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江戸時代の話あれこれ

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江戸時代の結婚について

江戸時代の結婚について

違う時代の結婚や外国の結婚の形態を知ることはとても役に立つ。なぜなら我々は「結婚生活」や「家族のありかた」「夫や妻の役割」などについて、今の世の中の常識が当たり前と思ってしまっているからである。どういう結婚生活の形態をとろうと、夫婦がどういう関係であろうと、他人が口出すことではないのである。
私なんぞ儒教好みの古いタイプの男であるから、最近の「出来ちゃった結婚」に眉をしかめないでもない。「結婚など考えてもいなかったが、できちゃったからとりあえず結婚するか」といった印象を持ってしまうのである。芸能人なんぞ臆面もなく、よくカメラの前に面を出せるなあと思ってしまう。まあ当人達が恥ずかしいことではないと思っていればそれでいい。重要なのは、今後二人が仲良くやっていくことである。

 現代の世では、唯一無二の男女として恋をして、その結果結婚するのが最も幸せだ、と思っている。しかし江戸時代では恋愛結婚のことを「浮気な結婚」と言って周りからは歓迎されなかった。ことに武家はそうだった。今日のテーマである「結婚」は、庶民のことを述べるから武家の世界とは切り離したいが、庶民の意識でも恋愛結婚は、いいかげんな結婚だと思われていた。
結婚式に初めて相手の顔を見るといったことは決してめずらしいことではなかった。恋愛は結婚生活が始まってから徐々に芽生えてくるものであった。

晩婚化が進む現代の日本である。「結婚はしたくなった時が適齢期よ」といった考え方が女性に定着し、独りでいることにあせりもないという。
「人は結婚した方が幸福になれるのでしょうか、それとも独り身が幸福なのでしょうか?」と昔、ソクラテスに尋ねた人がいる。「う〜ん、どちらを選んでも後悔するな」といった話があるが、さもありなんと思う。

さて江戸時代の女性の結婚適齢期は今よりずっと若かった。
江戸川柳に「厄よけへ行く振袖は売れ残り」という句がある。 江戸の娘達は、川崎大師へ19才になると厄除けに行くのがならいであった。ベストセラーになった西鶴の「好色一代女」に娘盛りを15〜18才とあるから、振袖を着て厄除けに行く娘は売れ残りということになる。19歳それも数えで売れ残りとは厳しいものがある。江戸時代に比べて、現在は年のわりに精神年齢が低いのでしょうな。もちろん男も含めてです。
20歳を超えると「年増」(としま)と呼ばれ、25歳を過ぎれば「中年増」、30歳を超えればその名も恐ろしい「大年増」と呼ばれた。女性の中には 嫁き遅れたと思われるのが嫌で、未婚でも眉を剃ったり、お歯黒をしたりしたという。お歯黒したら余計老けて見えるから、未婚女性は辛かったでしょうな。それに引き換え現代は、子供が成長しても娘のような格好している母親が多いですね。もちろん、非難しているわけではありません。

一方男性の場合は、結婚は比較的遅かった、町人なら職人と自立できるようになる20代半ば過ぎ、大店の奉公人ともなれば40近くならないと結婚できなかった。もっとも江戸は、遊廓があり、岡場所が数あったから、独身者の男は性の面では不自由しなかった。
余談だが、かつてエルビス・プレスリーに「何故結婚なさらないのですか?」と尋ねた記者がいた。「いろんな牛乳を飲めるのに、一頭の乳牛だけを飼うことはないだろう」と応じた名答?があってニヤリとしてしまった。

 庶民の結婚生活は、女性の側の持参金や女房の働きが重要な柱になっていた。妻の持参金をもとでにして仕事をする男性も多かった。持参金は5〜10両という例が多かったというが、もっともこれは「宵越しの金を持たない」八つぁん、熊さんの長屋暮らしの住人よりワンクラス上の層である。
庶民は共稼ぎがふつうで、それを「銘々稼ぎ」といった。共同で家計を支えるという感覚ではなく「個々それぞれ稼ぐ」という意味の言葉である。江戸時代は何についても、「個々で」という考えかたが強い時代だったのである。多くの女性が働いていた。江戸時代で働かないですんだ女性は、公家と武家の女性だけであった。農家も商家も職住一致であったためである。近代になって工場などへの勤めで職住が離れ、武家並みに仕事をしなくなった女性が増えたのだという。

 女性の持参金のことを江戸時代では「敷金(しききん・しきがね)」といった。貸し屋入居時の敷金と同じで、保証金のことである。男性が女性の敷金めあてに結婚するのはごくふつうのことで、べつだん非難もされなかった。まとまれば持参金の1割を報酬でもらえることから、けっこう仲人の話を持って専門に活躍した人がどの町内にもいたという。娘の器量が悪い場合には持参金を上積みしたという。
落語に「持参金」という噺がある。借金返済を迫られて持参金めあてに仕方なく結婚するというものだが、返済を要求している男がその金を持参金に、はらました女中につけようとしているのだから、一向に金が動かず、世話する金物屋がイライラするといったお笑いである。

持参金は日本だけでなく、外国でもめずらしいことではない。ただし日本の場合、敷金がそうであるように、離婚するときには妻に返さねばならなかった。持ってきた家具調度衣類も最後まで妻に所属する。もし持参金を返せなかったら離婚できなかった。
離婚といえば「離縁状」で「三行半」(みくだりはん)である。このことを記すと長くなるので次稿にします。

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プレスリーの話は傑作ですね。これだけの文量をPCに打ち込むだけでも大変なのに、色々お調べになるんでしょう?「まめ」で歴史がお好きなんでしょうね。勉強になりました。 削除

2007/6/19(火) 午前 11:42 [ 出来損ないの後輩 ]

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3〜4の資料から、気に入ったところをとって付けています。読むだけより調べて書く(PCに打ち込む)ことは私にとってとても勉強になります。歴史が好きですから続いているのでしょうね。テーマが決まっている時はいいのですが、未定の時は、今晩は何を書こうかと悶々とします。

2007/6/19(火) 午後 9:29 seizoh529

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