中国公安当局の暴動対策が逆に混乱を誘発　サッカー東ア選手権

　サッカーの東アジア選手権が１７日、中国・重慶で開幕した。同地などで２００４年７〜８月に行われたアジア杯では、日本の国歌斉唱中に中国人の観客がブーイングを発し、日本人サポーターと衝突。だが４年前の騒動の再現を防ぐため重慶市公安当局が講じた暴動対策が、逆に現場の混乱を引き起こした。
　重慶市公安局は１４日、“球迷”（サッカーファン）に向けて、「文明的な観戦」を求める通達を出した。「酩酊（めいてい）者の入場」や「物を投げたり、痰（たん）を吐く行為」を禁じたほか、日中戦を意識しているかのように、「勝敗には冷静に」「小競り合いを避け、故意に騒動の原因となるような行為をしないこと」をサッカーファンに要請。悪質な行為には刑事責任を問うとしている。
　１７日、中国人ファンと警備員の口論を誘発したのが、「長さ５０センチ、直径１センチ以上の棒の持ち込み禁止」である。競技場周辺で売られる応援グッズの中で人気だったのが１メートルほどの棒につけた中国国旗だ。中国人ファンがこぞって購入していたが、金属探知機が設けられた入り口で警備員に制止され、口論となるケースが少なくなかった。もちろん、日本代表の試合でおなじみの大旗のさおも没収対象となる。
　公安当局は開幕戦の中国−韓国戦に１４００人の警備員を動員、２０カ所の入り口に金属探知機を設置し、８台のＸ線検査機で危険物の持ち込みを監視した。悪態をつきながらも棒の没収に応じていた中国人ファン。過剰な警備でフラストレーションがたまれば、２０日の日中戦に向けて、新たな騒動の火だねになりかねない。（川越一）

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