現代医学の最先端から身近な健康法まで、毎回個性豊かに語られる健康談義。
会報誌「ハイ・ゲンキライフ」連載記事からの転載です。
「贅食文化」から「健食文化」へ
- 書家小川 東洲先生
- (株)玄米酵素 代表取締役岩崎 輝明
今回は日本を代表する書家のお一人、小川東洲先生をお招きしました。 先生は北海道深川市出身で、中学・高校教師を務めながら書の研究に取り組みましたが、昭和43年(40歳)に教職を退き、書活動に専念されています。その後、ハーバード大学客員教授、ボストン美術学校教授などを歴任。芸術選奨文部大臣新人賞をはじめ北海道文化賞、札幌市民芸術賞などを受賞、また作品は京都国立近代美術館をはじめ各国の美術館、総理大臣官邸、大英博物館などに収蔵されるなど高い評価を受けています。 ハーバード大学では、皇太子妃殿下雅子様の恩師でもあり、ご両親の小和田家ともご親交があります。 先生には昨年、株式会社玄米酵素が創業30周年を記念し、洞爺健康館に建立した慰霊碑の碑文も書いて頂きました。 食生活にも大変心を用いられ、ハイ・ゲンキも愛食されて、ますますお元気で美術文化の振興に活躍されておられます。
国際交流は異文化の理解が大切
岩崎 昨年、会社創立30周年を記念して洞爺に先人の慰霊碑を建立した際、先生から素晴らしい題字をいただきました。さらにその後、原書を額装してお届け下さるなど、心から感謝しております。先生と私の最初の出会いはもう8年ほど前になりますね。その際、玄米酵素の話をしましたら早速サプリメントとして取り入れ、現在もご愛食いただいております。さて、国際的なご活躍をされている先生は、現在財団法人美術文化振興協会の専務理事もしておられます。財団ではどのような活動をされていらっしゃるのですか。 小川 今では国際交流はごく日常的なことになりました。国際交流の根元は異文化を理解することが主目的ですが、特に美術文化にはその違いが著しく表われます。例えば書道の場合ですと、国字を筆や墨で大書する文化や習慣は外国にはありません。その意味から東洋独自の芸術文化としての紹介や振興発展にもお役に立てばと取り組んでいます。 岩崎 先生の書は国内をはじめ世界中の美術館に収蔵されています。イギリスの大英博物館にも収められているとうかがいました。どのようなきっかけだったのですか。 小川 いつも思うのですが、人生はすべて出会いなんですね。外国にいる時も仕事を通して多くの邂逅に恵まれていたお陰です。イギリスの場合も、たまたま大英博物館のローレンス・スミス東洋部長が北斎版画の研究家で、特に東洋的な線についての理解や関心が深く、書の伝統芸術にかなりの興味を抱かれたようです。私は氏に書の古典の臨書(手習い)について「伝統は“手抜きをしない、手間を省かない”の心掛けや習慣がまず大切…」と説明しましたが、これは健康食品への基本的な考え方にも通ずるのではないでしょうか。 岩崎 確かにそう思います。ところで、深川市の駅前に先生のアートホール東洲館がオープンしましたね。 小川 去年の5月に完成しました。大英博物館に展示された作品のほとんどを寄贈しています。 岩崎 私もぜひ一度見せていただきたいと思っています。また先生はハーバード大学で客員教授として講座を持たれたそうですね。 小川 17年ほど前に招かれ、以後10年間、1年に3、4カ月は出講していました。文字の文化史的な変遷の話や、毛筆も実習しました。 岩崎 雅子妃殿下もその頃ハーバード大学にいらっしゃったとうかがいましたが…。 小川 私があちらへ行った年のご入学でしたが、雅子様は一年の時から優秀で卒業時には学生最高のマグナ・クム・ラウデ賞を受けておられます。 岩崎 先生はご成婚がお決まりの時、雅子様にハイ・ゲンキを送って下さいましたね。すぐにお母様から直筆のお礼状をいただき、今も大事に取ってあります。ところで国際性についての先生のお考えをお聞かせください。 |
本当の食文化は健全な食事から
