市立岡谷病院(塚田昌滋院長)は15日の岡谷市議会社会委員協議会で、年間180例の分娩(ぶんべん)を扱う産婦人科が休止の危機にあったことを明らかにした。
同病院によると、産婦人科には40代の産科医2人が勤務しているが、昨年末に1人の産科医が体調を崩したことで、もう1人の産科医に当直や分娩、外来診療などの負担が集中。分娩は大半が夜間のために24時間対応の激務が続き、この産科医の疲労も限界に達した。
同病院は一時、里帰り出産の受け入れに消極的になったり、分娩ができなくなる事態を想定。半面、分娩休止に伴う患者や地域医療の混乱を懸念し、疲労した産科医に理解を求め続けた。その後、体調を崩した産科医が回復し、疲労した産科医の意欲も戻ったことから、「今まで通りの診療が可能になった」という。
諏訪地方の分娩は、岡谷病院と諏訪赤十字病院が中核を担っている。岡谷病院が分娩を中止すれば諏訪日赤に患者が集中し、「諏訪地区がパニックになる」(塚田院長)。同病院は産科医の負担軽減に向け、院内医師による当直や分娩の支援体制を整備。助産師外来の導入も検討している。一定のリスクを伴う分娩については、県立こども病院(安曇野市)と連携することを確認したという。
塚田院長は「医師の体調を考えながら維持していきたいが、出産は医師の能力を超えるとリスクが高まる。(受け入れを)どこかで制限しないといけないかもしれない」とし、疲弊した産科医を地域全体で支える仕組みの早期構築を訴えていた。