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2008年2月18日

 霧の都ロンドンは、スモッグの都でもあった。産業革命以降、石炭燃料をフルに使って「世界の工場」を体現してきた英国だが、すさまじい煤煙が濃い霧とともに都市に滞留し、一九五二年にはロンドンで何千人もの死者が出るなど、たびたび大きなスモッグが発生している

その英国が、産業革命まっただ中の中国で開かれる北京五輪で大気汚染が改善されなければ、競技中に専用マスクを着用することを検討するという

有力選手の出場辞退も取りざたされる中、中国の「国家百年の夢」である五輪の舞台で、マスク姿の選手が競技するさまが全世界に流れれば「国家百年の恥」にもつながりかねない

世界中が環境問題にデリケートな時代である。ロンドンでは先のスモッグ事件の四年前に戦後初の五輪が開催されているが、今ならだれも当時のロンドンを会場に、とは思うまい

その意味で中国には同情するけれど、目を転じれば安全な日本が合宿地として脚光を浴びている。小松でも米国カヌーチームが直前調整するから合宿地・北陸を売り出す好機だ。もちろん、勢い余って本大会の会場も日本に分散誘致せよとまで言わないが。


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