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乗務中発症:運転手の7割、1年以内に健診受けていた

 乗務中に病気を発症したタクシーやトラック運転手のうち、4分の3は発症前の1年以内に健康診断を受けていたことが、一杉正仁・独協医科大准教授(法医学)の調査で分かった。健診の詳細が判明した運転手のうち、3割以上は異常なしだった。一杉准教授(法医学)は「健診の回数や内容の見直し、さらに『調子が悪い』と言いやすい職場環境作りなど予防対策を取るべきだ」と訴えている。東京都内で15日に開かれた日本交通科学協議会で発表した。

 職業運転手が病気によって事業用自動車を運転できなくなった場合、事故の有無によらず国土交通省への報告が義務付けられている。一杉准教授は報告文書の開示を請求し、04~06年に国に報告された全国の事例を調べた。

 過去3年間の計123例(タクシー・ハイヤー70例、トラック53例)について詳細に解析。原因疾患のほとんどは脳血管疾患と心疾患で、半数以上は発症後に死亡していた。走行中に病気を発症したのは99例で、そのうち88例(89%)で事故が起こり、27例(27%)では乗客が負傷していた。残りの24例は信号待ちや客待ちなどで停車中だった。

 運転手は平均10年以上の勤務経験があり、約76%の人は発症前の1年以内に健診を受けていた。国への文書から要精査項目の有無が判明した68例のうちタクシー・ハイヤーで3割、トラックで4割の人には要精査項目がなく、健診で問題が指摘されていなかった。

 一杉准教授は「3年間で報告が全くない県も3県あり、報告されていない事例がある可能性もある。まずは正確な実態把握をすることが真の予防対策につながる」と話している。【須田桃子】

毎日新聞 2008年2月16日 2時30分

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