「引き揚げではない、理解を」 阪南病院・和歌山医大学長
2月15日7時51分配信 産経新聞
阪南市立病院が医師の一斉退職で4月から入院受け入れを全面休止する問題で、長年にわたって同病院に医師を派遣し続けてきた和歌山県立医科大学の南條輝志男学長が産経新聞社のインタビューに応じ、医師派遣を断念するまでの経緯などについて語った。
−−医師たちは病院でどんな状況にあったのか
「平成18年3月、19年3月に1人ずつ内科医が抜け、残った5人に相当な加重がかかった。疲弊していたところへ、2人が家庭の理由などから辞めなければならなくなった。3人では阪南市立病院を支えるのは到底無理だった。引き抜きなどで大阪の他の病院に流れてしまう恐れもあった。全国的に内科医が不足しており、和歌山も一昨年の4月に350床規模の公立病院で内科医ゼロの状態に陥るほど(何カ所かゼロになっている)で3人を失うのならば、和歌山の病院に戻って働いてほしいと思った。“引き揚げ”ではないことを理解してほしい」
−−結果として阪南市立病院は存続の危機にある
「病院に魅力があるとかないとかで医師の派遣を決めるわけではない。私自身も大学紛争で医師不足だった70年代、この病院で2年半、病院活性化に尽力したという自負がある。もちろん、個人的感情だけではない。和歌山医大の3分の1の学生は大阪出身で、泉南地区から来る学生も多いので、ぜひ病院をなんとかしたいという思いだ」
−−存続のために何か対策を
「先の公立病院は内科医ゼロという阪南市立病院と同じ状況に陥った。しかし外部医師の外来応援で3カ月つなぎ、立ち直っている。同病院も“つなぐ”ことができれば−との思いで個人的なツテを頼り、関東や府下の知り合いの内科医を見学に招いたり努力してきたつもり。しかし皆、マスコミ報道などで二の足を踏んでしまう。私としては努力こそすれ、切り捨てようなどと思ったことはない」
−−再派遣の可能性は
「病院と大学の努力だけではどうにもならない部分がある。行政にも何らかの手は打ってもらいたい。補充はぜひしたいという気持ちはある。現在は“補充がなくなった”だけで決して引き揚げではない。教授たちからも「引き揚げなら、自分のところの医師も帰していいか」と言われたが、何とか説得して今の状態を維持してきた」
−−病院事業開設責任者である岩室敏和市長は、話し合いのために和歌山医大に頻繁に来ましたか
「昨年2月14日〜今年1月4日まで市長とはお会いできなかった」
−−阪南市の対応は十分だったか
「平成16年ごろから、「このままじゃ危ないですよ」と言ってはいた。しかし、実際には市として医師の確保はできなかった。学長就任後も「(労働条件などが悪かったので)今いる医師を大切にしてほしい。うちからの新たな補充はもう無理ですよ」と再三申し上げてきた。院長や副市長はじめ幹部たちとは「このまま病院を閉院したら大変なことになるよ」と話をし、昨年末からは毎日のように連絡を取り合ってきた。副市長(市長が2月6日に解職)も頑張っていたのに辞められたのは惜しい」
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