ミステリー作家・藤岡真のみのほど知らずの、なんでも評論

ミステリー作家・藤岡真の視点から、書籍、映画、ゲームなど色々な「表 現」について評論したいと思います。

机上の彷徨

このページでは、ミステリ作家の視点から、書籍、映画、ゲームなど色々な「表現」について評論したいと思います。

          インシテミル 承前(2008/02/10)



 下のエントリを読み直して、なんだか偉そうで嫌味ったらしいので、ちょっと書き足させてもらいます(すぐ削除する癖は改めたいので)。

 わたしが言いたかったのは、煎じ詰めて言えば「奇矯な設定を謎と考えるか、否か」ということになります。分かりやすく説明するために、具体的な例を挙げましょう。有栖川有栖の『女王国の城』が適切だと思われます。極力ネタバレなしで進めたいと思います。

『女王国の城』も『インシテミル』と同じように、クローズドサークルの中で起こる連続殺人事件を描いています。殺人事件が起こりながら、『城=人類協会総本部』の住人は警察の介入を拒絶します。江神をはじめとする「推理小説研究会」の面々は、拘束こそされていませんが、『城』の外には勿論出してもらえません。そして、そうした状況下で、なんとか殺人事件を解決する。しかし、(あくまでもわたしの考えですが)本作の肝はその解決ではなく、何故『城』の住人が殺人事件を警察に委ねようとしなかったか、『城』の中でなにが起こっていたのか、だと思うのです。そして、そっちの事件に関しては、冒頭部で実に見事な伏線が張られています。それが分かれば『城』の住人たちの奇妙な行動に納得がいく。まさに「ああ、そういうことだったのか」と膝を打つのです。
 拙作『六色金神殺人事件』も同様に、クローズドサークルの中で起きる連続殺人事件(それも古文書の歌に倣った不可能犯罪)を描いています。しかし、ネタバラシなしで説明するのは難しいですが、実はこの雪に閉ざされた村の中でも『城』の中同様にある“事”が進行中で、最後に明かされる真相は、実はその“事”そのものなのです。凄まじい連続殺人には、文字通り全く意味がない。つまり「奇矯な設定を謎と考える」ミステリなんです。但し、読者にはそれが「奇矯な設定」とは分からないような迷彩に覆われていますが。

『女王国の城』の『城』の住人の奇矯な行動が、「新興宗教の狂信者なのだから当然」という設定だったら、わたしはこの作品を全く評価しなかったでしょう。
『インシテミル』は、「奇矯な設定を謎と考えない」ミステリなんでしょう。「ミステリのお約束」に淫してみた作品だと考えれば(それは、いたるところに散りばめられた本格ミステリの要素から窺い知れます)「奇矯な設定」は空気みたいなものですから、それ自体を語る必要はない。しかし、わたしは、この作品を「奇矯な設定を謎と考える」ミステリだと思い込んでいました。だから、この物凄い設定の理由がどう解き明かされるかにドキドキしていたのです。
『未来惑星ザルドス』という映画がありました。崩壊した未来の地球に新しく芽生えた人類の文化を描いたものですが、これまたそのよじくれた未来社会の意味が最後に明かされるという設定です。それは『オズの魔法使い』という、凄まじいキーワードによって語られる、それこそあっと驚くような真相でした。
「暗鬼館」の真相がそんな風に語られるミステリ。そう勝手に思い込んでいたわたしが間抜けだと言われたら、返す言葉もありませんが。


           インシテミル(2008/02/10)



              
             うーん……。

             インシテミル

 第8回「本格ミステリ大賞」候補作決定いたしました。

【小説部門】の候補作は

『インシテミル』米澤穂信(文藝春秋)
『首無の如き祟るもの』三津田信三(原書房)
『女王国の城』有栖川有栖(東京創元社)
『密室キングダム』柄刀一(光文社)
『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午(講談社)

 の5作ですが、本書のみ未読。というわけで、早速丸善で購入、ビールなど呑みつつ一気に読了いたしました。

 昨年の本格ミステリ◆ベスト10でも堂々4位に輝いた作品ですから、わたしのサイトを訪れるような方ならとっくにお読みかもしれません。
 で、読後の感想なんですが―
「分からん…」
 の一言なんですね。ネットでも絶賛の嵐というこの作品に対して、なんてことをと思われるかも知れませんが、ちょっとその理由を書いてみましょう。

