今年もはしかの流行が危ぶまれている。厚生労働省は先週、有識者を集めて「麻しん対策推進会議」の初会合を開き、国内のはしか対策の充実策などを話し合った。
会議では今後都道府県ごとに設置される対策会議と国の連携方策などが議論され、また予防接種の推進ではしか流行を阻止した韓国の事例などが報告された。
はしかは昨年、十―二十代を中心に全国で流行し、大学や高校の休校が相次いだ。予防にはワクチンの二回接種が有効とされるが、就学前の子どもに二回接種が始まったのは二〇〇六年度からだ。それまでは満一歳から七歳半までに一回とされていた。今の若者世代は一回の場合が多く、未接種の人もいることが流行の原因に挙げられた。
厚労省は、一二年までにはしかの流行をなくすことを目標に掲げ、今年春から高三と中一を対象にワクチンの追加接種を行う。また、昨年まで全国約三千五百の定点医療機関にとどまっていた患者数の報告を、今年からすべての医療機関に全患者数を報告させる全数方式に改めた。
この調査により、今年一月前半の段階で既に十代の患者が関東などで多数出ていることが分かり、国立感染症研究所も警戒を強めている。
はしかの流行期は春から夏にかけてとされる。ワクチン接種を一回しか、あるいは一度も受けていない人は、ぜひ接種を心がけたい。子どものためにはもちろん大人が注意しなければならない。
東京の大学では昨年の事態を教訓に、キャンパスでのはしか拡大を防ぐため在学生に無料でワクチン接種を始めたところもある。行政や学校、医療機関の取り組みや呼び掛けも当然重要だ。