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救急搬送:大阪市、63回要請も 市長「救急体制ピンチ」

 救急搬送の要請を20回以上繰り返さないと病院に受け入れてもらえないケースが、1年前に比べて3倍以上に急増した大阪市。中には、患者にとって最後の砦(とりで)といえる府内10カ所(当時)の救命救急センターすべてに断られた末、搬送先で死亡が確認された事例もある。消防局の担当者は「救急医療体制の改善を国や府に強く申し入れるしかない」と苦渋の表情を浮かべた。【堀雅充】

 市消防局によると、死亡したのはマンションから転落したとみられる30代の男性。午後7時35分ごろ通報で駆けつけたが、後頭部をけがして意識がなかった。約35分後に救急車内で心停止となり、心肺蘇生をしながら救命救急センター10カ所を含む31カ所の病院に受け入れを要請。40回目でようやく救急病院に搬送したが、到着したのは約1時間半後で、病院で死亡が確認された。死亡と搬送時間の因果関係は不明という。

 他に、30代男性が吐血して午前0時29分に通報があったケースでは、41病院に対し63回の受け入れ要請を繰り返した。救命救急センターに運ばれたのは約2時間50分後で、男性は胃潰瘍(かいよう)と診断され入院した。うつ病の既往歴がある60代女性の場合は、府内の精神科病院に次々に断られ、最終的に受け入れが決まった病院に着くまでに5時間13分も掛かった。

 平松邦夫市長は医師や医療のあり方を巡る問題との認識を示したうえで、「救急体制がピンチになっているということ。市民が不安になる状況で無視できない問題だ」と危機感をあらわにした。

毎日新聞 2008年2月15日 大阪朝刊

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