 主人公は冴えない学生の結城理久彦。車が欲しいという理由から、求人誌でバイトを探していたところを「近寄りがたい」美少女須和名祥子に話しかけられる。祥子は結城とは違い、借金を返すためにバイトを探しているという。そこで見つけたのは、時給1120百円というとんでもないアルバイト。7日間24時間、なにかの実験台にされるらしいのだが。

 ここで一つ考えますわね。時給11万2千円を、なんでこんな表記にしたのか。
112千円なんてのは会社の数字でよく見かけるけど。

 ???と思いながら先を読む。なにが起こるのか、どんなことをさせられるのか、結城君が実験が行われる小高い丘の上の建物に着くあたり(冒頭30頁)までは、本当にわくわくしながら読んでいました。しかし、それはいきなり裏切られます。要は閉ざされた空間(「暗鬼館」という館)の中で、殺しあえという実験。なんだよ、結局そういう話かよと思えば、当然ながら誰が何のためにこんなことをと考えるのが普通なんじゃないでしょうか。「館」のラウンジには「12体のインデァン人形」が置いてあり、参加者はその人形が1枚づつ持っているカードを受け取ります。カードには部屋のナンバーと「ノックスの十戒」まがいの言葉が書かれているのです。そして、各部屋に置かれた“おもちゃ箱”には、「名作ミステリに因んだ凶器」が収納されていて、つまりこれで戦えということなんでしょう。因みに結城君は『まだらの紐』の火掻き棒を手に入れます。これはもう遊びとしか言いようがない。
 むろん『バトルロワイアル』ではありませんから、殺人にも細かいルールが定められていて、誰にもばれずに見事人が殺せた場合とか、犯人を突き止めた場合とか、色々ボーナスやペナルティが用意されています。
 そして―
 7日間じっと我慢していれば、大金を手に全員無事に帰れるというのに、何故か殺人事件が発生、そして、第二、第三のと続くのはお約束通り。
 この後は疑心暗鬼の中、二転、三転のドンデン返しが続き、意外な犯人が突き止められます。それはそれで面白い……のかしら。だって―

(ここからネタバレ ↓)

 わたしが期待したのは、こんなお遊びが何故行われたのかという理由が明らかにされることだったのです。それは文字通り「あっと驚く意外な事実」なんだろうと思いながら、やや冗長な連続殺人ドタバタ劇場を読み進めたのに、なんと、これは本当に「お金持ちの遊び」だった。いや、遊びは遊びでも、本格的な事業化を目論んだもので、今回はその実験だった。ヲイヲイ。こんなリスキーで(実際人を殺すのだし)、莫大な金のかかる(施設の建設、設備費、人件費― 真犯人は10億円の現金を手にします ―)事業で、どのようなやり方で、いくら儲ける気なんでしょうか。つまり、その肝心のところはマンマなのです。実験台同士の殺し合いの末に指摘される真犯人なんて、わたしにはなんの興味もないし。
 最後に須和名祥子は、この事業の出資者である須和名一族の令嬢だと分かりますが、それとて、「なんのために」が放棄されているなら、わたしには既にどうでもいいこと(薄々分かりますしね)。さらに、冒頭でこのお嬢様はどうして結城君に声をかけたのかも、1120百円などという変な表記にも説明は一切なし。古典的な物理トリックと心理トリックの古色蒼然としたミステリでした(ネットで「チェスタトンの小説のようだ」と評していた方がいたけど、それは一理あります)。


(ネタバレここまで ↑)

 道尾秀介や蒼井上鷹みたいに、「設定をひっくり返してあらたなミステリを創造する」ものを期待したんだけどなあ。
 わざわざこんなことを書いたのは、本格ミステリ大賞の選評では触れることがないだろうと思って、ここで意見を述べたと考えてください。

『インシテミル』米澤穂信 文藝春秋 2007

※米澤穂信様の名前を誤記していました。お詫びして訂正いたします。

※米澤さんからメッセージを頂戴いたしました。この作品を書いた意図が非常に判りやすく書かれていて、納得させられる部分が多々ありました。同時にご自分でも欠点だと思っている点も付記されていましたが、それはわたしが指摘したこととは全く違うことでした。


