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【静岡】清水の中絶事故 医師を提訴 遺族が静岡地裁に訴え2008年2月15日 静岡市清水区の産婦人科医院(現在は廃院)で2005年9月、妊娠中絶の手術を受けた同区内の女性=当時(45)=が失血死したのは執刀医の過失として、遺族側は14日、担当医に9295万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こした。ただ、医師側は過失を認めており、最終的な目的は医療事故時の保険金支払いを拒否している日本医師会(日医)に対し、翻意を求めることにあるという。 遺族の代理人は「医療過誤をめぐり、保険金の不当な払い渋りが明るみに出る極めてまれなケース」としている。 訴状によると、被告の女性医師は夫の医師と2人で執刀したが、誤って医療器具で女性の子宮内を傷つけ多量の出血を招いた。翌日、あらためて2人で子宮の全摘出手術を行ったが、この際も周辺の動脈を傷つけて症状を悪化させ女性を失血死させた。県警の司法解剖では「手術の失敗が原因」と結論づけたという。 遺族側が問題としているのは、開業医らの医療事故補償に備え日医が創設した「医師賠償責任保険」の適用拒否。医師側は過失を認めて適用を申請したが、日医は女性医師が、妊娠中絶の「許可医」ではない夫と手術した点を理由に拒んだ。 医師個人に十分な支払い能力がないことなどから、遺族側は「被害弁償には保険金の支払いが不可欠」とする。裁判では「指定医以外の医者が携わった中絶手術でも妥当」といった判断を得て、あらためて日医に適用を申請したい意向だ。 日医は「個別の案件には答えられないが、保険適用には審査機関が適正に判断している」と主張している。医師側は「死亡事故を起こしたのは事実で、遺族にはできる限りのことをしたい」と話している。 母体保護法は中絶を行える医師を都道府県医師会の指定する医師と義務付けているが、静岡市内のある産婦人科医は「許可のない医師が手術を手伝うこともある」と説明している。
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