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2008年2月12日
「辻元清美の永田町航海記リターンズ51」(『週刊金曜日』2008.2.1号)
ブリッジ法案で与野党のかけはし崩落
いまこそ国民の判断を仰ぐとき
大阪府知事選挙で負けた。「殺人犯は全員死刑」の橋下さんか~。テレビでの過激発言だけでは政治は動かされへんで、と私自身の経験から思う。選挙疲れで上京すると、国会も大荒れ。
何がセーフティネット法案だ。与党は、ガソリン暫定税率の期限三月末を二カ月延長する法案(ブリッジ法案というらしい)をいきなり衆院単独採決し、その後にまたまた三分の二を二回使って一〇年間、暫定税率を延長という目論見だ。これじゃあ、内容そのままで賞味期限を伸ばしてしまえということじゃないか。法案まで偽装かよ。
本日二九日、衆議院予算委員会で補正予算が採決されたが、ブリッジ法案が出てきたら野党は全党一致で審議拒否に突っ込むことになるだろう。委員会では補正予算に賛成した国民新党も、与党のオキテ破りには怒り心頭。本会議での態度は留保すると言い出した。
税のあり方や環境への取り組み、地方と中央の格差是正など、この国の抱える根本的な問題を議論する空気がようやく国会に醸成されつつあったのに。世論や国会議論で土俵際まで追い詰められそうだから、与党はその土俵を広げて逃げ切ろうとしている。こんな禁じ手を出すなんて、政府・与党がそれだけ追い詰められている証拠だ。
先週の伊吹文明自民党幹事長の代表質問も、自民党断末魔の兆しがありあり。延々と野党へのイヤミとアテコスリばかり。派遣労働の実態や障害者の暮らし、医療制度の崩壊など重要課題は全く無視、始終、野党と小沢一郎批判。
以前は自民党の代表質問は政権与党側の論理が分かって参考にもなるし、それなりに聞き応えがあった。今や政権与党の威厳も消え失せた。
福田総理の施政方針演説そのものも空虚だった。小泉・安倍ら前任者たちのエキセントリックな独り言を聞くよりマシかと思っていたのに超失望。
「私の内閣の使命は、国民の活力を引き出し、活力ある国民が活躍する舞台を用意すること」だって。福田さんまで「私の内閣」かよ。「国民の活力を引き出し」だって? 渡辺喜美金融担当相は報道番組で「日本には一五〇〇兆円を超える個人金融資産がある。その半分が投資に向かえば経済は大丈夫」と発言。政府が「貯金から投資へ」のスローガンで、国民に「ギャンブル」を奨励して巨額の国民の財産が失われた。この上、さらに国民の財産を「引き出す」政府の経済対策? どこまでご都合主義なのか。
そんななか、地元・高槻で新春交流会。沖縄の山内徳信参議院議員と川田龍平参議院議員が駆けつけてくれた。参加のみなさんに、「やっぱり、解散総選挙で国民の手で決着つけてもらうしかない」と再度訴えた。
セーフティネットどころか「ブリッジ法案」で与野党の対話の“かけはし”は崩落。国会論議の放棄。
よろしい。国会の外へ。
国民は一日も早く自分の手で福田政権に断を下したがっている。