              三幕の殺意(2008/02/08)

・※ 昨日、佳多山大地さんを別人と取り違えておりました。メールで指摘して下さったtaipeimonochromeさんに感謝します。佳多山さんごめんなさい。

          蛇の足としか思えないんだが。


              中町


 さあ、困ってしまったぞ。中町信、七年ぶりの長編ミステリー。と言っても、書き下ろしではなく、40年前双葉社の『推理ストーリー』に掲載された、200枚の中篇、『湖畔に死す』に約200枚を書き足して長編に仕立てたものだとか。それを中町さんに頼んだのは、創元社の戸川さんだった。
 どうして――
 戸川さんは、この話の何処に惚れたのだろう。これは実に古臭い(そういう表現が不味いなら“黄金時代のミステリを彷彿とさせる鷹揚な by taipeimonochrome”)展開のミステリーなんです。読者への挑戦も用意され、ミステリとしてはきちんと解決がなされるわけですがね。

 ここから、ちょっとネタバレ ↓

 この物語の肝になるのは、“WHO DONE IT?”“HOW DONE IT?”ではなくて、“WHY DONE IT?”なんであります。だから、登場人物全員が持っている殺人の動機が、露骨に或いは曖昧に提示され、さて、この中のどの動機が殺人を犯させるまで肥大したかを読者は推理することになります。むろん読んでいる途中で、それに気付くのは余程のひねくれものの読者でしょうが。実は動機は、犯人の態度表情と、日付で、あっさりと冒頭で提示されています。
 ところで、作者自らが、「そこで本編は、最後の三行に、ちょっとしたひねりを加えてある」語っているその「ひねり」があるおかげで、本作は実は『倒錯のロンド』になってしまったのです。それはそれで効果を上げているとは思いますが、そうなると、閉ざされた雪の山荘という設定は、そのトリックにどう貢献しているのよ、と言いたくなってしまいます。こうした舞台設定は謎解き(犯人当て)以外には、意味のないように思えてしまうからなんですがねえ。しかし、この「ひねり」がないと、それではまた、あまりに普通のミステリになってしまうし。そう考えると冒頭述べたように、戸川さんは何を期待して、この作品を現代の世に問うたんでしょうか。


 ネタバレ、ここまで↑

 taipeimonochromeさんは、自己の書評ブログで佳多山大地の解説を、なんとなく本編以上に褒めてるみたいなんですけど。これは蛇の足以外のなにものでもないように思えます。だって、これって『大いなる助走』の劣化コピーじゃん。

※taipeimonochromeさんのエントリにコメントしたら―

>いやいや、襃めているというよりは、寧ろ褒め殺しというか、「完全に解説が本編を喰ってしまっているところがちょっとアレ」な譯で、個人的にも「中町さんには気の毒な解説」だと思った次第です。

 とのことでした。

※この作品中で示されるミスディレクションに「他人の作品に自分の名を冠して発表したことがばれるのを恐れて」というのと「犯人は禿であり、それがばれないように、室内でも帽子を被っている」というネタが妙に笑えました。ははは。

 『三幕の殺意』 中町信 東京創元社 2008


              途中経過(2008/02/05)



              お願いご報告

 一休みと言いながら、また例の問題についてのコメントです。

 まずはお願い

 わたしが所属している空手団体が、朝鮮総連系の団体で、だからわたしと反目している唐沢氏に対して、そうした工作員から暴力的な攻撃がされる、そういった主旨のエントリが、2ちゃんねる及びその周辺のサイトにしばしば書き込まれたことについてです。
 これに関しては、まず、わたしが所属している空手団体の出自に関してはその通りです。しかし、唐沢氏襲撃といったことに関しては絶対そのようなことはありません。唐沢憎しでそうしたレスをつけた方もいるようですが、総てガセですので、唐沢氏には、そうした刺客を想定されて恐れているのは杞憂だと申し上げておきます。
 このようなデマに迷わされぬようお願いいたします。

 そしてご報告

 これに関しては、内容の一切、具体的には書けません。

 ※以下、一晩たって読み直してみて、さすがにあまりにも嫌味な文章と思われましたので削除いたしました。

 あくまでも、文章を削除しただけです。あしからず。


             ラットマン(2008/02/03)



