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県立静岡がんセンター:看護師不足、増床にブレーキ--長泉 /静岡

 ◇知事「県東、魅力に欠ける」--他都市と奪い合い

 がん治療で国内最高水準にある県立静岡がんセンター(長泉町)が、看護師不足で目標のベッド数を確保できない状況が続いている。石川嘉延知事は毎日新聞の取材に「県東部が都市的魅力に欠けていることが根本的原因」と、自らの肝いりで開設した施設の苦境に、いら立ちを募らせている。【鈴木直】

 同センターは02年9月に313床で開設。医療や研究だけでなく患者の視点に立った治療でも定評がある。がんの「よろず相談」は他病院のモデルになっており、患者自身ががんについて調べられる「患者図書館」も設けられるなどユニークな病院として全国に知られている。

 開設時は、05年度に615床に増やす計画だったが、なかなか思い通りに増床できず、04年度に達成年次を07年度に延期した。だが、06年度に557床まで増やしたのを最後に、08年度も増やせないことが確定している。看護師の新規採用者が退職や育児休職者でほぼ相殺され、実質的に増えていないからだ。

 背景には06年度の診療報酬改定がある。入院患者7人に看護師1人の体制を取る病院に診療報酬が上乗せされる仕組みが導入されたため、看護師の奪い合いが起きて、人気のある都市部の病院に看護師が集まってしまっている。

 石川知事は「県東部に静岡市や浜松市程度の都市機能があれば、とっくに目標は達成できただろう」と、都市としての魅力が欠如していることが大きな要因との見方を示す。実際、病院関係者は近隣の沼津市や三島市に、大きな商業・文化施設が少ないため、「『休みの日に遊びに行くところが少ない』と聞く」と打ち明ける。

 同センターの宮城島好史マネジメントセンター長は「ベッド数の目標を達成するにはあと看護師54人の増員が必要だ。来年度の診療報酬改定で看護基準が見直されるかどうかがポイントになる」と話している。

毎日新聞 2008年2月5日

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