小川 国際性とは文化の違いがわかる、それを理解することで、例えばお酒一つにしても、ワインやスコッチ、ウオッカと日本酒とでは大きな違いがありますね。ところで今の日本は「贅(ぜい)食文明」、つまり暖衣飽食の時代だと思います。幸福は肉体の健康には良いが、精神力の成長には妨げであることも自覚しなくては…。平安時代は、お菓子代わりに大根の薄切りを出したそうですね。特に今日の文明社会では自然の産物を多く取り入れることが大切だと思います。その点、岩崎さんは、「健食文化」を薦める人間の根幹的なお仕事だと思いますよ。 岩崎 米は本来の玄米の姿からカスの白米にかわり、パンも原料の玄麦から白パンに、砂糖も黒砂糖から白にかわった。ここから文明病が始まったのです。まずかっけという死病が生まれ、現在は医療費が国家の歳入の80%を占める異常な事態が起きています。 小川 そうですね。子供が親を、という…異常な時代です。これも肉食中心の動物的な食生活とは無関係ではないと思います。 岩崎 それに今の食事は本来のものから欠けています。その不完全な部分を酵素というサプリメントで、より完全に近づけていくというのが我々の考えです。玄米から芽をとってしまうのは、電気のスイッチを切るのと同じこと。だから白米食に玄米酵素をプラスすることは、人間の生命力というスイッチをオンにして電気をつけるようなことだと思います。また、先生のおっしゃる通り肉食はアグレッシブ、闘争的になりやすい。 小川 「野菜しい」(笑)ですか。特に今の子供たちは、土や板の間の生活からはほど遠いコンクリート詰めの状態で、自然界の円い空まで四角に見つめています。これでは身も心もおかしくなりますね。ところで、もともと書道は中国の歴史的な古典を学ぶものです。筆を持つ手で硯や墨、紙などの自然に接し、東洋の哲学書を読むようなものだと日米の学生たちにも話しています。 岩崎 自然と一体となり自然に抱かれる、東洋の思想ですね。一方、西洋の文化は逆に自然と対立し、征服しようとする点で大きな違いがありますね。 |
心身共に健全になるには自然の力が必要
小川 それに世の中がこうも超加速的な時代になりますと、自然や時間停止的な「時」に対する価値観がずいぶん希薄になってきます。タイムスリップなどという心のゆとりや悠揚感が不足がちで、情緒不安定という症候群がめきめき増えているのもそのためだと思われます。心技体すべてについて自然に関わるものが加わっていかないと長持ちしませんし、永遠なものにはなりません。贅(ぜい)食はその逆をいってますから体にいいはずがない。これをどう回復するか。文明は世の中を便利にはしますが、その過程で失われたものを取り戻す力はやはり文化なのです。 岩崎 便利な生活が人間に幸せを与えたかというと、これまた疑問です。先生は血色もいいし、若々しくエネルギッシュですよね。玄米酵素を食べてからどのような効果がありましたか。 小川 回復力が出ました。またいつの間にか甘いものや油っぽいものを求めないような体質に変わってきたように思います。私はいろいろな滋養を取り入れていますが、葉緑素も入っているハイ・ゲンキは最も自然を感じます。何より玄米は食生活の原点ですからね。心身ともに健全になるためには自然の力を借りるしかない。白米のように大事な部分が欠けたものを食べているのですから、何かでその分を取り戻さなければ …。
岩崎 酵素は煮る、炊く、焼くで48度くらいで失活してしまいます。動物の中で酵素が失活した食べ物をとっているのは、人間とペット動物だけです。他の動物は全部食べ物を生で食べて、天が栄養分を消化するものをすべて入れた酵素をとっているのです。終わりに何かひとこと …。 小川 ヒマラヤに寒苦鳥という鳥がいるんですね。この鳥は夜中は寒さに凍え通しで、明日こそ塒(ねぐら)を作ろうと何時も真剣に考える …。ところが朝になって陽がポカポカし始めますと、また巣作りを忘れてしまうんです。私たちは人間なんですから、健食摂取にしましてもよい習慣は直ちに…でなければならないと思いますね。 岩崎 身にしみます(笑)。今日は貴重なお話をありがとうございました。
(ハイ・ゲンキライフ121号 平成14年6月1日発行 より) |
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