長岡市は、夜間に成人の軽症者を診療する急患センターを新設する方針を固めた。運営中の「中越こども急患センター」の機能を大人向けにも拡充する計画で、主に重症患者を担当する「2次救急」病院の負担軽減などが目的。市議会で予算案が承認されれば4月に開業する。
急患センターが受け入れるのは長岡、小千谷、見附の3市と出雲崎、川口両町の住民。各市町の医師会などが長岡市西千手の「健康センター」に交代で内科医を派遣する。急な発熱や腹痛などを診療し、薬剤師会も協力するため、比較的軽度の患者を治療する「1次救急」には十分に対応できる体制だ。
長岡市は06年、夜間の「中越こども急患センター」を開設した。契機は02年に岩手県で起こった不幸という。体調を崩した乳児が夜のために開業医に診療を断られ、病院は当直医が小児科担当でないなどの理由で「たらい回し」。乳児は翌日、死亡した。
こどもセンターには小児科医1人と看護師2人が駐在し、インフルエンザやノロウイルスなどの急患を診療している。1日平均12人以上の利用者がいるほか、電話での緊急医療相談にも対応。重症と診断され「2次救急」病院に転送されたために一命を取り留めた子供は06年度、110人に上ったという。
この効率性を大人向けにも適用するのが新設の急患センターだ。軽度の患者が夜に病院に集中するのを防ぎ、「2次救急」の病院は重症者の治療に専念できることになる。市の担当者は「住民の医療サービスを充実でき、救命救急医療体制を補完する役割も果たす」と話す。【前谷宏、根本太一】
毎日新聞 2008年2月18日