武田邦彦中部大学教授、中川雅治参議院議員とリサイクル問題について論争
●PETボトルリサイクルについて
PETボトルはリサイクルされずに燃やされているというのが、全国一律の問題であるように見えますけど、そうではないんです。釜石市はPETを大量に品質良く集めて送り出すことができないから燃やすほうが効率的だということです。
横浜市では大量に品質良く分別されて、シートや繊維になっています。分別に24億円のコストがかかっていますが、売上げは20億円になります。さらに、ごみは38%削減され、7つの焼却炉のうちの2つをなくすことができ、ランニングコストだけで年間30億円の節約、改修費1100億円を削減することができたのです。
さきほど、中国へ輸出されていることが紹介されましたが、リサイクル産業を育てていくことが日本にとって必要で、横浜市では12,000トンのPETボトルは国内業者に売り渡すというルールを決めています。PETボトルのリサイクルで一番いいのはPET樹脂になることですが、しかしPET樹脂にならなくても繊維になったりしているので、横浜の市民のみなさんには安心していただきたい。
ただし、ここで重要なことは、日本のPETボトルの1回使って終わりのリサイクルですね。ヨーロッパでは何回か使うリユースをしています。何回も何回も使うのです。日本のPETボトルのリサイクルも進化させていかないと、せっかく市民が分けたのに1回使って終わりというのは考え直さないといけないですね。
ビール瓶はデポジットになっていますね。子どものときビール瓶を集めて酒屋さんに持っていくと5円もらえたわけですが、今でも5円という金額だとしたら、そこが問題で、それだったら捨ててしまってもいいと思ったり、缶にしようということになったりします。
PETボトルもデポジットをのせて10回でも20回でも使えるものにすれば、ヨーロッパのように経済的合理性は働くようになると思います。
武田先生がおっしゃったとおり、容器包装リサイクル法の問題があります。
横浜市では国内業者という条件をつけて売り渡しています。12,000トンのうち9,000トンは国内業者ですが、残りの3,000トンは委託指定業者に渡しています。この委託指定業者というのが、武田先生が指摘していている、おおかたの自治体が引き渡している先で、何に使っているのか分からないのです。だから横浜市では自前で9,000トンを責任の持てる国内業者に引き渡して、アフターフォローもできるようにしたのです。
法律を変えないと、せっかく市民に分けてもらったのに何に使われたのか分からないことがまかり通ってしまう。横浜くらい大都市になれば自前でやろうと思えばなんとかやりますよ。
●古紙リサイクルについて
武田先生がおっしゃった統制経済と自由経済というのはキーワードだと思います。
木材・パルプを買ってくるのは自由経済で、再生紙を購入しなさいというグリーン購入法は統制経済です。この二つが混ざっていることが仕組みを複雑にしていますね。
しかし、逆に言うなら、再生しなくていいですよと言うと、木材を輸出しているオーストラリアでは森林破壊につながってしまう、リサイクル材よりもバージン材のほうが安いとなれば再生品は使われなくなる、ごみになってしまう、海外に輸出されるようになるということが起きてしまいます。
武田先生はリサイクルしないほうがいいとおっしゃいますが、私はリサイクルしたほうがいいと思っています。自由経済と統制経済が入り組んでいる仕組みの中で、武田先生のようなひとつの極端な論もありえますけれど、基本的にはリサイクルは有効だと思います。 |