2008年02月18日 更新

中国・重慶で反日感情再び「君が代」かき消す大ブーイング

前半、警備員がスタンドに掲げられた横断幕を撤去。その後ろで観客は日本にブーイング(共同)

前半、警備員がスタンドに掲げられた横断幕を撤去。その後ろで観客は日本にブーイング(共同)

 東アジア選手権・男子(17日、中国・重慶)重慶のオリンピックスポーツセンターに日本国旗が入場した瞬間、観客席の一部からブーイングや口笛が起こった。君が代斉唱の際にはその音量がアップ。中には日本選手に向けて中指を立て、挑発する観客もいた。

 北朝鮮が先制すると、観客だけでなく中国の報道陣も一斉に立ち上がって拍手を送った。後半20分、日本の交代時には悪態をつき、その3分後、北朝鮮の交代の際には拍手を送る。

 日本人サポーターが陣取る観客席は、その人数を上回る50人以上の警備員が配備された。ごく少数のサポーターが太鼓をたたきながら「ニッポン、ニッポン」と声援を送ると、中国人観客が「バカ」「中国、中国」などと言い返す一幕も。

 4年前のアジア杯で、日本代表に激しいブーイングを浴びせた地元ファンは何も変わっていなかった。中国で試合経験のある日本選手は「前も似たような感じだった」。岡田監督も「アウェーでは普通」と意に介さないが、「中国とやる時はこんなものではすまない」とも。20日の日中戦に向けて、重慶がきな臭くなってきた。

(川越一)

★中国熱狂サポーター、警備員と衝突

 東アジア選手権がこの日開幕し、中国人サポーターと警備員が早速“衝突”した。「長さ50センチ、直径1センチ以上の棒の持ち込み禁止」の規定があるにもかかわらず、競技場周辺で約1メートルの棒につけられた中国国旗が販売された。中国人ファンはこぞって購入したが、入り口で警備員に制止され、口論になるケースもあった。

 当局は中国−韓国戦に1400人の警備員を動員。20カ所の入り口に金属探知機を設置し、8台のX線検査機で危険物の持ち込みを監視した。重慶市公安局はさきに酩酊者や物を投げたりする行為を禁じ、悪質な行為には刑事責任を問うとしている。

■重慶

 中華人民共和国の直轄市。中国の内陸部、長江上流の丘陵部に位置する。中国西南部最大の商工業の中心地で、オートバイや自動車の生産が盛ん。亜熱帯性気候で湿度が高く、夏には最高気温が40度にまで達する。日本では広島市などが友好都市。人口約3100万人。面積は8万2000平方キロで、北海道とほぼ同じ。

■04年アジア杯VTR(7−8月)

 歴史的背景から反日感情が強いとされる重慶で、1次リーグ3試合と準々決勝の計4試合を戦った日本。国歌演奏の際に中国人観客が激しいブーイングを浴びせかけ、笛や太鼓を鳴らしてセレモニーを妨害した。その後の準決勝、決勝でも中国人観客が反日感情をむき出しにして、日中間の外交問題に発展した。