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「経験生かし食品Gメンに」 ミートホープ社長が公判で

2008年02月18日22時00分

 北海道苫小牧市の食肉加工会社ミートホープ(自己破産手続き中)による偽装牛ミンチ事件で、不正競争防止法違反(虚偽表示)と詐欺の罪に問われた社長の田中稔被告(69)の公判が18日、札幌地裁であった。起訴事実を認めている田中社長は将来、経験を生かして食の不正を摘発する「食品Gメン」のような仕事をしたいと発言。調べに対し、「自分は最後の職人と呼ばれていた」と話していたことも供述調書で明らかになり、裁判長や検察官から「罪の重さがわかっているのか」とただされる場面が続いた。

 弁護士による被告人質問で田中社長は「スーパーを回れば、私なら『この商品はおかしい』とわかる。(逮捕以前に)実際に不審な肉を見つけ、スーパーの担当者に注意したら、私の顔を見て複雑な表情をしていたが……」と発言した。

 検察官が「『食品Gメン』のようなことか」と尋ねると「そうです。全国を回って不正を捜している人がいる。やった方がいいと勧めてくれる人もいる」と述べた。

 嶋原文雄裁判長は調書に「最後の職人」とあることをとらえ、「魂、信念を持つ人を職人という。そんな自負があるなら、なぜ不正を働いたのか」と質問。田中社長は「どうすればおいしく利用できるかしか考えないようになっていた」と答えた。

 裁判長が「事件の本当の被害者はだれか」とただすと、しばらく置いて「消費者ですか?」と問い直す場面も。裁判長は「そうです。消費者のことがあなたの口からは出てこない。よく考えてください」と戒めた。

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