    現在の事件が過去までも変えてしまう凄まじい傑作。


            ラットマン

 多重どんでん返しが嫌いだと書いた前言を翻さなければならないようだ。
 物語の前半部、主人公である姫川亮の不幸が、内面の描写を含めてしつこいように語られる。これが、いかな嫌な“平山夢明”話が好きなわたしでも辟易させられる展開なのだ。こんな環境で大人になって、今は、食料品のセールスに糊口を凌いでいる(仕事ぶりは全く書かれていない)姫川は「どうせ物真似バンド」と自嘲的に語るエアロスミスのコピーバンド、『Sundowner』のギタリストでもある。バンド名ですら『Sound Owner』(音の支配者)と取り違えて付けたという情けない設定(夕刻仕事の後に呑む酒の意。落日を追っていく放浪者という意味もある)。
 メンバーは高校時代の友人2人と小野木圭という女性。圭はかつてこのバンドのドラマーで姫川らの同級生、小野木ひかりの妹だ。姫川と肉体関係があるひかりは妊娠していて、既に堕胎医の予約をとっている。そして、姫川は圭とも関係してしまう。

 たまらなくなるくらい、閉塞的な人間関係の中で、殺人事件は発生する。そして、後半からは、登場人物の視点を目まぐるしく変えながら、事件の形を徐々に明らかにしていくのだが。
 実は、この時点で、読者は作者のミスディレクションにまんまと嵌っているのだが、それに気付く人はいないだろうな。
 傑作『シャドウ』で描かれたような人間関係と、これまた別の意味で傑作である『向日葵の咲かない夏』でも示された呪物の数々が(昆虫、姉⇔妹の死体etc)が蘇ってくる。

 絶望的な物語と見せかけながら、最後には希望を抱かせる語り口は『シャドウ』や『向日葵―』に共通する。そして、冒頭で述べた多重どんでん返しの凄まじさたるや(ここからネタバレ ↓)

 そもそも犯人と思しき人物の人格形成に大きく係わり、そして、隠されたより残酷な真相があろうと思わせた過去の出来事を総てひっくり返してみせるという荒業なのだ。ひっくり返された後に垣間見える事実のなんと哀しく、なんと素敵なことか。これは「だったりして」と奇を衒らった姑息なドンデン返しとは全く別のものなのだ。

(ここまでネタバレ ↑)

『シャドウ』に唯一瑕疵があるとすれば、それは滅入るような暗さだが、本作には悲惨な物語だというのにどこか救いがある。

『ラットマン』 道尾秀介 光文社 2007

※平山夢明様の名前を誤記しておりました。申し訳ありません。


             訂正(2008/02/03)



 裏取りもしないで憶測でものを書いてしまいました。

 漫棚さんからこんなメールを頂戴いたしました。

>交渉の最初期の段階で、
>「盗作」「盗用」あるいは「無断引用」などの文言は使用せず、
>「ほぼ同一の文章を無断で掲載してしまった」という表現を使用することで、双方で合意していました。

 あらあら、では「謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求」とは、本当に何のことだったんでしょうね。嘘を書いて、漫棚さんを貶めようとしたとしか考えられません。


        漫棚通信さんの名誉回復、及び小休止(2008/02/03)



 漫棚通信さんからメールが来た。

>唐沢氏は、漫棚通信が「謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求」
>をしたと主張していますが、これが具体的には何なのか、
>今でもわたしにはよくわかっていません。
>藤岡先生へのメールには何か記載がありましたでしょうか。

 おっと、これに触れなければ、いつまでも漫棚さんは「過剰な要求をしたクレーマー」だと誤解されることになる。はいはい、唐沢氏はそれについて、ちゃんと書いてくれています。

 唐沢氏はあくまでも「盗作」ではなく「引用ミス」であったと主張し、弁護士から「引用ミス」に対してとるべき謝罪の基準として

>発生印税に見合った謝罪金
>非公開の謝罪文提出
>出版社在庫の裁断

 というサジェスチョンを受けたそうです(つまり、これ以上のことをする必要はない)。しかし、唐沢氏は太っ腹なところを見せて、これに

>サイトへの一定期間の謝罪文提示

 という条件を加え、漫棚氏に提示したそうです(この経緯は、サイトや著作にも既に書かれています)。

 しかし、漫棚氏の要求はあくまでも「盗作」を認めて、謝罪文に反映させろという(しごく常識的な)ものだった。なんで、これが「謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求」なんでしょうか。

