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【主張】ギョーザ中毒事件 「食品テロ」の視点も必要

2008.2.13 02:45
このニュースのトピックス汚染、公害

 中国製ギョーザ中毒事件は、完全密封された袋の内部から農薬が検出され、中国での混入が濃厚となった。中国警察当局の事実解明を待ちたい。一方で日本政府の対応に問題があることが明らかになってきた。中国への過度の配慮もにじむ。真相をうやむやにするようなことがあってはならない。

 首をかしげるのは、4日から中国を訪れ、7日帰国した政府調査団(団長、原嶋耐治・内閣府消費者企画課長)に警察庁の参加が見送られたことだ。胡錦濤主席来日を控えていることもあり、政府内で日中関係への影響を懸念して意見が割れたためという。

 中国公安当局は政府調査団に対し、日本の警察との協力に言及したようだが、警察庁が参加していれば、真相究明がスムーズにいったわけだ。

 そもそも日本政府は今回の事件を「食の安全問題」と位置づけているが、果たしてそうなのか。

 検出された農薬は基準値を大きく上回り、死者が出てもおかしくない濃度だ。残留農薬による食品汚染とは明らかに異なっている。

 かつて、地下鉄サリン事件が新たな都市型テロとして、世界の警察関係者らの関心を集めたが、今回は「食品テロ」という観点を持つべきではないのだろうか。「食品テロ」は爆弾や化学兵器を使わずとも無差別に人を殺傷し、社会を混乱に陥れることができる。今回の事態でそのことは図らずも証明された形だ。類似事件がいつどこで起きても不思議ではない。

 毒入り食品の輸入を阻止できなかったことは、日本が「食品テロに弱い国」であることも知らしめた。国家の危機管理が問われている。中国の協力がなくては真相が解明されないことも確かだ。強い外交力が求められる。

 だが、福田康夫首相は、この問題に関する関係閣僚会議の座長に岸田文雄国民生活担当相を任命した。外相や国家公安委員長が前面に出ることが必要だったのではないか。

 これまでの対応でも厚生労働省と自治体との情報伝達の遅れや、厚労省と農水省が双方で相談窓口を設置するなど、ちぐはぐぶりが目立った。縦割り行政の徹底排除を求めたい。

 政府はあらゆる可能性を想定して、万全の対策を講じるべきだ。

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