ハーバード便り
2000年05月03日




二ヶ月間にわたった今回の在外研究も、きょうでおわります。明朝、ボストンから日本に帰国することになります。名残惜しいのですが、とりあえず、さいごのアメリカ便りを。

 きょうは、ジャパン・アズ・ナンバーワンで有名な、アメリカにおける東アジア研究の第一人者エズラ・ボーゲル教授の最終講義に出席しました。70歳になるのでハーバード大学を引退されるそうです。ハーバード大学ライシャワー研究所に来ている東京工業大学の社会学者橋爪大三郎さんといっしょに出席しました。ボーゲル教授の最終講義は、とても早口で1時間だっーと休みなしにしゃべっていかれました。聞き取るのが大変でした。
その後のレセプションでは、同じく著名なスーザン・ファー教授にも会ってリサーチプロジェクトの話しができてたり、午後には、あらためてボーゲル教授を訪問して30分ほど面会できました。かれが昔、福武直さんと九州の炭坑地帯や農村をめぐったという話をきいたり、いろいろ有益でした。日本語で対話できたのですが、午前中の早口が嘘のようにゆっくりと穏やかな話しぶりでした。




 今回のハーバード大学でのリサーチのメインの Hauser Center for nonprofitmanagement でも、さいわい、キム・ライマンという博士課程の学生さんが、いろいろセッティングしてくれて、二日間にわたって、何人もの方々にインタビューできました。ことに、Yale からうつってきたばかりのPeter Dobkin Hall さん(Handbook forNonprofit Research で有名)には、ランチをいっしょにして、2時間くらいもいろいろ話をきくことができました。ただ、ランチしながら、猛烈早口でたくさんしゃべるので、メモもとりながら、ランチもしながら、質問もしなくちゃ、というので、たいへんでした。終わった後、どっと疲れてしまいました。Hauser Center for nonprofit management や Kennedy Center for Government については、いろいろ取材したので、またレポートを書きたいと思います。

 夜8時からは、Kennedy Center for Government で、小和田恒さんもきて、シンポジウムがあるというので、期待してでかけましたが、直前になって小和田さんはキャンセルになって、みんな怒っていました。しかし、だいぶ高齢のRobert Dahl さん(政治学者で、ポリアーキー概念の創出者で著名です)がパネリストの一人で、おそらく80近いのではないかと思いますが、かくしゃくとしてしゃべっていたのに感銘をうけました。

 そうそう、ボーゲル教授の最終講義には、脱工業化社会論で有名なダニエル・ベル教授が来られていて、びっくりしました。講義のはじまるまえに、彼をみつけて、すこしご挨拶することができました。こういうのもハーバード大学ならではですね。



ダニエル・ベル


 今回は、とてもよい滞在でした。ハーバード大学に来てよかったと思います。こういう
経験をしてしまうと、やはりハーバード大学が好きになって、何度も来たくなる、という
のが分かりました。
 それにしても、ハーバード大学の学部には日本人は6人くらいしかいないそうです。と
ころが大学院全体では60人以上になって、さらに驚いたことに訪問教授となると100
人くらいいるそうです。ハーバード大学では、いたるところで日本人に会うというのも、
なんだか変な気分でした。


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