日本学術会議の終末期医療分科会(垣添忠生委員長)は15日、がんなどの終末期において、患者本人の意思がわからない場合、家族による患者の意思の推定に基づき治療中止も選択できるなどとする報告書を公表した。
今回の報告は尊厳死を容認した94年の報告とほぼ同じだが、94年以降も終末期医療をめぐる問題が相次ぎ、厚生労働省などが指針を公表したことを受け改めて作成された。
報告は、がんなどで余命6カ月以内と予測される患者が対象。リビング・ウイル(生前の意思表示)も含め、患者本人の意思が確認できる場合、緩和医療が十分に提供されていても、本人が延命治療を拒否すれば中止する。
本人意思が確認できない場合、94年報告では近親者の「証言」に限ったが、今回は家族による「推定」も認めた。治療方針決定の手続きとして▽家族意思の繰り返しの確認▽治療中止を求める場合の理由の確認▽多職種による医療チームの判断▽記録の保持--などを求めている。
治療中止の対象は94年報告を踏襲し、人工呼吸器、栄養補給などとした。一方、尊厳死やリビング・ウイルの法制化については、国民の合意が得られておらず「現時点で結論は出し難い」とした。
垣添委員長は「過去の終末期医療の問題は、緩和医療が充実していれば起こらなかった。遠回りに見えても、治療中止の条件作りより、終末期医療の質の向上、格差是正を進めることが本来の姿だ」と強調した。
【大場あい】
毎日新聞 2008年2月15日 21時44分