 そうなんです。
 唐沢氏にとって「盗作」の事実を認めろと言われるのは「死ね」と言われるのに等しいのですよ。

○盗作の事実を認める。

    ↓

○「新・UFO入門」絶版、回収。

    ↓

○幻冬舎から告訴される。

    ↓

○朝日新聞書評委員解任。

    ↓

○TV、ラジオ出演、雑誌の連載中止。

    ↓

○講演依頼無し。

    ↓

○最低一年は出版の自粛。

 となるわけで、フリーライターにとっては死ねと言われたに等しい状況です。たとえネットでボロカスに書かれようが、「盗作」の事実は絶対に認められない。だから、唐沢氏は本当は漫棚氏にこう言いたいのでしょう。
「あんたには一銭の実害も無いし、かえって名前が売れて幸運だったじゃないか。こっちは死活問題なんだぞ」
 殺人を犯しながら死刑になりたくないから認めない。
 いや、唐沢氏は今回の事件を「痴漢事件」くらいにお考えのよう。

>痴漢行為の被害者がどれほど
>精神的な苦痛を感じても、それによって加害者に死刑を要求する
>ことが出来ないというのと同じです。

 とお書きになっていますからね。

 漫棚さんは「謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求」なんかしていませんでした。皆様誤解無きよう。

 さて。唐沢氏の裏取りも出来たし(新情報ゼロ)、漫棚さんも名誉回復できだし、これからしばらくはこの問題は小休止。深く静かに潜行して、アクションプランを粛々と実行に移して参るとします。

 最後に一言。
 唐沢さん、

>他人の無断引用を糾弾する人が、人の私信を無断公開するという
>愚はおかさないであろう、と信じてはおります

 「糾弾」と「無断公開」になんの関係があるのかという突っ込みはさておき、わたしは一度たりとて、あなたの「無断引用」を糾弾したことなんてありません。
 わたしが糾弾しているのはあなたの「盗作」です。


          唐沢俊一氏からの返答 その2(2008/02/02)



 またまた返信がきました。
 前回のメールで

 >私信として一応、一度だけお答えいたしたいと思います。

 と宣言しておきながら。
 前回のメールは実に慇懃な文章で、背筋の寒くなるようなお追従の文言が綴られていましたが、そんな姑息なものに騙されないよと返したら、ぶっきらぼうな捨て台詞が書かれていました。
 チンピラ詐欺師がばれて本性を現したようで。
 しっかし、分かりやすい性格&人格だねえ。

 なお、唐沢氏はわたしが漫棚通信氏と連絡を取り合っていることを知らなかったようで、週刊新潮が漫棚氏に取材しなかった件(実際は取材はあったが、円満解決を望んでいた漫棚氏は断わった)について、メールアドレスを公開していなかったから出来なかったのではという、いい加減な嘘を返してきました。あの時点でああしたコメントをした唐沢氏は、円満解決を望んでいなかったと突っ込まれるのではと邪推したのでしょう。
 無論、漫棚通信氏はメールアドレスを公開しています。
 


          唐沢俊一氏からの返答(2008/02/02)



 唐沢俊一氏から、速攻で返答があった。
 しかとしている山本弘氏とは大違いと言いたいが、まあ山本氏にはわたしに回答する義理はないか。

 唐沢氏は「私信を公開するな」と念を押しているし、それは正当な要求と考えるので、わたしが唐沢氏に返した文章をここに公開しよう。唐沢氏の返答の中の約三行弱が載っているが、それは引用ってことで。


>>唐沢俊一様

ご丁寧なお返事ありがとう御座います。

「創」であなたがあれほど、主張していたので、部外者には分からないなにか余程の事情があるのかとも思いましたが、これまでのあなたの稚拙な言訳以上のものはなにもないようですね。

