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年金問題:厚生年金改ざん、社保事務所が「圧力」 社長が証言、確認文書の求め拒否

 会社員が加入する厚生年金の受給額に影響する「標準報酬月額」の改ざん問題で、東京都内の40代の会社社長が毎日新聞の取材に、社会保険事務所による改ざんへの関与の詳細を証言した。それによると、同事務所の改ざんへの関与は、指示と言えるものだった。総務省の年金記録確認第三者委員会は、標準報酬月額が不正に減額されたり、消されたりした事例を15件確認しており、被害は拡大する可能性がある。

 社長が経営する会社はサービス業関係で、社員数人。06年、資金繰りが悪化し、会社側の厚生年金保険料の滞納額が約100万円に上った。

 社長は東京都内の社会保険事務所から呼び出しを受けた。資金難を訴えると、徴収担当の30代職員から「例えば滞納額を減らす手段として標準報酬月額を下げる方法もある」と告げられた。言質を取られたくないあいまいさの残る言い方だったが、社長には「指示」としか思えなかった。

 正確を期すために社長が文書を求めると、「私から『こうしろ』とは言わない。記録は残せない」と拒否する周到さだった。

 標準報酬月額を引き下げれば、将来受け取る年金が減ることは分かっていた。でも、それまでの取り立てが執拗(しつよう)だった。会社を訪れた徴収の職員から「会社がつぶれても回収してやる」とすごまれ、「精神的に追い詰められ、うつ状態にもなった」。

 06年夏、社長は62万円としていた自分の標準報酬月額を同年1月までさかのぼって最低の9万8000円に変更する書類を提出した。書類一式を準備したのは社会保険事務所の側で、ノーチェックで受理された。

 改ざんによる引き下げで社会保険事務所は保険料徴収率のアップにつなげられる。各事務所は前年度の徴収率を上回ることがノルマになっている。【中西拓司】

 ◇社保庁適用・徴収対策室の篠原千代三室長補佐の話

 徴収方法も適正と思うが、職員の対応に問題がある場合は個別に指導したい。

毎日新聞 2008年2月17日 東京朝刊

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