県内の産科や小児科の現状について意見交換するシンポジウムが16日、中区大手町1の県民文化センターで開かれた。子育て中の母親や医療関係者など約400人が参加し、現場の医師や大学関係者からの医師不足や過重労働の背景などの報告に、耳を傾けていた。
県医師会などが年に数回開催している公開講座の一環。シンポでは行政担当者や医師、看護師らが県内の現状を踏まえ、医師不足の原因を▽勤務医の労働条件▽出産や育児など女性医師への配慮不足▽医療事故の増加--などと指摘した。
広島大医学部の工藤美樹教授は、広大を99年以降に卒業して、現在は広大の関係先の病院に勤める産科婦人科医のうち、6割強が女性で、子育てをしながら仕事をしている現状を報告した。他のパネリストも勤務医の過重労働から開業医志向となり、医師が都市部に集中する悪循環を指摘した。
コメンテーターの愛育病院(東京都港区)の中林正雄院長は「市民レベルで医療を考え、医師が疲弊しないようにする必要がある。今の危機的な状況を好機ととらえ、見直すことでよい方向に向かうのでは」と話した。【下原知広】
毎日新聞 2008年2月17日