足立区一家惨殺事件。死亡した父親から日テレに手紙届く。

2008年02月14日 23:00

東京都足立区の民家で11日に起こった凄惨な一家殺人事件。
母と妻をナタで殺害。二男の手首を切断したのは、一家の主・佐々木亨容疑者（死亡）だった。
いまだ、動機が明らかにされていないこの事件だが、自殺した佐々木容疑者自らが、事件当日に日本テレビ宛てに遺書ともとれる直筆の手紙を送っていたことがわかった。

「これは欲に目がくらんだ自分の責任です。」

14日17時過ぎに東京・日本テレビに届いた佐々木容疑者からの手紙には、追いつめられていたであろう容疑者の生々しい「叫び」が綴られていた。

「足の不自由な母には、車椅子で生活できる家を。妻には好きな洋裁ができる部屋を。子どもたちにはそれぞれの子ども部屋をつくってやりたかった。」

文面には、家族の幸せを願った一家の主としての思いが綴られていた。

一方で
「私は宅建業者にだまされた。もう全部なくしてしまった。二度と私のようなバカを出さないためにも調べて欲しい。地主さん許してください。死んでお詫びします。」

と自宅と倉庫の借地権の売買契約を巡り、宅建業者とトラブルがあったことをにおわせた。

調べによると、佐々木容疑者が自宅と倉庫の借地権の売買契約を宅建業者と結んだのは事件のわずか六日前。

売買価格はおよそ4800万円。このうち、すでに手付金として400万円が佐々木容疑者に支払われており、残りの4400万円については、借地権が移転されたあと全額支払われる予定だったという。

手紙を受け取った日本テレビの取材班が、佐々木容疑者と売買契約を結んだ宅建業者への取材を試みた。

佐々木容疑者との売買契約が適正な契約だったか？という質問に対し、宅建業者は「心覚えはない。（契約書の）書面に問題はない。」とコメントした。

さらに、手紙に同封されていた借地権の売買契約書を見た弁護士は

「非常に複雑な契約書で、一般の人が理解できる内容ではない。そのため（佐々木容疑者が）契約書の内容を勘違いした可能性もある。」と分析。

さらに契約書には「地代を供託」という一文があり、これに関しても、
「『地代を供託』ということから、借地権の更新料を巡り、地主と折り合いがつかなかったのだろう。そのため、地主との関係もうまくいっていなかったのでは。」と推察した。

佐々木容疑者が、家族の幸せな生活を求めて4800万円という売買契約を結んでいたのが事件の6日前。契約を結んだ当時は、新たにスタートする生活に胸を躍らせていたに違いない。

それからわずか6日。なぜ佐々木容疑者は幸せにしたいと願っていた家族を猟奇的ともいえる残忍さで次々に殺害したのか。

謎は深まるばかりである。