フィギュア:安藤美姫インタビュー
「わたしとキム・ヨナ選手のお母さん(朴美姫=パク・ミヒ=さん)の名前が同じなんですか?」。安藤美姫(21)はビックリした様子だった。「日本では“姫”という字をあまり使わないものですから…」
「姫」というと、大ブームを呼んだ韓国ドラマ『冬のソナタ』で一躍韓流スターになったチェ・ジウの愛称「ジウ姫」のように、女性を高めて呼ぶのに使う字。「両親が“みんなに愛されるように”という意味であまり使わない字をわざわざ付けたそうです」
韓国では安藤が在日韓国人だという「うわさ」が流れた。名字の「藤」の字を取り、韓国語読みすれば「安美姫(アン・ミヒ)」という韓国人風の名前になるためだ。また、韓国人なのに名前をひそかに日本式にしたのではないか、というもっともらしい説も流れた。
「ジュニア選手時代から韓国の選手たちと親しくしていて、焼き肉や韓国料理なども好きで一緒に食べに行ったこともあります。でも親せきの中に韓国人はいません。わたしが韓国人だと期待していた方々には申し訳ないですが…」
14日、フィギュアスケート4大陸選手権の女子シングルショートプログラムで2位になった安藤は「韓国での試合は初めてでしたが、多くの方々が応援してくださり、ありがとうございます」とお礼を言った。16日のフリーでは4回転ジャンプに挑戦したいという。4回転は安藤が2002年、女子としては世界で初めて成功して以来、本人を含め誰もまだ成功していない超高難度の技術。失敗のリスクが高いにもかかわらず、今も練習を続けている。「初めて成功したときは遊び半分で練習していてできたんです。ほかの人ができないジャンプなので、こだわっているというよりも、スケートの魅力ポイントの一つだと思い挑戦し続けています。転んで減点されてもプログラムに入れるつもりです」
06年のトリノ冬季オリンピックで4回転ジャンプに失敗、15位になったこともある。だが、昨年の世界選手権では浅田真央やキム・ヨナを抑え、初優勝を飾った。銀盤ではライバルたちよりも表情が真剣で感情の変化が少ないように見える安藤だが、このときだけは涙を流した。
「セクシー」と言われることについては、恥ずかしそうに「そうではありません」と答えた。日本男子フィギュアの看板スター、高橋大輔(22)と一緒に食事をしたり、ショッピングをしたりと親しいが、「現在進行形の恋人」はいないそうだ。「恋をしているとロマンチックな曲の演技に役に立つそうです。わたしも恋をしたことがあるし、これからもしてみたいですが、今はスケートに集中したいと思います」
来月の世界選手権(スウェーデン・イエーテボリ)ではタイトルを守る立場だが、プレッシャーはないという。「順位は気にせず、楽しみながらやろうと思います。キム・ヨナ選手や浅田真央選手とは国際大会の経験や選手生活をしている期間がほとんど同じですが、わたしにはもう少し大人っぽいというか、重みのようなものがあると思います」
成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者
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