立春を過ぎて、今冬一番の雪がやってきた。珍しいことではないが、雪とのつき合いには、骨が折れる 信濃の俳人・一茶に「雪行け行け都のたはけ待ちをらん」という句があることを知人から教えてもらった。邪魔な雪も、都の人は雪見酒を演出する風流として待っている。ならば、雪よ向こうへ行け。「都のたはけ(江戸の愚か者)」とは言葉が過ぎるが、雪国に住む者の実感がこもってはいる 雪の苦労は、雪国でなければ分からない。飛行機が飛ばなくなり、列車は遅れ、車が立ち往生する。雪に強い新幹線を切望する気持ちを、都の人々はどこまで分かるだろうか 北陸新幹線の新たな財源をめぐる知恵絞りが本格化している。なぜ道路だけが特定財源かという論議も、国会で続いている。同じ公共事業費なら新幹線にも回せばいい、と素朴に思うが、話はそう簡単ではない。国交省が握る金といっても、旧建設省と旧運輸省の取り分という縄張りが今も根強く、互いの連携や融通は、薬にしたくも無いのだとか 雪よりもつき合いづらい役人である。「都のたはけ」は、いつの時代にもいる、と地下の一茶なら嘆いていよう。
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