>ミステリ作家であるという藤岡さまにこんなことを言うのは釈迦に
>説法でもありましょうが

 はいはい。あなたが何を正当化したくて、なにを隠蔽しようとしているかは、手に取るように分かります。
 
 他人の文章を引き写し自己の文章のように改竄して、そのことについてなんの断わりもなく(無断ということですね)、自著に掲載することを盗作と申します。あなたが失うものを考えたら、まことにお気の毒で追及の手を緩めたくもなりますが、この一点を認めない限りそうはいかないのです。
 万引き犯が「金を払い忘れてしまい、心から陳謝します」と土下座しているのと同じです。
 己の金で膨らんだ財布を見せて、

>その犯行動機があまりに弱くありませんか

と言訳しているのと同じように滑稽なことなのですよ(充分にお分かりでしょうが)。
 あなたの行為は、商品の値札を引き剥がすなどの作業の後に商品をポケットに入れて店を出ようとしてばれて、「支払いミス」と言っているのに過ぎません。

 一つ同情するなら、あなたは「一行知識」の掲示板に書かれた書き込みを自由に自己の著書に掲載し、情報提供者に喜ばれてきたということを長く味わってきた。
 今回もそのノリだったのでしょうね。それに対し、正当な主張をしてきた相手はあなたには「悪質なクレーマー」に見えてしまい、その対応を誤った点でしょうか。

 わたしは「知的財産権の侵害」「名誉毀損」に係わる大きな事件を何度も体験しております(被害者としても加害者としても)。
 数十万円の金をけちったために、何千万の保障を要求された相手とも直談判し、交渉して解決してきた経験があるのです。

 あなたの脆弱な屁理屈では到底誤魔化される相手ではないことを老婆心ながら書き添えましょう。

 私信を公開したりはしません。
 わたしは山本弘じゃないからね。            藤岡真


     唐沢俊一氏に対する誤解、及びお詫び(2008/02/01)



 これはわたしの一方的な誤りだったので、唐沢俊一氏にお詫びする他はない。
「創」2月号の記載された

>ネットでいろいろ論評していた人間で、
>「唐沢の見解はどうなのか」と尋ねてきた人は一人もいなかった。
>私のメールアドレスを知ってるはずの人でもね。

>著名な作家とか評論家とか名前がある人で今回の件に言及している人も、
>一切コンタクトしてこない

 といった言い分に対し、わたしは―
「文句があるなら、メールアドレスを公開しなさい。なんか、いつでも相手にしてやるからかかってきなさいとか啖呵を切って、要塞に引き篭もってるみたいですよ、唐沢さん」

 と書いてしまった。
 ところが、これは誤りだったのだ。
 唐沢氏はHPの「講演のご案内」というページ
 で、メール送信が可能だったのだ。

 よく調べもせずにすみません。

 そこで、早速メールを送らせてもらった。以下

 唐沢俊一殿
 こんなところにメールアドレスが公開されていたとは知りませんでした。ずっと、コンタクトしなかったのは小生の怠慢でした。
 さっそく、用件に移りましょうか。「事実関係の裏取り」です。
1、あなたは漫棚通信ブログ版から大量の文章をコピペして自著に掲載し、「引用したという事実を記載し忘れた」と釈明しましたが、「改竄」を加えた文章は「引用」にはなりません。ご説明下さい。
2、絵物語のストーリーの要約を、何故に他者の書いた文章を「引用」せねばならなかったのでしょうか。朝日新聞書評委員ともあろうあなたがです。そもそも「引用の必然性」が、ありません。
3、あなたは漫棚通信氏が、交渉の経緯をブログに書いたことを非難していますが、あなた(と知り合いと名乗る不明の人物)は週刊新潮の取材に交渉の経緯を洩らしていますが、これはいいのですか。
4、そして、ちゃんと取材してきた、まともなメディア週刊新潮は漫棚通信氏には取材していませんが、これはどうお考えですか。
5、 最後に「今後、単純な引用ミスをおかしただけの同業者が、これを前例として相手に過大な謝罪を要求されるという事態を招きかねない」と判断して交渉を決裂 させた(この記述は後々重大な意味を持ちます)あなたが、何故にHPに謝罪文を掲載し、2刷本にも同様の処置をしたのですか。

 お答え下さい。なにも回答がなかった場合はその旨をわたしのサイトに記載します(1日2000ページビュー)。
 よろしく。
                         藤岡真

 さて、どんな返事が来ますやら。


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