国技だよ(そもそも国技じゃないし)。そして、今はもっと酷い状況になっているようだ。

 朝青龍へのバッシングが凄まじい。TVのニュースショウなど見ていると、相撲のことなどろくに分からんだろう、婆あとか若い女にインタビューして、
「憎らしいから負けて欲しい」
「強ければいいというもんじゃない」
 といった言葉を引き出してオンエアしておる。スポーツ紙は朝青龍が負ければ1面に無様な写真を載せ、勝てば終面に憎憎しげな顔写真を載せる。

 
 なんたる馬鹿ぞろい。


 時津風部屋の不祥事(集団リンチ殺人事件)とその後の相撲界の対応を見れば、こいつらが若いころからの鉄砲で大方が馬鹿になり、品格とも文化とも関係のない脂肪の塊だということは歴然ではないか。

 そして、復活してきた朝青龍にコロコロ負ける関取どもの弱いこと弱いこと。馬鹿な脂肪の塊と、ひ弱なデブ(白鵬は除く)の集まりに堕した相撲界で、唯一本物の強さを持つ朝青龍を寄ってたかって叩いてどうするつもりなのか。

 ひ弱なデブの互助会が、横綱大関を量産したって誰が見るかそんなもん。

 がんばれ! 朝青龍!


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