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コンピューターウイルス:結局は「愉快犯」 中辻容疑者、ウィニー「義賊」はウソ

 知人の写真などが表示される自作のコンピューターウイルスを流布したとして、京都府警に名誉棄損容疑で再逮捕された大学院生、中辻正人容疑者(24)=大阪府泉佐野市=が、動機について「面白いから始めた。無害だと飽きられるのでウイルス機能を付けた」と供述していることが分かった。ウイルスはファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」攻撃を大義名分に掲げていたが、府警は「愉快犯」とみている。

 調べでは、中辻容疑者は05年10月、知人の写真をウィニーでネットに流したが、次第に飽きられたので、06年1月にウイルスに付けて配布。その後、アニメ画像も使い、100種類以上のウイルスを作成した。違法コピーの原因となるウィニーなどファイル交換ソフトやその利用者を攻撃する内容を含むものも多く、一部で「義賊」ともてはやされていた。【熊谷豪、細谷拓海】

 中辻容疑者の供述からは“ノリ”で作成にのめり込んでいく様子がうかがえる。同容疑者と知人男性の供述詳細は次の通り。

 ◆供述の詳細

 05年10月ごろ、ウィニーでリュックを背負い、眼鏡をかけた男の画像が広まり、そんな画像を流したら面白いんじゃないかとひらめいた。写真入り画像に『電通大の○○(実名)』などと入れて流すと「2ちゃんねる」などで話題になったが、無害と分かると次第に飽きられた。

 それならウイルス的な機能を付けようと思い、06年1月ごろ、ファイル削除機能付きのウイルスを放流した。2ちゃんねるに「動画ファイルだけなくなった」とか書き込まれ、有頂天になりすごく興奮した。

 その年の春か夏に「(知人の)家に時々変な電話がかかってきており、警察に相談しに行く」というウワサを聞いた。捜査を避けるなどの目的で、アニメ画像も使うことにした。それら亜種については私が作ったものに間違いない。最初のウイルスはデスクトップに画像を表示させ、ファイルを削除する単純なものだったが、感染者の画像を転送させる機能が加わり、相手の状態が分かるようになった。その資料をもとに研究を重ねた。感染者は感想などをリポートしてくれるモニターだった。

 ◆知人男性の供述

 ウイルスの存在は2年前の冬、中辻容疑者から聞いた。非常に不快な気分になった。ウイルスはネット界でどんどんメジャーになり、友人から作成を疑われるなど信用を失った。中辻容疑者とは普通に話をし、就職の合同説明会に2人で行ったこともある間柄。裏切られた思いだ。

毎日新聞 2008年2月16日 大阪夕刊

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