医療事故を調査する「医療事故調査委員会」(仮称)の設立をめぐって議論が繰り広げられる中、全日本民主医療機関連合会(肥田泰会長)は2月18日までに、「同委員会の設立を待たずとも、医療機関の努力や国や行政の支援などによって、医療事故に関する問題には改善できることがある」として、当面強化すべき事項を提案した。具体的には、患者や医療機関の相談窓口として各地に設置されている「医療安全支援センター」の機能強化や、院内における事故調査委員会の充実などを求めている。
医療事故などによる患者の死亡を刑事事件として扱っている現状への医療現場からの指摘が相次いだことを受けて、政府・与党は、警察とは別に事故を調査する第三者機関の創設の検討を行っている。政府・与党が示した試案では、医療・法律の専門家や遺族の代表らで医療事故調査委員会をつくり、事故が起きた場合の届出を義務付けることが新制度の仕組み。しかし、これに対しては現場からの批判も多く、議論は難航している。
このような状況のなか、民医連は、同委員会の制度設計をめぐっては、国民的な議論を尽くした上でより良いものにしていく必要性を主張。その一方で、「同委員会の設立を待たずとも、医療従事者の専門性の発揮や医療機関の努力や現存するネットワークの最大限の活用、またそれに対する国や行政の支援によって改善できることがある」として、6つの事項を提案した。
まず求めたのは、各都道府県を中心に設置され、患者や医療機関が医療安全に関して相談する医療安全支援センターの機能強化。現在、年間の相談件数は4万件以上にも上るといい、国の責任で十分な人材と予算をつける必要があるとしている。
また、事故が発生した場合、病院自身が速やかに原因究明や再発防止のための調査を実施することが基本として、院内における事故調査委員会の充実についても言及。ガイドラインを示すなどして、国が早急に調査方法を確立することを訴えている。
さらに、病院が患者・家族ときちんと対話して紛争の解決を目指す「院内ADR(裁判外紛争処理)」の促進も強調。各病院が担当職を配置するため、費用の保障が不可欠という。
これに加えて求めているのは、病院にも患者にも明かされていない司法解剖結果の開示や、警察に届ける必要のない解剖体制の構築。このほか、医療機能評価機構の医療事故防止センターが実施する医療事故収集事業の充実や、医療従事者への行政処分を医療関係者が自律的に行う機構の確立についても併せて提案している。
更新:2008/02/18 15:35 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。