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【社会】

手形詐欺事件 許被告の実刑確定へ 最高裁元検事の田中被告も

2008年2月14日 朝刊

 石油卸商社「石橋産業」(東京)をめぐる巨額手形詐欺事件で、詐欺などの罪に問われた許永中(60)、元特捜検事の弁護士田中森一(64)ら四被告の上告審で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は、上告を退ける決定をした。決定は十二日付。許被告の懲役六年、田中被告の懲役三年の実刑判決が確定する。

 共犯とされた許被告の側近二人は執行猶予付きの有罪が確定する。

 許被告らは「石橋産業の合意を得た上での取引だった」と無罪を主張したが、一審の東京地裁判決は、許被告に懲役七年、田中被告に懲役四年の実刑を言い渡した。

 二審の東京高裁判決は「石橋産業が手形債務訴訟で勝訴し、巨額の損害は現実化しなかった」として、許被告を懲役六年、田中被告を同三年にそれぞれ減刑した。

 一、二審の判決によると、許被告らは一九九六年、石橋産業側に中堅ゼネコン「新井組」の株式買い取りを持ち掛け、購入代金として石橋産業側が支払う手形をだまし取ろうと計画。「手形は取り立てには回さない」と虚偽の説明をして代金の約束手形(額面計百七十九億千七百五十万円)を詐取した。

 許被告は九一年に関西の中堅商社「イトマン」をめぐる特別背任事件で大阪地検に逮捕、起訴された。既に商法と法人税法違反の罪で懲役七年六月、罰金五億円が確定。公判中に約二年間失踪(しっそう)したが、現在は服役中。今回の判決と合わせて懲役刑の期間は十三年六月となる。

 田中被告は大阪、東京各地検で特捜部に在籍。撚糸(ねんし)工連汚職などの大型事件を手掛けた。一九八八年に弁護士に転身。検事時代の捜査経験や弁護士として出会った暴力団幹部、「バブル紳士」らとの交友を赤裸々に書いた「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」は、二十七万部のベストセラーになった。

 

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